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インド会社法解説その7 -会社の機関 株主総会②-

(2008年5月に一部修正加筆)

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株主総会の決議には、通常決議と特別決議の2種類があります。

普通決議は決算書類の承認や役員の選任等の通常の事項を承認するための決議であり、特別決議は合併や解散等の一定の重要事項を承認するための決議です。
ただ、日本の特別決議の対象がかなり重要な事項に限定されているのに対し、インドでは特別決議が比較的緩やかに必要とされます。

株主総会普通決議は過半数の賛成で、特別決議は4分の3以上の賛成で、それぞれ成立します(ただし、単純に有効投票の過半数、4分の3以上というわけではありません。下記解説参照。)。
特別決議には4分の3以上の賛成が必要という点、3分の2以上の賛成で足りる日本の会社法とは大きく異なりますので、ご注意ください。
ちなみに、4分の3以上というのはかなり厳しい要件であり、インドでは特別決議というのはかなり大事として捉えられていることがわかります。

株主総会の特別決議が必要な事項は以下のとおりです。
気合で目を通しましたが、訳し間違い等の可能性もありますので、詳細な情報は、原文をご参照いただければと思います(AやBとあるのは、日本法の条文の枝番号に相当します。)。
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

・会社の目的または登録住所の変更(インド会社法17条)
・社名変更(同21条、25条3項)
・附属定款の変更(同31条)
・自己株式の購入(同77A条)
・sweat equity(会社への貢献に対して現金報酬の代わりに発行される株式)の発行(同79A条)
・株式の追加発行または債務や社債等の株式への転換(同81条)
・未払いの資本金がある場合に、当該未払い部分について払込みをしなくていいとする決定を行う場合(会社解散のために行われる場合を除く)(同99条)
・減資(同100条)
・種類株式の設定の承認(同106条)
・登録住所を管轄州の外に移転する場合(同146条2項。なお、この場合、17条に基づく特別決議も必要となると考えられます)
・新規事業の開始(同149条2A項(b)。なお、この場合、会社の事業目的の変更を伴うと考えられることから、17条に基づく特別決議も必要となると考えられます。)
・管轄州内における登記の維持(同163条1項(i)。インド法の概念として、登録住所の移転後ももともとの登記管轄地に登記を残しておくことにより、その管轄地に簡単に戻ることができるとの考えがあるようです。)
・一定長期にわたって利益が出ない事業の費用のために積み立てられた資本金に対する利息の支払い(同208条2項、3項)
・中央政府、州政府および/または公的金融機関が併せて25%以上議決権を保有している会社の監査役の選任(同237条(a)(i))
・資本金が5,000,000ルピー(約1500万円)以上の会社が、単一の売買代理人を選任する場合(同294AA条3項)
・(定款上必要とされている場合に)取締役の報酬の決定(同309条1項)
・中央政府の承認を得て、マネージングディレクターその他のフルタイムの取締役以外の取締役の報酬を決定する場合(同309条4項、7項)
・会社の取締役からの借り入れの承認(同314条1項、1B項)
・役員を無限責任にするために基本定款の変更(同323条1項)
・資本金の60%を超え、かつ準備金の100%を超える貸付や保証の供与(同372A条)
・裁判所申し立てによる解散(同433条(a))
・自主解散(同484条1項(b))
・清算人の報酬決定、解散にかかる事業譲渡の承認(同494条1項(b))
・自主解散の場合における清算人への一定事項の委任、その他の事項の決定(512条1項、517条、546条1項(b)、550条1項(b))
・登記された会社の構成の変更(同579条1項)

なお、上記のうち81条について、Private Companyの場合には新株発行につきそもそも株主総会決議は不要であるため、特別決議も不要となります。

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株主総会普通決議は、定足数が満たされていることを前提に、召集通知が適切に発送され、出席した議決権行使者(株主本人だけでなく、その代理人も含む。)の議決権総数のうち、反対票を上回る賛成票の数が得られた場合に成立します(インド会社法189条1項)。

ここで注意しなければいけないのは、決議の成立要件は、厳密には「有効投票の過半数の賛成」ではなく、「反対票を上回る賛成票」であることです。
会社法189条1項の原文(抜粋)は、以下のとおりです。

“A resolution shall be an ordinary resolution when at a general meeting of which the notice required under this Act has been duly given, the votes cast (whether on a show of hands, or on a poll, as the case may be), in favour of the resolution (including the casting vote, if any, of the chairman) by members who, being entitled so to do, vote in person, or where proxies are allowed, by proxy, exceed the votes, if any, cast against the resolution by members so entitled and voting.”

したがって、株主が投票を放棄した場合など、「反対票」が増えなかった場合には、「賛成票」が有効投票の過半数を超えなくても、反対票の総数さえ超えていれば決議は成立しうることになります。
これは日本の会社法とはかなり大きな相違です。

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一方、株主総会特別決議は、定足数が満たされていることを前提に、

①召集通知に特別決議を行う旨が記載されていること
②召集通知が適切に発送されていること
③出席した議決権行使者(株主本人だけでなく、その代理人も含む。)の議決権総数のうち、反対票の3倍を下回らない賛成票が得られたこと

を全て満たした場合に成立します(インド会社法189条2項)。

普通決議と同様、決議の成立要件は、厳密には「有効投票の4分の3以上の賛成」ではなく、「反対票の3倍を下回らない賛成票」であることです。
会社法189条2項の原文(抜粋)は、以下のとおりです。

“A resolution shall be a special resolution when (中略) the votes cast in favour of the resolution (whether on a show of hands, or on a poll, as the case may be) by members who, being entitled so to do, vote in person, or where proxies are allowed, by proxy, are not less than three times the number of the votes, if any, cast against the resolution by members so entitled and voting”

したがって、株主が投票を放棄した場合など、「反対票」が増えなかった場合には、「賛成票」が有効投票の4分の3以上とならなくても、反対票の総数の3倍以上であれば特別決議は成立しうることになります。

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株主総会は今回で終わるつもりだったのですが、少し長くなってしまったため、もう1回延長したいと思います。

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