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インド会社法解説その4 -会社設立登記申請-

(2008年6月、オンラインでの会社設立申請手続に対応するよう、大幅に記載を修正)

無事会社の商号が承認されたら、商号承認から6か月以内に、会社自体の設立登記申請に入ります。

商号承認申請と同様、会社設立登記申請は、インド企業省のウェブサイト
http://www.mca.gov.in/index.html
を通じたオンライン申請により行います。

会社設立登記申請には、以下に述べる3つのFormおよびそれらの添付書類を、オンラインを通じて所轄の会社登記局に対して提出することが必要となります。なお、オンラインで提出される全てのFormには、設立登記申請者の電子署名の貼付が必要となります。
また、添付書類のうち、インド国外で作成されたものについては、全て当該作成国における公証役場またはインド大使館での認証が必要となります。

1 Form1

Form1は、会社設立に際して、インド会社法上の手続を完了したことの宣言です。
その記載内容は以下のとおりとなります。

①商号承認申請において利用した支払領収書(Challan)記載の番号(SRN) (番号入力時に自動的に申請社名が反映される)
②授権資本額、発行済み株式数、株式額面総額
③引受人(Subscriber。FORM1Aで発起人である者を記載。なお、法人の場合、会社設立のための委任状を保有している者の情報を記載します)
④氏名、父親の氏名、国籍、生年月日、職業、パスポート番号、現住所(本籍と一緒である場合記載不要)、本籍、メールアドレス
※法人の場合、氏名については「○○ Company Through 氏名」と記載
 
記入完了後、印紙税(税額については別表参照)の支払いのために印紙税局(Stamp Office)でスタンプを受け、PDF化して、(2)の添付書類とともに提出します。
  
また、Form1の添付書類は以下のとおりです。

①基本定款(Memorandum of Association。発起人2人の署名を記載の上、オリジナルとコピーを一部ずつ提出。なお、最終ページには、株主の詳細(住所・氏名・父親の名前・保有株数等)その他の記載が必要となりますが、これらは全て手書きで行われる必要があります)
②附属定款(Articles of Asssociation。同じく、発起人2人の署名を記載の上、オリジナルとコピーを一部ずつ提出。同様に、最終ページには、株主の詳細(住所・氏名・父親の名前・保有株数等)その他の記載が必要となるが、これらは全て手書きで行われる必要がある)
③取締役(発起人)による会社設立を決議する取締役会議事録(会社設立決議書)
④委任状(弁護士、会計士、コンサルタントその他会社設立に際して授権を受けた者に対する委任状を提出)

なお、全ての添付書類の提出には印紙税がかかり、印紙税局(Stamp Office)でスタンプを受けた書類をPDFにし、Form1に添付することになります。

2 Form 18

Form 18は、設立された会社の住所登録申請です。
記載事項は以下のとおりです。

①発起人の現在のオフィスの住所
②商号承認申請において利用した支払領収書(Challan)記載の番号(SRN) (番号入力時に自動的に申請社名が反映される)
③新会社の住所
④所轄の警察署の住所

また、Form18については、会計士または会社秘書役により、当該内容が申請であることについての証明を得る必要があり、これらの者の電子署名の貼付が必要となります。

さらに、添付書類として、新会社の住所について第三者の宣言(declaration。「この会社の住所はここにある」ということを記載した書類)をPDFにして添付する必要があります。

3 Form 32

Form 32は、取締役情報を登録するフォームです。
記載事項は以下のとおりです。

①商号承認申請において利用した支払領収書(Challan)記載の番号(SRN) (番号入力時に自動的に申請社名が反映されます)
②取締役の人数(創立時の取締役数)
③各取締役のDIN
④会社秘書役の情報(会社秘書役を雇用しない場合、記載不用)

また、Form18と同様、Form32については、会計士または会社秘書役により、当該内容が申請であることについての証明を得る必要があり、これらの者の電子署名の貼付が必要となります。
なお、Form32は、取締役が選任されるたびに、当該選任日から30日以内の提出が必要とされます。

さらに、添付書類として、

①取締役の就任承諾書(Consent Letter。取締役全員の就任承諾書を1つのPDFに集約する必要がある)
②商号使用を正式に認める会社登記局からのレターの写し

をPDFにして提出する必要があります。

なお、もし商号承認から6ヶ月以内に会社設立登記申請を行わなかった場合、商号の権利を維持し続けるためには追加の申請と登録費用が必要となります。

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また、日本と同じく、会社登記の際には登録免許税の支払いが必要となります。
ここで注意すべきは、税額の計算根拠となる数字は、資本金額ではなく授権資本金額であるという点です。

授権資本金額は、増加できる資本金額の上限であり、日本でいう授権株式数に対応します。授権株式数は発行する株式の数に着目しているのに対し、授権資本金額は(発行株式数を問わず)増加しうる資本金の上限額に着目しています。
インドでは、資本金額のみならず、授権資本金額も登記事項とされており、登録免許税はこの授権資本金額をベースに計算されます。
すなわち、登記時点で資本金額が低くとも、授権資本金額が高ければ、授権資本金額に合わせた登録免許税を支払わなければならないのです。

授権資本額を変更するためには、会社登記局に変更の登記申請を行う必要があり、これには一定程度手間と時間がかかります。
そのため、将来の資本金の増額を見据えた場合、授権資本額にはあらかじめある程度余裕をもたせた方が良いのですが、あまりに多額にしてしまうと登録免許税の負担が重くなってしまうため、バランスをとることが必要となります。

登録免許税の具体的な金額及び計算方法は、以下のとおりです(1ルピー=約3円)。

①10万ルピーまで 
→4000ルピー
②10万ルピー超50万ルピー以下
→①に加えて、10万ルピーを超える分につき、1万ルピーにつき300インドルピーが追加
③50万ルピー超500万ルピー以下
→①と②により算出される額に加えて、50万ルピーを超える分につき、1万ルピーにつき200ルピーが追加
④500万ルピー超1000万ルピー以下
→①から③により算出される額に加えて、500万ルピーを超える分につき、1万ルピーにつき100ルピーが追加
⑤1000万ルピー超
→①から④により算出される額に加えて、1000万ルピーを超える分につき、1万ルピーにつき50ルピーが追加

例えば、授権資本金額を700万ルピーとする会社を設立する場合、④のカテゴリーに当てはまり、

4000(①)+12000(②)+90000(③)+20000(④)=126000ルピー

が登録免許税額となります。

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ちなみに、会社設立時に授権株式数の4分の1以上の株式発行が要求される日本の会社法(37条3項)と異なり、インド会社法上は、授権資本額に対する資本金の割合規制は設立時も設立後も存在しません。
そのため、授権資本額が、実際の資本金額の100倍となっているというようなアレンジも可能です。

もっとも、上述のとおり、登録免許税は、資本金額(Paid-up capital)ではなく授権資本額(Authorized capital)に対してかかるため、通常は授権資本額を資本金額よりも極めて大きくするメリットはありません。

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会社登記局による登記申請審査後、無事会社が登記された場合、会社登記局から設立証明書(Certificate of Incorporation)が発行されます。

資本金の払い込みは、設立証明書の発行後に可能となります。
株主となる者及び会社は、資本金の払込から30日以内に、インド連邦準備銀行(Reserve Bank of India)に対して、資本金の払込みと株式発行に関するインド外国為替管理法上の報告書を提出します。

なお、Private Companyについては資本金の払込みがなされた後、すぐにその業務を開始することができますが、Public Companyについては上記設立証明書発行と資本金の払込みに加えて、会社登記局から営業開始証明書(Certificate of Commencement of Business)という書類の発行を受けるまでは業務を開始できません。

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このほか、会社設立後は、すみやかに税務当局に対して税務番号の申請を行う必要があります。

税務番号には、Permanent Account Number (PAC) とTax Deduction Account Number(TDAN)の2種類があります。
前者は税務当局による当該会社の登録番号であり、会社による税務申告その他税務署とのやりとりは基本的にこの番号をID番号として行われます。一方、後者は会社が源泉徴収が必要となる支払いを行う際に、徴収した源泉徴収税を税務当局が認識、管理するための番号です。

ちなみに、インド内国法人(外資系含む)の法人税の実効税率は、33.99%(2008年3月現在)です。

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次回は基本定款(Memorandum of Association)及び附属定款(Articles of Association)を取り上げたいと思います。

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