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インド会社法解説その28 -電子署名認証(DSC)および取締役識別番号(DIN)取得(会社設立オンライン申請対応)-

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

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会社設立の際の取締役識別番号(DIN)取得と利益配当について補足解説を行って、このインド会社法解説を一応完結としよう…と思っていたのですが、会社法解説の会社設立の部分を見直してみると、現在のオンラインでの会社設立申請手続に全く対応しておらず、完全に時代遅れになっていました。

そこで、今回の記事で電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))および取締役識別番号(DIN)の取得方法について解説するとともに、会社法解説その3以下の会社設立手続記載部分につき、オンライン申請対応となるよう大幅な修正を加えました。

少し煩雑ですが、2008年6月現在の会社設立方法は、この「その28」から始めて、「その3」から「その5」までにまとめられていることになります。

ということで、これからインドに会社を設立しようとする方は、今回の「その28」を最初に、「その3」、「その4」、「その5」までの順で記事のご参照をいただければと思います。

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2008年6月現在、会社設立手続は、取締役識別番号取得の本申請(本DINの取得。下記2参照)の場合を除き、ほぼ全てインド企業省(Ministry of Corporate Affair (MCA))のウェブサイトを通じたオンライン手続で行われる必要があります。

ちなみに、オンライン申請の際には、添付書類はPDFで提出するのですが、添付書類のデータ量の上限は2.5MBとかなり低いため、通常、提出にあたっては解像度を下げるとともにデータを圧縮する必要があります。

ステップ1 電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))の取得

オンライン手続においては、仮の取締役識別番号(仮DIN。同じく下記(2)参照)の取得申請を除き、設立申請の全てのステップにおいて、取締役となる者(発起人)の電子署名を提出する申請書フォームに添付することが必要とされます。
そのため、設立手続を開始するに先立って、取締役(発起人)の電子署名の作成を行い、インド企業省から電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))を取得する必要があります。

なお、既に電子署名認証を保有している者を取締役(発起人)として会社を設立する場合、この1のステップは省略することができます。

電子署名認証を取得する場合、電子署名の作成と認証登録を代行する専門の登録請負業者(10社程度)のいずれかに、インド企業省に対する電子署名の登録と認証取得を依頼する必要があります。登録請負業者は、電子署名を作成し、それを当該署名者の署名としてインド企業省に認証登録します。
この電子署名の作成、認証登録は、いわば、日本の実印の作成、登録に相当する手続きです。イメージとしては、専門の請負業者に依頼して、印鑑の代わりに電子署名を作成、認証登録し、これをオンラインでの書類提出に貼付(添付)するという感じですね。

電子署名の作成と認証登録が完了した後、請負業者からCDロム、フラッシュメモリー等の記録媒体に電子署名が記録されたものを受領します。
これをコンピュータに挿入し、オンライン申請の画面上の署名欄をクリックすると、署名の選択画面が出るので、自己の署名を選択すると、オンライン上の署名欄に電子署名が貼付されるという仕組みです。

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ステップ2 取締役識別番号(Director Identification Number (DIN))の取得

インド企業省(MCA))の方針により、2006年以降設立されるインド内国会社については、その設立手続において作成される各種書類に、1で述べた取締役の電子署名とともに、新会社の取締役となる者の取締役識別番号(Director Identification Number (DIN))を記載することが求められています。

取締役識別番号とは、インド企業省およびその下位機関である会社登記局(Registrar of Company) が、会社の取締役を番号によって識別するために、各取締役個人に対して付与する番号のことです。会社ではなく個人としての取締役に付与される番号であるため、1人が数社の取締役を兼任している場合であっても、当該取締役に対して与えられる取締役識別番号は1つのみとなります。

この取締役識別番号により、個人の取締役兼任状況等をインド企業省および会社登記局が把握することが可能になり、これにより、たとえば1人の取締役が同時に15社を超える公開会社の取締役を兼ねることを禁止する規制(インド会社法275条)の実質的なチェックを行うことなどが可能になります。
(下に述べるように、取締役識別番号の申請にあたっては、パスポートのコピーその他の身元証明書の提出が必要とされており、これにより、インド企業省において各会社の取締役の身元確認が行われています)

なお、取締役識別番号は取締役個人に対して与えられる番号であるため、ある会社の設立以前に既に別会社の取締役となったことがある者など、既に取締役識別番号を取得している者を新会社の取締役にする場合、新たに取締役識別番号を取得する必要はなく、この2のステップは省略することができます。
一方、会社設立時点で取締役識別番号を取得していない者を新会社の取締役にする場合、会社設立に先立って取締役識別番号を取得することが必要となります。

取締役識別番号の取得申請は、設立しようとする会社の所在地を管轄する会社登記局に対して、インド企業省のウェブサイトを通じたオンライン申請(仮DIN申請)を行い、さらにその後の書類申請(本DIN申請)を行うことによりなされます。
その際、最初の仮DIN申請は、インターネットを通じてオンラインで行い、その後の本DIN申請は、仮申請後60日以内に書類提出形式にて行う必要があります。

DIN取得までの具体的な手順は以下のとおりです。

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1 仮DIN(provisional DIN)の取得

インド企業省のウェブサイトから、オンラインで仮DIN(provisional DIN)の申請を行います(なお、後述のとおり、本DINの申請の際は、会社を設立しようとする地域(州)を管轄する会社登記局に対して、書類で申請する必要があります)。

(1) ユーザー登録
仮DIN取得その他一切の申請について、インド企業省のウェブサイトからオンライン申請を行う場合、最初にユーザー登録を行う必要があります。

ユーザー登録は、インド企業省のウェブサイトのポータルサイト
http://www.mca.gov.in/index.html
の一番右にある「New User Registration」をクリックして行います。

このユーザー登録を行うことにより、支払領収書(「challan」と呼ばれています。下記2、(1)の②参照)による申請手数料の支払いが可能となります。
 
(2) 仮DINの取得申請
ユーザー登録完了後、仮DINの取得申請を行います。
仮DINの取得申請は、DIN申請の窓口サイト
http://www.mca.gov.in/MinistryWebsite/dca/din/DIN.htm
の左のタブの「Apply for DIN」をクリックして行います。

クリック後の画面のうち、FORM DIN-1に、必要事項を記入しSubmitをクリックします。なお、このFORM DIN-1には、電子署名を貼付する必要はありません。
FORM DIN-1中、*マークのついた項目(氏名、父親の名前、生年月日、現住所等)は全て記入する必要があります。なお、本籍地(Permanent residential address)の郵便番号について、本籍地の郵便番号は住民票に記載されていないことから、本DINの取得の段階(下記2参照)で、本籍地の郵便番号について別途証明を求められることもあります。

必要事項が全て適切に記入されていれば、Submitの後、画面上で仮DINが記入されたFORM DIN-1が表示されます。これをプリントアウトし、本DINの取得申請の際に会社登記局に提出することになります。

2 本DINの取得
仮DIN取得から60日以内に、会社を設立しようとする地域(州)を管轄する会社登記局に対して、正式なDIN(以下、説明の便宜上、「本DIN」と呼びます。)の取得を書面で申請する必要があります。

申請後、本DINが承認されるまでの期間は、通常1週間程度ですが、会社登記局の案件処理状況によっては4週間程度かかることもあります。なお、申請審理の進捗状況については、インド企業省のウェブサイトで確認することができます。

新会社の取締役就任予定者の属性(外国人かインド人か、インド居住者か非居住者か)により、本DIN必要書類が異なるため、以下、場合を分けて説明します。

(1) 共通の必要書類(取締役の属性にかかわらず必要となる書類)

①FORM DIN-1
上記1、(2)の手順に従って作成した、仮DINが記入されたFORM DIN-1の写真貼付欄に、DIN申請者のパスポートサイズ(45mm×35mm)の写真1枚を貼付し、かつ署名欄2箇所に署名します(必ず枠内に署名する必要がある点に注意)。

②支払領収書(challan)
申請手数料(の支払のため、オンラインの支払い画面で表示される支払領収書(challan)をFORM DIN-1に添付します。
支払領収書(challan)の支払いは、小切手またはクレジットカードで支払うことが可能であり、一般にはクレジットカードで支払った方が楽です。
小切手で支払う場合、銀行にchallanと呼ばれる支払領収書と小切手とを持参し、数日後に手数料支払済みの領収書(銀行のスタンプが押される)を受領します。この領収書を、他の必要書類に添付して、会社登記局に提出します。一方、クレジットカードで支払う場合、オンラインで支払い、支払い後の画面をプリントアウトして、会社登記局に提出します。

(2) 個別の必要書類
以下のそれぞれの場合、上記(1)で述べた共通の必要書類に加え、各項目に列挙した書類が必要となります。

ア インド入国経験がない外国人(日本人)が取締役となる場合(非居住者である外国人が、インド国外在住のまま、インド内国会社の取締役となる場合)

①DIN申請者の住民票の原本1部
②の住民票の英訳1部
③②が①の英訳であることの宣言(Declaration)
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページおよび最終ページのコピーに加え、(インド未入国であるが)インド入国ビザを保有している場合、当該ビザのページのコピーも必要となります)

①、②および③については、まとめて日本の公証人役場またはインド大使館による公証を受ける必要があります。また、④についても、当該コピーが真正なパスポートのコピーであることの宣言(Declaration)およびその公証を求められることがあります。
また、上記①から④に加えて、第三者によるDIN申請者の住所証明が要求されることがあります。その場合、第三者が「to whomsoever it may concern」という表題で、会社登記局の担当者宛に住所証明のレターを発行する等の対応が必要となります。

イ インド居住者(原則としてインドに183日以上居住している者)ではないが、短期商用ビザを取得している外国人が取締役となる場合

①DIN申請者の住民票の原本1部
②①の住民票の英訳1部
③②が①の英訳であることの宣言(Declaration)
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページ、最終ページのコピー、インド入国ビザのページおよび入国スタンプ掲載のページのコピーが必要となる)

上記アの場合と異なり、短期商用ビザを取得している者が本DINの取得申請を行う場合、上記全ての書類について公証を受けることは不要である。
また、上記①から④に加えて、第三者によるDIN申請者の住所証明が要求されることがあることは、上記アと同様である。

ウ  インド居住者(原則としてインドに1年以上居住している者)である外国人またはインド在住のインド人が取締役となる場合

①DIN申請者の居住許可(Residential Permit。インドに継続して180日以上居住する場合、インドに入国14日以内に、外国人登録機関(FRRO)において、居住許可を取得する必要があります)のコピー
②DIN申請者のPAN カード(PAN カードとは、個人の基本税務番号であるPermanent Account Number(PAN)の番号を記載した納税者カードをいいます)のコピー
③DIN申請者のインド居住を証明する書類(住居の賃貸契約書、電気料金の請求書、銀行の取引証明等)の写し
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページ、最終ページのコピー、インド入国ビザのページおよび入国スタンプ掲載のページのコピーが必要となります)

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以上、オンライン申請に対応したDSCとDINの取得方法の解説でした。

会社設立方法については、インド会社法解説その3その4その5も併せてご参照ください。

次回は利益配当についての補足解説です。

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