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インド会社法解説その14 -会社の機関 監査役、監査委員会②-

(2008年7月、一部加筆修正。修正部分には下線を付しています)

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

年末年始を挟んだため、少し間が空いてしまいました。
監査役、監査委員会の解説の続きです。

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会社のうち、資本金5000万ルピー以上のPublic Companyについては、「監査役」のほか、監査委員会(Audit Committee)と呼ばれる監査委員会を会社内に設置する必要があります(インド会社法292A条)。
これは上記要件を満たすPublic Companyの義務ですが、その反面、上記要件を満たさない会社(全てのPrivate Companyや資本金5000万円未満のPublic Company)は、監査委員会を設置することはできません。

監査委員会は、少なくとも3名以上の取締役から構成される必要があり、かつ構成員の3分の2は、、マネージングディレクター(managing director)でも常勤取締役(whole-time director)でもない取締役でなければなりません(292A条1項)。

監査委員会は、取締役会によって書面により定められた規約に基づいて活動し(同条2項)、その構成員の中から議長を選出します(同条3項)。監査委員会の議長は、定時株主総会に出席し、監査に関する事項を説明する義務を負います(同条10項)

このように、監査委員会は「監査役」ではなく取締役を構成員とし、かつその活動が取締役会の定める規約に基づく点で、取締役会および取締役からの独立が制度上保障されている日本の監査役または監査役会とは異なります。
もっとも、日本の会社法上も、委員会等設置会社においては、監査委員会は取締役会の下に設置されるため、インドの監査委員会は、「日本の委員会等設置会社における監査委員会」に相当するといえます。

なお、監査の実効性確保の観点から、監査委員会のメンバーに就任する取締役は、いわゆる社外取締役、監査担当取締役であることが通常であり、マネジメント担当の取締役がメンバーになることは基本的にありません(少なくとも、マネジメント担当の取締役が監査委員会で多数派になることは、通常ありません)。
「構成員の3分の2は、、マネージングディレクター(managing director)でも常勤取締役(whole-time director)でもない取締役でなければならない」という292A条1項の規制は、上記理念を表しているといえます。

前回解説したとおり、「監査役」になることができるのは、1949年インド勅許公認会計士法(Chartered Accountants Act, 1949)に基づく勅許公認会計士の資格を有する者に限られていることから、インド会社法法上、日本の監査役(=国家資格等なしに選任されることが可能)に相当するのは、監査委員会の構成員(=同様に、当該会社の取締役に選任されていさえすれば国家資格等なしに構成員に選任されることが可能)であるといえます。

会社の年次報告書(Annual Report)は必ず監査委員会に開示されなければならず(同条4項)、「監査役」、内部監査人(※インド会社法上の役職ではなく、会社が任意に内部監査を行う権限を与えた者をいう。したがって、会社によっては存在しない)および財務担当の取締役は、監査委員会の会議に出席する義務があります(同条5項)。ただし、「監査役」、内部監査人および財務担当の取締役は監査委員会の構成員ではないことから、意見は述べられるものの、監査委員会の議決に参加することはできません。

監査委員会は、年次報告書および半期報告書の提出前ごとに、「監査役」とともに、内部統制システムおよび監査範囲について、および内部統制システムの遵守体制について話し合う必要があるとされています(同条6項)。

監査委員会は、法令で定められた事項または前述の取締役会の定める規約上の目的を達成するために必要な全ての調査を行う権限を有しており、全ての会社の内部情報を閲覧し、また必要がある場合には外部の専門家の意見を聞くことができます(同条7項)。

財務事項(財務書類についての監査意見表明を含む)について、監査委員会が表明した意見は取締役会を拘束し、もし取締役会が当該意見に従わない場合には、その理由を記録の上株主に開示する必要があります(同条8項、9項)。

監査委員会についての上記規定に違反した場合、1年以内の懲役もしくは5万ルピーを上限とした罰金が課され、またはそれらが併科されます(同条11項)。

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インド会社法上の監査関係の役職、組織を整理すると、以下のとおりです。

「監査役」(Auditor)=日本の会社法上の会計監査人に相当する存在であり、業務監査権限は有さない反面、財務書類の監査権限を有する。財務書類の監査が業務となることから、1949年インド勅許公認会計士法(Chartered Accountants Act, 1949)に基づく勅許公認会計士の資格を有することが選任要件とされている。

監査委員会(Audit Committee)=取締役(通常社外取締役または監査担当取締役)を構成員とする(構成員の3分の1については取締役以外の者がなることもできる)。その活動は取締役会の定める規約に基づくが、業務監査および財務監査の実行にあたってかなり強い独立性が認められており、その位置づけおよび権限は日本の「委員会等設置会社における監査委員会」に相当する。監査委員会の構成員となるにあたり、公認会計士資格その他の資格は不要。資本金5000万ルピー以上のPublic Companyが設置義務を負う。

・内部監査人(Internal Auditor)=会社が内部監査の権限を与えた者をいう。インド会社法上の役職ではなく、単に会社が内部監査の権限を与えた者をそのように呼称しているだけ。したがって、もちろん設置は任意である。

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次回は会社秘書役(Company Secretary)です。
日本法には秘書役という概念がありませんが、英米法では結構重要な役職だったりします(といっても、実はあんまり書くことはないのですが。)

会社秘書役で会社の機関の解説は終わり、その後は後回しにしていた株式(新株予約権)について解説していきたいと思います。

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