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2007年12月

告知

かなり前に書いた預託証券に関する記事を、大幅に修正しました。

まだ預託証券への理解が十分でない時期に書いたものであり、見直してみたところ、少なからず誤りがあったり、重要な情報が抜けていたりしたためです。
「昔に書いた記事を修正する」という方法がよいかどうかは少し悩んだのですが、とりあえず記事の主旨を損なわない限度で修正することにしました。

JDRに対するインド側の規制は、また別の形で取り上げたいと思いますが、応急処置ということでご理解いただければと思います。

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昨日帰国し、さっそく日本の事務所の同期とお寿司を食べに行ってきました。
あまりの旨さに大感動。
ワカメ食べて涙ぐむあたり、マサラによる精神的ダメージは思っていたよりも深刻だったようです…

この勢いで食い溜めるぞー!

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年末年始

インドには、本来クリスマスや年末年始に休む習慣はないのですが(インド人が休むのは、インドの正月であるDiwaliです)、今の事務所は欧米のクライアントを多く持つ、いわゆる渉外法律事務所であることもあり、ほとんどの弁護士が年末から年始にかけて2週間程度のクリスマス休暇を取ります。

この期間、インドの暦に従って一応事務所は開いているのですが、事実上事務所の機能は停止しています(まあ、クライアント側も休んでいるのであまり問題はないのですが)。

ということで、私も年末年始に休暇を取り、今一番行きたい国に行くことにしました。

清潔で美しい街並み
店頭に溢れる最先端のモノ
ミシュランで最高数の星を獲得した美食の都
痒いところに手が届くきめ細かなサービス
時間に正確で正直な人々

世界の桃源郷、胸焦がるる「あの国」へ。

年明け5日まで滞在し、仕事始めは1月7日からの予定です。

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PCは持って行きますので、気が向いたらブログを更新するかもしれませんが、おそらく「あの国」の魅力に夢中になってそれどころではないと思います…

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荷造りしていたら、「冬服を1枚も持っていない」ということに気がつきました。

さて、どうしよう…

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インド会社法解説その13 -会社の機関 監査役、監査委員会①-

(2008年7月、監査役の役割についての記載を中心に加筆修正。修正部分には下線を付しています)

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

今回から、監査役と監査委員会の解説です。

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インド会社法上、監査役(auditor)は、会社の会計監査および監査意見の表明の権限を有する一方、基本的に業務監査権限は有していません(インド会社法227条)。

この点で、インド会社法上の監査役は、原則として業務監査権限を有する日本の会社法上の監査役とは大きく異なっており、むしろ日本でいえば会計監査人に相当する存在です(そのため、選任するのは通常1人のみです)。

インド会社法上、業務監査を行うとされているのは、(3人以上の取締役により構成される)監査委員会となります。
なお、日本の会社法でも、委員会等設置会社においては、監査委員会は取締役会の元に置かれるためことになります
したがって、インドにおける「監査役」、「監査委員会」は、それぞれ日本における「会計監査人」、「委員会等設置会社における監査委員会」に対応するとお考えいただければと思います。

上記整理から、インド会社法上は、「監査役」とは別個の「会計監査人」という地位、役職は存在しません。
このような職責を単に日本語で監査役と呼ぶのは、日本法上の監査役という言葉のイメージとの関係で混乱を招く恐れがあるため、以下では、インド会社法上の監査役は括弧書きをつけて「監査役」と呼ぶことにします。

ちなみに、世界的には、業務監査は取締役会(一元制の場合)または取締役により構成される監査委員会その他の機関(二元性の場合)により行われるのが通常であり、日本の監査役制度は比較法的には非常に珍しい制度となっています
その意味で、インドの制度はむしろワールドスタンダードに沿ったものであり(イギリスの制度をそのまま採用しているので当然といえば当然ですが)、日本における監査役の制度の方が世界的にはイレギュラーであるといえます。

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さて、上述のとおり、インド会社法上の「監査役」は、日本でいえば会計監査人にあたることから、個人で「監査役」となりうるのは、原則として1949年インド勅許公認会計士法(Chartered Accountants Act, 1949)に基づく勅許公認会計士の資格を有する者のみとされています(インド会社法226条)。

また、日本の会社法上は監査役になりうるのは個人だけですが、インド会社法上は個人のみならずファーム(firm。パートナーシップによる事務所。会計事務所を想定。)も「監査役」となることが可能です(同条)。
上述のとおり、「監査役」は日本の会計監査人とパラレルであることから、このようなファーム(会計事務所)が「監査役」に就任ことも認められるのです。

なお、上記要件を満たすものであっても、以下のいずれかに該当する場合、「監査役」に就任することはできません(インド会社法226条3項)。
・企業
・当該会社の役員または従業員
・会社の共同出資者
・会社から1000ルピー以上の貸付または保証を受けている者
・当該会社の株式(議決権付株式)を保有している者

また、ある会社について、その子会社の「監査役」の要件を満たさない場合、当該会社(=親会社)の「監査役」としても不適格とみなされます。

選任後にこれらの不適格要件を満たすに至った場合、その時点で任期が終了したものとみなされ、「監査役」を退任したものとみなされます。

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インド会社法上、「監査役」は、株主総会の普通決議により選任され、その任期は定時総会から次回の定時総会までの1年間とされています(インド会社法224条1項)。
ただし、会社設立後最初に選任される「監査役」は、会社登記後1ヶ月以内に取締役会により選任され、その任期は最初の定時株主総会までとなります(同条5項)。取締役会が選任しなかった場合、最初の株主総会(定時株主総会とは限らない)で最初の「監査役」が選任されることになります。

会社が一方的に「監査役」を選任するということはできず、選任の前に「監査役」候補者から選任についての同意書面を取得しておく必要があります。
会社は、選任から7日以内に「監査役」として選任した者に対して選任通知を送付します(同条1項)。

会社から「監査役」として選任された者は、選任通告から1ヶ月以内に、会社登記局(Registrar of Company)に対して書面で当該選任を受諾したか辞退したかを通知する必要があります(同条1-A)。
(ただし、上述の通り、選任前に「監査役」候補者の同意書面を取るため、実際に辞退が生じるのは、健康上の問題など急な事情の変化が生じた場合のみであるのが通常です。)

1人の個人またはファームが「監査役」を選任できる会社数には制限があります(同条1-B、1-C)。この制限数のカウントはかなりややこしいのですが、一般的には、Public Companyの「監査役」となる場合、他に「監査役」として選任されている会社の数が、当該Public Company自身も入れて10社以下である必要があります(ただし、他の全ての会社の資本金が250万ルピー以下であれば、20社まで兼任可能)。
要するに、既に10社から「監査役」に選任されている場合、新たに他のPublic Companyの「監査役」として選任されることは原則としてできないということです。

ちなみに、「監査役」は再任が原則とされており、以下の各場合に当てはまる場合を除いて、「監査役」は再任されなければならないとされています(インド会社法224条2項)。

①「監査役」が再任不適格となった場合
②「監査役」が自ら再任を辞退する書面を会社に提出した場合
③株主総会において、前任の「監査役」を再任せず、その代わりに新たな監査役を選任することを明示的に決議した場合
④新任の「監査役」を選任するための決議が、当該「監査役」の死亡等の理由により行われなかった場合

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会社が定時株主総会で「監査役」を選任しなかった場合、インド中央政府が代わりに「監査役」を選任します(同条3項)。
このインド中央政府により権限行使のため、会社は、「監査役」を選任できなかった定時株主総会から7日以内に、その事実をインド中央政府に通知しなければならず、これを怠った場合には5000ルピーを上限とした罰金が課されます(同条4項)。

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「監査役」が、不適格になった等の理由で退任した場合、取締役会が代わりの「監査役」を選任します。この代わりの「監査役」の任期は、退任前の取締役と同じです(したがって、次回の定時株主総会までということになります(同条6項)
ただし、「監査役」が、自発的に辞任した場合、取締役会が代わりの「監査役」を選任することはできず、株主総会でのみ選任することが可能です。そのため、「監査役」が自発的に辞任した場合、臨時株主総会を招集して代わりの「監査役」を選任する必要があります。

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「監査役」は、インド中央政府の事前承認を得ることを条件として、株主総会の普通決議によって、その任期中いつでも解任することができます(同条7項)。

なお、実際上、この事前承認をもらうためには一定の正当な理由(「監査役」の職務怠慢、会計監査事務の誤りの存在等)が必要だそうで、特に理由がないのに解任するということは難しいそうです。

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監査役の報酬は、
①監査役が取締役会または中央政府により選任された場合、それぞれその選任者により
②その他の場合、株主総会決議により
決定されます(同条8項)。

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次回も監査役、監査委員会の解説です。
なお、次回は年明け以降となる予定です(もしかしたら年内にもう一度くらいは更新できるかもしれませんが。)

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インド外資規制解説その14 -プレスノート2006年第4号和訳-

関連記事

インド外資規制解説その6 -Foreign Direct Investment-

インド会社法解説その1 -会社設立にかかる外資規制-

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2007年12月現在、インドにおける外国直接投資規制の基本となるプレスノートは、2006年第4号となっています。
同プレスノートのうち、重要なのは別紙部分ですが、その全文の和訳を作成しました。

プレスノート2006年第4号原文

「press_note_2006_no4.pdf」をダウンロード

同プレスノート別紙部分和訳

「japanese_translation_press_note_2006_no4.doc」をダウンロード

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なお、和訳にあたっては細心の注意を払っておりますが、あくまでも私的な和訳であるため、何かのご参考にされる際は必ず原文もご参照ください。

また、「プレスノートとは何か」とか、「このプレスノート別紙の表はどのように読むのか」等については、それだけで解説論文が1本書けてしまうため(実際書いていたりするのですが)、今回はとりあえず和訳の掲載のみということにしたいと思います。
論文は年明け早めに某法律誌に掲載される予定です。

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ばんごはん

きょうのばんごはんは、みろいりのぎゅうにゅうと、かっぷらーめんでした。

ろっぽんぎとうきょうみっどたうんのりっつかーるとんのぱーてぃーって、どんなごはんがでるんだろう。

みろよりもおいしいのかな。

かっぷらーめんよりもおいしいのかな。

おひるにたべた、かれーあじのおいもよりもおいしいのかな。

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インド会社法解説その12 -会社の機関 取締役、取締役会④-

(2008年5月、取締役の報酬部分につき修正、加筆)

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

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今回は、取締役の義務と取締役と会社との間の関係です。

インド会社法上、会社の取締役は、会社に対する忠実義務、善管注意義務、技能を傾ける義務、勤勉義務、責任を回避しない義務、競業避止義務、利益相反回避義務等を負います。これらは、本質的にはいずれも日本の会社法上の忠実義務や善管注意義務と同様の義務(技能を傾ける義務や勤勉義務等も、結局は忠実義務、善管注意義務に還元されます)です。
要するに、「まじめに一生懸命会社のために頑張る義務」ということです。

Public Companyの取締役については、上記の一般的な取締役の義務のほか、上場を適切に維持する義務や継続開示を適切に行う義務等が課せられますが、これらも結局は忠実義務、善管注意義務に還元されるため、日本と相違はないといえます。

取締役がこれらの義務に違反した場合、会社から損害賠償を受ける可能性があり、会社がその損害を追及しない場合、株主代表訴訟による責任追及が可能です。
このあたりも日本とほとんど同じです。

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取締役は、直接的または間接的に、会社との間で会社と自身の利益が相反する可能性のある行為を行う場合(会社との間で自らまたは第三者のために契約を締結する場合等)、その事実を取締役会において開示する必要があります(インド会社法299条)。
この開示を怠った場合、取締役には上限5万ルピーの罰金が課せられます。

取締役会は、開示された行為について、それが会社側の行為を要するものである場合(取締役・会社間の契約の締結など)、開示された情報をもとに会社として当該行為を行うかどうかの決議を行います。
この決議には、利害関係を持つ取締役は参加することができず、取締役会の定足数としてもカウントされません(インド会社法300条)。

面白いのが、インド会社法上の開示義務および取締役会の承認は、日本の会社法と違って、取締役の行為それ自体についての開示義務や承認ではないということです。
日本の会社法356条が規定しているのは、あくまで「取締役の利益相反行為」の承認であり、その行為に会社自身が絡んでようが絡んでいまいが、取締役がそのようなことを行うこと自体について承認を必要としています。
一方、インド会社法は、少なくとも299条1項および300条1項の文言上は(但し判例がある可能性あり)、「取締役が企図する利益相反行為に会社の行為が必要な場合(典型的には取締役と会社との間で契約を締結する場合)についてのみ取締役に開示義務を課し、また、会社としてその行為を行うかどうかの取締役会の決議から当該取締役を締め出すこととしているにすぎません。
そのため、取締役の利益相反行為が会社の行為を必要とするものでなければ(典型的には、競業同種事業を別途営む場合)、取締役会への開示も取締役会の承認も不要ということになってしまいます。

もちろん、取締役が競業同種事業を営んだりすることは、前述の競業避止義務や善管注意義務に反する行為なので、インド会社法299条や301条に触れなくとも、インド会社法上違法であることは間違いないのですが、少なくとも会社の行為を必要としない利益相反行為については「利益相反取引」という類型では規制していないということです。

なお、上記にしたがって取締役から開示された利益相反取引の内容や当事者、契約の内容、決議の日付、契約の承認に賛成または反対した取締役の氏名等の情報は、会社内部において記録される必要があります(インド会社法301条)。

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また、これも利益相反取引規制の一種ですが、Public Companyにおいて、会社が取締役またはその関係者に対して貸付、保証、担保の差し入れ行うことは、中央政府の事前承認を得た場合を除いて禁止されています(インド会社法295条)。
ただし、Private Companyの場合、この規定は適用されません。

具体的に、貸付、保障、担保差し入れが禁止される相手方は、以下のとおりです(インド会社法295条1項参照)
①会社の取締役もしくは親会社の取締役またはそれらの親族
②取締役またはその親族が出資者となっている会社
③当該取締役がコントロールできる議決権が25%以上を超えている会社
④取締役が取締役、managing directorまたはmanagerを勤める会社

なお、上記②から④については、親子会社間の取引となる場合には、禁止規制は適用されません。

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会社は、取締役の情報をインド会社登記局(Registrar of Company)に登記しなければならず、取締役の変更または取締役の情報の内容に変更があった場合、30日以内に変更の報告をする必要があります(インド会社法303条)。

登記事項は、氏名、住所、国籍、職業、他の会社の取締役を兼ねている場合その内容、生年月日(これはPrivate Companyのみ)です。
さらに、これらに加えて「父親の姓名(既婚女性の場合、夫の姓名)」も登記事項になっているのがインドらしいというか。
ちなみに、取締役にはこれらの内容を会社に報告する義務が課せられており、もしこれを怠った場合、5万ルピーを上限として罰金が課せられます。

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取締役の報酬は、インド会社法198条の規定に従い、附属定款の規定または株主総会普通決議により決定されます(309条1項)。
ただし、附属定款上、特別決議による決定が要求されている場合には、特別決議が必要とされます。

取締役の「報酬(remuneration)」には、会社が取締役のための負担した各種費用も含まれます。
具体的には、会社が取締役の住居費のために支出した費用、取締役に供与する便益や物のために支出した費用、取締役の義務や履行すべきサービスを会社が代わって履行するために支出した費用、ならびに会社が取締役およびその家族のために支出した保険や年金の費用は、いずれも取締役の「報酬」に含まれます(198条説明書き(a)から(d))

日本と異なるのは、Public Companyについて法令上取締役の報酬の上限が定められている点です。

具体的には、Public Companyについては、取締役およびマネージャーに対する報酬総額の上限が定められており、その上限額は当期純利益の11%とされています(198条1項)。会社がこの上限額を超える報酬を支払う場合、インド中央政府の事前承認が必要となります(同条4項)。
一方、Private Companyについてはそのような上限規制はありません。

この規制の趣旨は、Public Companyは通常上場会社か業法規制を受ける会社であり、公共の利害に関係することが多いことから、これらの会社について過大な報酬による会社資産の流出を避ける点にあります。

さらに、Public Companyにおいては、マネージング・ディレクター、常勤取締役以外の取締役に対する報酬の上限額が、①マネージング・ディレクター、常勤取締役またはマネージャーを選任している会社については当期純利益の1%、②その他の会社については当期純利益の3%とされています。

会社がこの上限額を超える報酬を支払う場合、インド中央政府の事前承認とともに、株主総会特別決議による承認を得る必要があります(309条4項、7項)。
一方、非公開会社では、これらの取締役に対する報酬の上限規制は課されません(同条第9項)。

この規制の趣旨は、公開会社について、経営に実質的に関与しない取締役に対する過大な報酬の支払いを防止する点にあります。

公開会社におけるマネージング・ディレクターおよび常勤取締役の報酬は、毎月定額払いもしくは当期純利益の一定割合、またはそれらの併用により支払われます(309条3項)。
ただし、「当期純利益の一定割合」という報酬の定め方をする場合、当該割合はマネージング・ディレクターまたは常勤取締役である取締役1人あたり当期純利益の5%を超える数字であってはならず、かつ取締役全員の合計で10%を超えてはなりません。
一方、公開会社におけるマネージング・ディレクターおよび常勤取締役以外の取締役に対する報酬は、取締役会ごとの支払いか、月額定額方式による支払いかのいずれかの方法で支払われます(309条2項)。

上記からわかるとおり、インド会社法上は、赤字のPublic Company(=通常上場会社)については、中央政府の承認がないと取締役は報酬がもらえないというシステムになっています。

これ、個人的には結構いいシステムだと思います。
日本の会社法にもこういう規定があれば、世間でよくある「上場会社で会社は大赤字なのに、(代表)取締役は巨額の報酬を得ている」という事態が防げることになり(粉飾決算までされてしまうと無理ですが)、株主保護に資するのではないでしょうか。
(規制緩和の流れに思いっきり逆行するので実際には無理でしょうが)

ちなみに、Public Companyがいったん定めた取締役報酬を増額変更する場合、やはり中央政府の承認が必要になります(310条)。

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取締役、取締役会の解説は今回で終了です。
まだ書き足りないところもありますが、まずはインド会社法を概観することを優先し、とりあえず先に進みます。

次回からは、監査役、監査委員会について解説していきたいと思います。

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シャワータイム・ブルース

最近少し忙しく、ブログの更新が滞り気味になっています。
じっくりとインド会社法を読み込む時間もなく、インド会社法解説もなかなか更新できません。
現状、会社法解説については、年内はあと1、2回くらいの更新が精一杯だと思います。

私が立法担当者で、立法した法律について書いているのであれば、ちょこちょこと合間をぬって更新するということも可能なのでしょうが、このブログのインド法に関する内容は私がほとんど一からリサーチして書いていますので、まとまった時間がないとなかなか書くこともできません。

大変申し訳ないのですが、特にインド法関連の記事については、更新頻度が遅れることについてご了承をいただければと思います。

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さて、12月に入り、さすがにムンバイの気温も下がってきました。
気象予報によれば、今日(12月18日)の最高気温は31度、最低気温は22度です。

……これでも下がったんです、ええ。

実際、夜もエアコンはもちろんファンなしで眠れていますし、夕方以降、半袖で外出すると肌寒く感じることもあります。
雨季直後はインドに対する憎悪をかきたてるに十分な暑さだったことを思えば、段違いに楽になったとはいえます。

さて、過ごしやすくなったのはいいのですが、今度はまた別の問題が。
気温が下がったのに合わせて、家のシャワーの温度が下がってきました。

日本でも、シャワーの温度設定を同じにしていても、夏は熱く、冬はぬるくなるということはあります。
これは給湯器がある程度外気の影響を受けるからですが、今家で起きていることは、それとは少し違います。

インドでは、GIZA(ギザ)と呼ばれる給湯器がお湯を沸かしていますが、給湯管を1回通っただけの水をそのままお湯として蛇口から流せるほど火力が強くないため、GIZAの中でいったんお湯をためて加熱し、十分な熱さにしてからお湯を放出する仕組みになっています。
言い換えれば、まともにお湯がでるのは、GIZAにたまっているお湯が出ている間だけで、それが出きってしまえば、「給湯管を1回通っただけの水」が出てくるだけになるということです。

備え付けのGIZAが大きければ、たまっているお湯だけで必要な用は足せてしまうのですが、小さければ、途中でお湯は完全に出きってしまい、「給湯管を1回通っただけの水」が出てくることになります。

……ここまで読んだ方、お察しの通り、今の私の家のGIZAはかなり小さく、まともにお湯が出るのは最初の3分間だけという状況です。

さて、「給湯管を1回通っただけの水」といっても、周囲の気温が高いときには、外気の影響でそれなりに暖かく、シャワーとして浴びてもそんなに問題ありません。
そもそも、暑いときにはぬるめのシャワーを浴びたいので、むしろぬるい方が良かったりします。

が、今くらいに気温が下がってくると、「給湯管を1回通っただけの水」だと力不足で、うちのGIZAだと32、3度くらいが精一杯になります(正確に測ったわけではありませんが。)。
今の気温でこれを浴びるのは正直かなり辛いです。
シャワー上がりはいつも、プールから上がった小学生のようにバスタオルの中で震えています。

この寒いのが嫌で嫌で、最近は、すっかり3分でシャワーを浴びる癖がついてしまいました。
当然のことながら、3分だと全身を十分に洗うことが難しく、シャワーの爽快感はものすごく低くなってしまいます。

バスタブでお風呂に入るのはとっくの昔に諦めていますが、たっぷりのお湯で思う存分シャワーを浴びたい、と願うことさえ、この国ではぜいたくなことなのでしょうか…

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ミロとオイルマッサージと偽トマトとのだめ

リンク機能の使い方がわかったので、いろいろ試してみました。
今後は、アドレスをそのまま貼り付けるのではなく、リンクの形にしたいと思います。

・ミロ
先日、牛乳があまり美味しくないという話を書いたのですが、先日スーパーに買い物に行った際、心強い味方を発見しました。

同じネスレが製造しているミロ
牛乳に溶かして飲むと、飲みづらさが半減します。

牛乳だけのときは、そのまずさから飲むのが億劫になっていたのですが、最近は朝と夜にミロ入り牛乳を飲んでいます。
ミロを飲むのは小学校以来ですが、これがなかなか美味しい。
カップラーメンと猫まんまの二択になっている最近の夕食の栄養を、少しでも補うことができればと

・オイルマッサージ
先日、ムンバイ有数の高級ホテルであるOberoiのオイルマッサージを受けてきました。
90分で5500ルピー(約16500円)と、なかなかのお値段だったのですが、それだけの価値はありました。

最初にスパでサウナに入って体をぐにゃぐにゃにした後、マッサージルームに入り、ハーブオイルの香りの中で全身マッサージを受けました。

弱すぎず、痛すぎず、絶妙な力の加減。
オイルの香りが心を鎮めます。
あまりの気持ちよさに半分眠ってしまったらしく、途中から記憶が途切れ途切れに。
それでも、終わったときのリフレッシュ感は素晴らしいです。

金額が金額だけに今後も気軽に行くことは難しそうですが、異国の生活に疲れたときにはいい薬になりそうです。

・偽トマト
レストランで野菜炒め(Stir Fried Vegetables)を注文したところ、中に干したミニトマトが入っていました。

変わったものを具にするなー、と思いつつ口に入れて一噛み二噛み。

……(何が起こったのかよくわからない)

ギャワー

干し赤唐辛子でした。

そりゃあ、トマトと唐辛子を間違えた私も馬鹿ですが、なぜ野菜炒めに干し赤唐辛子を丸ごと入れるのか
この国もう嫌だ…

後から調べたところ、チェリー・ポンプという名前の唐辛子でした。
↓こんな外見、絶対トマトと間違えるやん。

Cherry

                                                 

                                                 

                       

ちなみに、この後はほとんど1日中口がしびれてしまい、何を食べても味がよくわかりませんでした。

・のだめ
ムンバイの日本人の方から「のだめカンタービレ」のドラマ全話のDVDを貸していただいたのですが、これが面白い面白い。今さらながら、すっかりはまっています。

日本で仕事をしていたころは、テレビ自体見る暇がほとんどなく、当然ドラマも全く見ていませんでした。
すっかり忘れていたこの感覚。

こういうふうにテレビドラマを見たり、休日毎週のようにテニスをしたりできる日々に、ああ、自分にはこういう時間が必要だったんだなあと。できればインド以外の場所で。

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インド会社法解説その11 -会社の機関 取締役、取締役会③-

必要なことの一から八くらいまでは法律と施行規則に明文規定がある日本の会社法にすっかり慣れてしまったからか、インド会社法の条文を読んでいると、規定に整合性がなかったり、規定が不十分だと感じることが多いです。

そういうときは事務所内のインド人弁護士に聞くのですが、それでも今ひとつ理解しにくいことが多いです。
「なんでそんな基本的なことについて明文規定がないの?」とか、
「なぜ規定間に矛盾があるようにみえるの?」とか、
「法文の英語がものすごくわかりにくい」とか。

特に、法文の英語がわかりにくいというのは強烈で、何回読んでも意味が理解できない条文も少なくありません。
私の英語力が足りないという問題もあるのでしょうが、それよりも何よりもインド会社法の条文の英語が拙劣であるというのが大きいです。インド人弁護士でさえ、同じ条文について2人の弁護士が違う解釈をしていたりするので、根本的に「わかりやすい意味明晰な英語」という点で問題があるのでしょう。

「なんでこんなにインド会社法は読みにくいの?」とインド人弁護士に尋ねたところ、「法律の正式名称(Companies Act, 1956)知ってるよね。半世紀以上も前にできた法律を改正でつぎはぎしながら使っているんだから、読みにくいし、現在のプラクティスから外れる部分もあるのはしょうがないよ」との答えでした。

納得。

少なくとも、つい1年半まで明治時代にできたカタカナ、文語文の商法で会社関係を規律していた日本人が、とやかく言えることではありませんね…

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閑話休題

今回は取締役、取締役会関係の続きです。

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

前回、少し「取締役委員会」について述べましたが、これについて補足したいと思います。

「社債以外の借入、会社資金の投資および貸付については、取締役会はその決議により、決定権限を取締役等で構成される委員会に委譲することができる」との規定(インド会社法292条2項)について、この規定はそれ以外の事項について取締役会が取締役委員会に権限委譲することを禁止する趣旨ではありません。

すなわち、この規定は、その前項である292条1項の「株式の払い込みを行わない株主に対して支払い要求を行うこと、自己株式の買取、社債の発行、社債以外の借入、会社資金の投資、貸付については取締役会の会議形式で決議しなければならない」という規定を受けて、後三者の「社債以外の借入、会社資金の投資および貸付」については取締役委員会に委譲することもできるということを示したものにすぎません。

上記以外の取締役会決議事項、たとえば一定の経営事項についての判断、Private Companyにおける株式の譲渡の承認その他について、取締役会が取締役委員会に権限委譲することは、インド会社法上当然にできると解されています。
このあたりは、日本の会社法上、明文で取締役会専決事項とされている事項以外の事項については、経営委員会その他の名称の委員会に権限委譲可能と解されていることと同様です。

そのため、インドでは、ある程度大きな会社については、1つまたは2つ以上の取締役委員会を有するのが通常であり、取締役会はその決議により、さまざまな権限を取締役委員会に委譲しています。
特に上場会社については、取締役委員会を持たない方が珍しく、多くの権限から取締役会から取締役委員会に委譲されています。ちなみに、どのような権限を委譲しているかは、継続開示における開示事項とされています。

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さて、これまで取締役、取締役会について述べてきましたが、インド会社法上は、日本の「代表取締役」に相当する機関は存在しません。

Public Companyについては、通常の取締役のほか、マネージングディレクター(managing director)、常勤取締役(whole-time director)またはマネージャー(manager)のいずれかを選任しなければならないとされていますが(インド会社法269条)、常勤取締役と並列的に列挙されていることからも窺えるとおり、マネージングディレクターは「会社の法的な代表権を有する特別な存在」、というわけではありません。

これは、インド会社法上の取締役の位置づけとも関連します。

すなわち、インド会社法上、個々の取締役は、定款上特別な規定がない限り、それぞれ会社を代表して業務を執行する権限を有するとされており、かつ、仮に定款上特別な規定がある場合でも、その規定は第三者には対抗できないと解されています(判例法)。すなわち、定款上特別な規定(「業務執行権限はマネージングディレクターのみが有する」等の規定)を置いて個々の取締役の業務執行権限を制限したとしても、その制限は第三者には対抗できません。
また、取締役会の決定なくして、取締役が第三者に対して業務執行行為を行った場合であっても、会社はその業務執行行為について責任を負うと解されています。
これは、日本において、代表取締役の権限に内部的に制限を加えても善意の第三者に対抗できないとされているのと同様です。

このように、個々の取締役が業務執行権限を有する以上、インドでは業務を執行する特別な機関としての代表取締役を置く必要がない、ということになります。
(ちなみに、取締役会が「個々の取締役の総称」と定義されているのも、このあたりに理由があるようです。)

そのため、インド会社法上、マネージングディレクターやマネージャーは、「会社の顔」として事実上の会社の代表権限は有しますが、インド会社法上はそれほど特別な法的地位や権限が与えられているわけではありません。
マネージングディレクターがいる会社であっても、その他の取締役が(内部的な制限を無視すれば)会社の業務を執行することは可能です。

なお、上述のとおり、インド会社法上、Public Companyについては、マネージングディレクター、常勤取締役)またはマネージャーのいずれかを選任しなければならないとされており(ちなみに、選任は取締役会ではなく株主総会において行われます)、かつ、これらの選任に際しては、インド中央政府の承認が必要とされています。
これは、マネージングディレクターやマネージャーは、少なくとも会社内部的には会社の主導権を握っている者(会社設立者やその一族等)が就任することが多いため、公開会社(=上場会社または一定の業法規制を受ける会社等)については、それらの者をある程度インド政府がコントロールしようとする趣旨であると考えられます。

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次回も取締役、取締役会の解説です。
一応、次回で終了の予定です。

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君のために餅をつく

日曜日の午前中、日本人会のイベントで、ボンベイ日本人学校(学校名としてムンバイの旧称のボンベイをそのまま使用しているようです)で行われた餅つき大会に参加してきました。

ムンバイの日本人学校に来たのは初めてだったのですが、いかにも「日本の学校」という感じの学校で、校舎の中を見るとここがインドだとは思えないくらいです。
ムンバイは日本人の数そのものが少ないこともあり、生徒数は小学校1年生から中学3年生まで併せて20名足らずとのことです。

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総領事のご挨拶、日本人学校の校長先生のご挨拶のあと、明るく元気なボンベイっ子達に囲まれて、餅つき大会が始まりました。

掛け声とともに、まずは大人が餅をつきます。
一突きごとに子供たちの歓声が上がります。
私も10年ぶりくらいに餅をついてみました。
楽し楽し。

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続いて子供たちもつきます。
杵がかなり重いため、なかなかうまくつけませんが、とても楽しそうです。

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Pc090007出来上がったお餅は、日本人学校の子供たちのお母様方が中心となって、ちぎり、丸め、味付けしてくださいました。

                                           

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さすがつきたて、ものすごく美味しいです。
味付けもきな粉、あんこ、醤油海苔と、日本人の心に響くものばかり。久しぶりのビール片手にお腹いっぱいになるまでいただきました。                                              

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もともとこのイベントは、日本人学校の子供たちが日本の文化を体験できるようにとの配慮から始まったそうですが、ムンバイで餅つきを行うのは相当に大変で、関係者の方々のご苦労が偲ばれます。
私自身は全く準備のお手伝いをしていないので、何だか申し訳ないです。

餅米は日本から輸入。
臼や杵、もち米を蒸す機器もインドでは当然売っていないので、日本からの取り寄せとなります。
また、生水が調理に使えないことから、餅米を洗う水、餅米を蒸す水、杵を浸す水、臼を洗う水、全てミネラルウォーターでまかなっているとのことです。

それでも、餅をつくときの子供たちの顔を見ていると、インドにいるからこそ、こういうイベントは必要なんだろうなと強く思いました。

日本人なら誰しもが一度は味わったことのある餅つきの楽しさやつきたてのお餅の美味しさ。
日本人学校が外国において日本人としてのアイデンティティを育てる場であるとすれば、間違いなく「必要な体験」なのでしょう。

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Sania Mirza

週末、いつものようにテニスをしていると、なんと隣でSania Mirzaが練習を始めました。

Sania Mirzaはインドで最も有名な女子テニス選手で、現在、世界ランキングでシングルス31位、ダブルスは18位の選手です。
そのルックスと実力から、インドでは国民的なアイドルとなっています。

http://www.sonyericssonwtatour.com/2/players/playerprofiles/Playerbio.asp?PlayerID=310112

実物を見たのはもちろん初めてだったのですが、スタイルの良い美人です。
ちなみに、ヒッティングパートナーは2人でした。彼女クラスになると1人では務まらないのかもしれません。

さすが上位ランクプロ。
軽く流しているだけなのに打球のスピードが違います。
インパクトの瞬間の音もきれいです。

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ショットに納得がいかないのか、首を傾げています 。
こういう姿も絵になりますねえ。

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10メートルほど隣のコートでMirzaが練習しているということで、皆完全に気もそぞろ。練習そっちのけでMirzaの方を見ていました。
コーチも隣が気になってしょうがないようで、球出しが荒れる荒れる。
が、その気持ち、わかります。インドでテニスに関係する仕事をしていて、隣にMirzaが来たら冷静ではいられませんよね…
日本で言えば、街中のテニスクラブで練習していたら、突然隣に杉山愛が来て練習を始めたという感じでしょうか。

よく見ると、コートの周りにインド人がたくさん集まってきています。
新聞のカメラマンもいました。
さすが国民的アイドル。

Mirzaが休憩しているタイミングで、写真を撮ってもらえるようお願いしたところ、快諾。
いい人です。
いつものテニスメンバーと一緒に撮ってもらいました。

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Mirzaは1時間ほど軽いラリーを続けた後帰っていきました。
本格的な練習というより、感覚を忘れないための慣らしということなのでしょう。

こんなに近くでプロ選手の練習を見たのは、テニスに限らず初めてです。
ものすごく貴重な体験でした。

Img_2571それにしても何に驚いたって、Mirzaクラスのプロ選手が、
←こういうグラウンドで練習していたこと。
かえって調子を崩しちゃうんじゃないかなあ…
一流選手は練習場所を選ばない、ということなのかもしれません。

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贈り物

日本から遊びに来てくれた友人が、新しいDVDプレーヤーとホームシアターセットを持ってきてくれました。
こんなに重たいものを、わざわざ日本から持ってきてくれたことに本当に感謝です。

DVDが壊れて(というか壊して)以来、持ってきた映画やお笑いが全く見られなくなっていたので、何よりのクリスマスプレゼントです。
↓壊れた経緯
http://lawyerinindia.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_4af5.html

とりあえず試運転ということで、「Head in the Clouds」(「トリコロールに燃えて」という内容とはほぼ無関係な意味不明な邦題がついています。)を鑑賞。
Charlize Theronはやっぱりいいなあ。

ちゃんと動くことを確認した後、おもむろにラーメンズの「CLASSIC」に入り、久しぶりのお笑いを堪能。心の栄養を補給しました。

日本の事務所から、インド映画のDVD(と書籍)をたくさん送っていただいたので、明日から少しずつ見ていこうと思います。
インド映画は初めてなので、まずは取っ付きやすそうな「Monsoon Wedding」あたりにチャレンジしてみようかと。

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10000Hit

さきほどアクセスカウンターを見たところ、ちょうど今日で10000ヒットを超えていました。

ブログ開設以来、平均で毎日100人前後(重複はありますが)にご訪問いただいたことになります。

内容の半分以上は日常のくだらないことであるにもかかわらず、多くの方にご訪問いただき、感謝感謝です。

今後ともよろしくお願いいたします。

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インド会社法解説その10 -会社の機関 取締役、取締役会②-

(2008年5月一部修正)

インド会社法原文リンク(しつこくてすみませんが、本ブログの記事を何かの参考にする場合、原文を参照することを強くお勧めします。)
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

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インド会社法上、取締役会は「会社の取締役の総称」として定義されており、日本の会社法のように「取締役とは別個独立の会社の機関(個々の取締役は取締役会の構成員にすぎない)」という捉え方はされていません。

すなわち、インド会社法252条3項は、「会社の取締役を総称してBoard of directorsと呼ぶ」と規定しており、Board of directorsを取締役によって構成される合議体とは定義していません。
参考 インド会社法252条3項原文
The directors of a company collectively are referred to in this Act as the "Board of directors" or "Board".

したがって、インドには日本のように「取締役会非設置会社」という概念は存在しません(非設置会社の制度が存在しないのではなく、そもそもの「取締役会」の概念が異なるため、取締役が複数いる会社(=全ての種類の会社)は、必ずBoard of directorsを持つということになります。)

また、日本の会社法では、取締役会は意思決定機関であり、執行機関は代表取締役(または取締役)となりますが、インド会社法では、Board of directorsそれ自体が意思決定機関であるとともに執行機関を兼ねます(インド会社法291条)。

このように、インド会社法上のBoard of directorsは、日本の会社法上の取締役会とはやや異なる概念ではありますが、実質的な役割や機能にはあまり相違はないため、以下、インド会社法上のBoard of directorsのことも「取締役会」と呼ぶことにします。

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取締役会の権限は、法令や定款で株主総会やその他の会社の機関(監査委員会等)に留保されている権限以外のほぼ全ての権限におよび、これらについて決議を行うとともに、決定した事項を執行します(インド会社法291条1項)。
また、株主総会の決議により、既に行われた取締役会の行為を無効とすることはできないとされています(同上2項)

インド会社法上、取締役会は原則として3ヶ月に1回以上かつ1年に4回以上開催しなければならないとされています(インド会社法285条)。
ただし、中央政府が官報通知により各種類の会社に対して別途の頻度を指定した場合(例えば、「private non-limited companyについては半年に1回で良い」など)、これに従うことになります(同但書)。

取締役会の召集通知は書面で行われる必要があり、法令上は召集手続の省略は認められていません(インド会社法286条1項)。召集通知は、インド国内にいる取締役については方法を問わず渡せばよく、インド国外にいる取締役については、当該取締役が通常インドにおいて居所としている場所に送達することになります。
ちなみに、この召集通知の送達を召集通知担当の役員が怠った場合、1000ルピーの罰金が課されます。
インド会社法上、召集権者についての定めはなく、通常は定款でManaging Director(日本の会社法でいう代表取締役)が召集権者とされているようです。

取締役会の定足数は、取締役全員の数の3分の1または2人のいずれか多い方とされています(インド会社法287条)。
ただし、議題に関して利益相反が生じる取締役については、定足数にはカウントされず、その反面議論や議決のための投票に加わることができません。
ちなみに、定足数がそろわなかった場合、取締役会は自動的に1週間後の同じ曜日、同じ時刻に延期されます(インド会社法288条)。

取締役会の決議要件は、取締役による過半数の賛成です。
ただし、定款で一定の事項につきこれよりも厳しい決議要件を定めた場合、それに従います。

取締役会の書面決議も可能とされています(インド会社法289条)。
日本の会社法上は、取締役の書面決議は取締役全員の賛成が議案の成立要件とされていますが(したがって、全員一致の場合以外は可決できない)、インド会社法上は、通常の会議による決議と同様、過半数の賛成があれば決議できるとされています。
ただし、インド会社法上の書面決議の場合、決議時点でインド国外にいる取締役は決議に参加できません(定足数にもカウントされません。)

インド会社法上の取締役会の書面決議の成立要件をまとめると、以下のとおりです。
①決議すべき議題に関する書類が、その添付書類とともに全ての取締役に回覧されていること(ただし、インド国外にいる取締役については、その取締役が通常インドの居所とする場所に送れば良い)
②書面決議のための書面回覧を行う時点で、インド国内にいる取締役の数が上記で述べた取締役の定足数を満たしていること(上述のとおり、インド国外にいる取締役は定足数にさえカウントされないため)
③書面により過半数の(定足数にカウントされたインド国内にいる)取締役の賛成が得られること

②について、定足数は決議時点でカウントされるため、例えば、①により、インド国外にいる取締役のインド国内の居所にあらかじめ書面を送っておいて、その後取締役が帰国した時点で書面賛成して決議を成立させるということも可能です。
(2008年5月訂正)
定足数がみたされているか否かは、書面決議を行うべく書類を発送した時点を基準にカウントされると考えられます。
書面決議の場合、会合形式の取締役会と異なり、明確な「決議時点」があるわけではなく、法律上は書面を受け取った者が全員即座にサインして送り返せばその時点で成立してしまうため、基準時は書類発送時点の方が明確であるためです。

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なお、書面決議を行ったことをもって、3ヶ月に1度の取締役会を開催したことにはなりません。3ヶ月に1度の取締役会の開催は、会合形式により行われる必要があります。
このあたりは、日本の会社法と同じですね。

さらに、以下の事項については、書面決議ではなく必ず会議形式による決議により決定、執行されなければならないとされています(インド会社法292条)。
・株式の払い込みを行わない株主に対して支払い要求を行うこと
・自己株式の買取
・社債の発行
・社債以外の借入
・会社資金の投資
・貸付

この条文には、①これらの事項については必ず取締役会決議で行わなければならない(日本の会社法362条4項の取締役決議事項の規定に類似します)という意味と、②これらについては書面決議は認められないという2つの意味があります。
もっとも、①について、同条は、上記のうち社債以外の借入、会社資金の投資および貸付については、取締役会はその決議により、決定権限を取締役で構成される委員会(特にインド会社法上特別に規定される委員会ではなく、会社自身が任意に設置する委員会。以下、「取締役委員会」といいます。)に委譲することができるとしています。

なお、取締役委員会に対して権限委譲が行われた事項については、定足数や決議は当該取締役委員会単位で判断され、書面決議も取締役委員会のレベルで行われます。
取締役委員会の定足数や決議要件、書面決議の要件は、取締役会に準じます。

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次回も引き続き取締役と取締役会についての解説です。
何とか更新ペースを上げられるよう頑張ります。

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ムンバイの路上生活者

ムンバイでは多くの人々が路上で生活しています。

この路上生活、日本のように青いテントを張って生活するというのではなく、文字通りの路上生活です。
路上で起き、食事をし、子育てし、眠っています。
家族4人が路上に七輪らしきものを置いて煮炊きしている姿を見て、ああ人間って強いなあと。

歩道の上で敷物も何もなく横になって眠っている人を初めて見たときには衝撃を受けたものですが(死んでいるのかと思った)、今やその程度のことではびくともしなくなりました。
ちなみに、着るものがないのか、多くの子供は全裸かそれに近い状態です。

さて、日本ではできない完全路上生活ができる理由は、①治安当局があまりうるさく言わない、②温暖な(というか暑い)気候、といったあたりです。

①について、ムンバイでは路上生活者の数が尋常ではないので、うるさく言い出したらきりがない、ということだと思います。
また、保護先を確保せずに無理に立ち退かせても、また別の場所で路上生活を始めるだけなので、実質的に無意味ということもあるでしょう。

②について、現在12月ですが、ムンバイの気温は夜でも20度を越えています。
これだけ暖かければ、路上生活をしても凍死の心配はありませんし、寒さで体調を崩す可能性も低くなります。

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私が何ができるわけでもないので、路上生活者についてどうこう言えることはありませんが、1つだけ本当に困ることが。

彼らはどうも路上で排泄しているようであり(3回ほど目撃しました)、路上生活者のいる道端にはその名残がたくさん落ちています。
ひどい場所では、1メートルの間に2、3落ちていることも珍しくありません。

雨季だと片端から流れていくのであまり問題ないのですが、今は乾季。
日々恐ろしいトラップに心をすり減らしながら道を歩いています。

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ところで、路上生活者の人たちって雨季の間はどうしていたんでしょうね。
さすがに雨が降っている中で路上で寝ているということはないと思うのですが。
雨季のときはインドに来たばかりだったので、疑問に気がつかなかったのが残念です。

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