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コックローチ・バトル4 -新たなる希望-

A Short Time Ago in India Far, Far Away…
ちょっと前、遥かインドの彼方で…

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皆が平和に暮らしていた時代。
穏やかで、暖かで。
こんな日々がいつまでも続くと思っていた。
ささやかな願い。

変化は突然に訪れた。
巨大な男が突然部屋(せかい)に入ってきたのだ。
男は多くの荷物とともに部屋を占拠し、我が物顔に振舞い始めた。

皆はとまどった。
突然自分達の世界に入ってきた異質の存在。
ある者はひたすら逃げ惑った。
ある者は淡々と存在を受け入れた。
ある者は積極的に男に接触を試みた。

時が経つにつれ、男の存在は一族にとって深刻な問題となっていった。
理由は不明だが、男は一族に対して強い嫌悪感を抱いているらしい。
一族の側から男に危害を加えたということはないため、多分に男の側の情緒的な理由であると思われた。

そのうち、男は一族の姿を見ると、その殺害を試みるようになった。
攻撃の手段など何一つ持たず、逃げ足のみを発達させて生存競争を勝ち抜いてきた一族。自分達よりも遥かに大きく、力も強く、道具さえ使いこなす男に対して反撃することなどできようはずもない。
それはまさに一方的な虐殺だった。

男に接触を試みた者は、男によって追い回され、木を磨り潰して薄皮状にしたものを丸めたものに叩き潰されるという悲惨な最期を遂げた。
散歩中に偶然に男に見つかってしまった者は、男の持つ機械から猛毒の霧を吹きかけられ、苦悶の表情を浮かべてこときれた。

奇妙なことに、理由もなく(あるとすれば自分の情緒のみで)、一族を殺しまわっているように見えるにもかかわらず、男は一族を殺すことに苦痛を覚えているようだった。
一方的に嫌悪感を抱き、殺戮しているにもかかわらず、その殺している当の本人が、一族を追回し、殺すことに多大な倦怠感と疲労感を覚えているのである。
殺される側にとっては、これほど不合理なことはなかった。

「我々には見えないが、実は彼の上には彼に対する命令者がいて、彼はその命令に不本意ながら従っているのだろう」
「彼自身が、自分でコントロールできない感情に突き動かされているのではないだろうか」
一族の間で多くの仮説が提唱されたが、その間も男による殺戮は止むことがなく、問題が解決することはなかった。

この段階では、しかし社会はまだ崩壊には至っていなかった。
男は相変わらず同胞を殺し続けていたが、それらは単発的な事態の集積にすぎず、不運にも偶然男と遭遇してしまった者が殺されるという出来事が積み重なっているだけであった。
また、男と遭遇したとしても必ずしも殺されるとは限らず、かなりの確率で逃げることもできた。逃げた場合、男が深追いすることはなかったし、男の側から積極的に一族に近づいて殺すということもなかった。

要するに、「男と遭遇し、かつ逃げ遅れた者のみが殺される」という状況であり、一族の間では、次第に、男との遭遇による同胞の死は「大きな不運と少しの不注意の産物」とみなされるようになってきたのである。
交通事故により絶え間なく死者が発生することが、社会全体の存続を危うくするものではないのと同様に、男による単発的な殺害の頻発は一族全体の存在を揺るがせるには至らず、いつしか男と一族との間には奇妙なバランスが成り立つようになっていた。

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しかし、そのバランスは唐突に破られた。
男が、猛毒を含む食料をばら撒き始めたのである。
厄介なことに、その食料は一族の者にとって極めて魅惑的な芳香を放ち、またその美味なことは心を蕩かせるものであった。そのため、毒のことを知らない一族が、その匂いに惹かれてその食料を食べ、命を落とすということが相次いだ。また、毒のことがある程度知れ渡った後も、ある物は飢餓に耐えられず、ある者は刹那的な快楽を求めて手を出してしまい、一時の至福の後、絶命するということが絶えなかった。

いつしか、その食料は、一族の間で、恐れと怒りを込めて「Housan-Dango」と呼ばれるようになった。「Housan-Dango」とは遥か東の国の言葉で、「Housan」は「有毒なもの(水に溶かすもの、という意もある)」、「Dango」は「甘くて美味な舌ざわりの良いお菓子」を意味する。
Housan-Dango」は、直接これを食べた者だけでなく、食べた者の排泄物(摂食後、毒が効くまでに排泄されたもの)に触れた者の命も奪い、また一族の生殖能力にまで影響を及ぼすものであった。

これまでの単発的な殺害と異なり、「Housan-Dango」は食料を罠として一族を老若男女問わず殲滅するものであり、一族全体の存在を脅かすものであった。それはまさに無差別殺戮と呼ぶに相応しい攻撃であり、一族の数は見る見るうちに減っていった。
Housan-Dango」が撒かれた後、男による単発的な殺害の数は減ったが、それは単に一族全体の数の激減に比例して男に遭遇する者が減少したことの結果にすぎなかった。

ここに至り、一族は一致団結し、一族の楽園から無差別殺戮者を排除すべく、男に挑むようになった。
まともに行っては決してかなわないことはこれまでの経験から明らかであったため、基本戦略は絶え間ないゲリラ攻撃と定められた。
それはまさに一族の存亡を賭けた戦いであった。

しかし、男の持つ機械の猛毒の霧の威力はすさまじく、若く、勇敢で、力に溢れた一族の戦士たちが次々と戦死していった。
一族の中でも特に武勇にすぐれ、かつ特殊な能力を有する戦士は、敬意を込めて「ゴキダイの騎士」と呼ばれていたが、ゴキダイの騎士達をもってしても、男の攻勢をとどめることはできなかった。
その間も男は着々と自分の支配権を固め、ついには、部屋(せかい)は我1人のものであると宣言したのである。

戦いは男の完全勝利であり、ゴキダイの騎士達は全滅したかと思われた。

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あるとき、一族の若者が、生き残りのゴキダイの騎士に出会い、父親についての話を聞かされるとともに、形見の触角(テンタクル・セーバー)を得る。
その直後、その若者は、一族の王族の姫(実は双子の妹)からメッセージを受け取り、次代のゴキダイの騎士として目覚める。

若者は、一族は全滅したものとすっかり油断していた男に対し、男が水道の蛇口をひねろうとした瞬間、その手に乗り移るという大胆不敵な行動をとった。若者は大きく、素早く、その6本の足が手を這い回る感触は男に強い精神的ダメージを与えた。また、それ以上に、一族に生き残りがいたことに男は衝撃を受けた。

しかし、若者の反撃はこれで終わったわけではない…

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-そして、新たなる希望がここに-

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コメント

Housan-Dangoが印度大陸の一族にも効果があるなら、実は商売になったりしませんかね。。。
あと、一族の足は6本ですよね。。つまらないコメントですみません。

>凸 様

いや、印度大陸には、「ペストコントロール」という究極の対策があるので、たぶんHousan-Dangoは普及しないと思います。
ちなみに、ペストコントロールに使用されるのはものすごく強い薬品なので、人間の健康にも害を与えます。これに平気で耐えられるのは、幼いころからの化学物質乱用に慣れたインド人だけです(コックローチ・バトル番外編参照)。

たしかに6本です。
あの生き物が昆虫の一種であることをすっかり忘れてました。
こっそり修正しました。

投稿: 凸 | 2008年1月18日 (金) 11時53分

そのような常人離れした動きを見せた若いゴキブリはフォースに目覚めつつあると考えて間違いないと思われます。

帝国の脅威とならないうちに一刻も早く排除するべきです。

あるいは、その若いゴキはKotty先生の生き別れになった息子ですので暗黒に導いて親子二人で銀河またはご自宅を支配するべきです。

そうしないとNew Hope → Revenge of KOTTY → Return of GOKIDAIでなにもかもおしまいです。

・・・・

星戦争はさておき真面目に考えてみましたが、僕がホウ酸団子でゴキを殲滅した時は一軒家でした。マンションでは排水口等をつたって他の家からゴキが安定供給されている可能性がありますね。。。ちょっと想定の範囲外でした。。

めげずに、kotty先生の本日の記事からヒントを得てインドの風土に合ったpracticalな解決プランを新たに考えてみました。

記事中の「男の側の情緒的な理由」とありましたが、ゴータマ・ブッダも説かれておられるようにゴキに怯え、ゴキを殺し、そしてゴキに苦しむのはkotty先生の心に起因するものであり、そもそもゴキ自体の本質は、それ固有の意味を持たない『空』であることは私ごときが申し上げるまでもありません。

ですので修行を積んで覚者となり、ひとたび「ゴキ即是空」の真理に目覚め、もって涅槃に至れば、もはやゴキなどそこにあってないようなものと拙考致します。

なお、ご如才なきことながらインドの山奥で修業すると、悟りをひらくつもりだったのに間違ってレインボーマンになってしまうことがありますのでくれぐれも体調にはお気をつけください。

>ねぶそく気味 様

長文のコメントありがとうございます…

残念ながら、かの一族に対する生理的嫌悪感は、いかなる修行をしても払拭しがたく、「ゴキ即是空」に至るのは難しそうです。
今後は、ホウ酸団子での殲滅作戦と、ゴキジェットでの各個撃破を組み合わせていきたいと思います。
まあ、いくら頑張っても、集合住宅だとどっかから入ってきてしまうんでしょうけど…

しかし、レインボーマンってまた古いね。
「インドの山奥~」でレインボーマンとわかる人って、いまどき何人くらいいるんやろか。

投稿: ねぶそく気味 | 2008年1月18日 (金) 19時17分

もうひとつ、忘れてはならないのはこの一族は「飛翔族」でもあるということです。「聖風の谷」のリファ族の血を引いているのか、空中を自在に飛び回り、6階程度であれば昇ることも可能でしょう。
やはり、第四の核「ペスト・コントロール」に手を染めざるを得ない日も近いのではないでしょうか。。。

>まさこの 様

助けてやってもきっと不思議な石版はくれないんでしょうね(DQVII知らない人は置き去りのネタですが)。

あの生き物に目の前で飛ばれたときのショックって、体験していない方には伝わりにくいんでしょうね…
なんであんなに早く動けるくせに、さらに飛べるんだろう。

ペストコントロールはできるだけ避けたいので、もうすこし団子で頑張ってみます。

投稿: まさこの | 2008年1月21日 (月) 17時58分

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