インド外資規制解説その12 -外国ベンチャー投資家としての投資(Investment as Foreign Venture Capital Investor)②-
前回の続きです。
登録を受けたForeign Venture Capital Investor(FVCI)は、投資金額の総額のうち、3分の2以上を非上場企業(インド国内の証券取引所に株式を上場していないインド企業)の株式及び株式に関連する有価証券(転換社債等)に投資する必要があります。
また、残りの3分の1についても、上場が予定されている会社のIPOの際の株式の引き受け、または上場会社の株式の優先割当てを通じた株式の引き受けによるエクイティ投資に使用する必要があります。
ただし、上記の要件にあてはまる場合であっても、FVCIが、いわゆるノンバンク(Non-banking Finance Company)の大部分、印刷事業者、その他インド政府産業ポリシー(Industrial Policy of the Government of India)により外資の投資が禁止されている事業を営む会社に対して投資することは認められていません。
また、FVCIがその総資産(正確に言えば、FVCIの資産中、インドに投資することが認められている全ての資産)の4分の1以上を1つのベンチャー会社(上記要件に当てはまる会社)に投資することは認められていません。
つまり、FVCIは、総資産の3分の2を非上場企業に投資する必要があるが、1社に集中して投資するということはできず、1社あたりの投資額が総資産の4分の1以下になるよう調整する必要があるということになります。
一方、FVCIの登録を受けた場合、以下の利益を得ることができます。
・インド企業に投資する際の、インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India。RBI)からの承認が、最初の1回だけで済む(各投資ごとに承認を得る必要がない。)
・株式の売買価格を、当事者の合意のみで定めることができる(インド外国為替管理法(FEMA)上、外資が当事者となる場合の株式の売買において、株式の売買価格を当事者が自由に決めることはできず、RBIの価格承認が必要とされるのが通常です。)。
・FVCIの保有する非上場会社の株式については、「公募前の1年間保有規制」がかからない。「公募前の1年間保有規制」とは、会社が公募(IPOに限らず、全ての公募を含む)前に発行した株式については、その引受人に1年間の保有義務(その間は売却できない)が課される規制をいいます。なお、IPOの際にFVCIに割り当てられた株式については、既に「非上場会社の株式」とはいえないため、「公募前の1年間保有規制」がかかります。
・FVCIからベンチャーキャピタルの創設者その他一定の者への株式譲渡は、買付規制法(Takeover Code)上の公開買付規制がかからない(なお、この利点はベンチャー会社が上場することが前提。)。
上記から、FVCIはFIIと比べて、まさにベンチャーキャピタルに対する投資に特化された投資であり、利点もベンチャーキャピタルによるIPOその他の投資回収手段を容易にするという観点から設定されているといえます。
使いどころは少し難しそうですが、例えば外国への投資を目的として組成された日本のプライベートイクイティなどが利用するには良いかもしれません。
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次回からは、インド法上のcompanyについて、インド会社法の基本と会社設立実務の観点から解説していきたいと思います。
なお、外資規制については、小規模企業(SSI:Small Scale Industries)に対する投資規制など、まだいくつか残している部分があるため、どこかの段階で追加で解説していきたいと思います。
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