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2008年6月

北インド旅行記 -バラナシ・ブッダガヤ編②-

バラナシ・ブッダガヤ編の①を書いたっきりで止まっていた北インド旅行記。
実は5月中には続きを書いていたのですが、本人が書いたことをすっかり忘れていました…

今日の夕方に電気屋から無線LAN設備を抱えて帰ってきて悪戦苦闘5時間。
ようやく無線LANがつながり、写真が大量にアップできる環境が整ったので、続きをアップしたいと思います。

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5月3日(土)

暑すぎてほとんど眠れないまま、午前4時半になりました。
寝不足で頭はぼーっとしていますが、とりあえず着替えてゲストハウスの玄関に出ます。

…予想通り、ピックアップのオートリキシャは来ていません。

あまりのお約束っぷりに、呆れを通り越して可笑しくなってきたのですが、電車の時間があるため、さすがにこのままでは困ります。
やむをえず、オーナーのRajajiさんを起こして、リキシャの管理会社に電話をかけてもらいました。

15分後、リキシャ到着。
寝てたやろ、お前絶対寝てたやろ。
俳句調で運転手を問い詰めたい衝動をぐっと抑えて乗り込み、バラナシ駅に向かいます。

驚いたのは、朝5時前だというのに、たくさんの人が既に活動を始めていること。
まだ薄暗い中、リヤカーを運ぶ人や自転車に乗って移動している人がたくさんいます。
都会とはまた違った意味で、この街は眠らない街なのかもしれません。

駅までの途上、なぜか警察官に停止させられ、運転手が職務質問らしきことをされるということが3回ほど続きました。
その度に運転手が私に10ルピーを出すように言い、それを警察官に渡していました。

色々言いたいことはあったのですが、電車の時間が迫っていたとか、反論しようにも言葉が通じないとか、警察官がライフルで武装していて怖かったとか諸般の事情により、黙って機械的にお金を渡していました。

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ようやくバラナシ駅に到着。

Img_3121朝5時過ぎだというのに、なんだこの人間の数は。          

                   

インドの電車は、夜中に発着するものも多いので、夜明けどきでも人がいるというのは理解できますが、それにしても尋常な数ではありません。
とりあえず掲示板で電車が入ってくるプラットフォームを確認し、移動しました。

こちらもお約束どおり、定刻から30分を過ぎても電車が来ません。
まあ、この程度は折込み済みです

Img_3119

なぜか隣のプラットフォーム同士で掲示している時間が違うのも趣があります。

                              

線路上には、牛か何かの糞が大量に落ちており、そこにこれまた大量の蝿がたかっています。
表面が蝿で真っ黒に見える糞が、1メートルおきくらいにある感じです。

前夜寝不足で油断があったのかもしれません。
目の前の光景を、「ああ、蝿がたかっているなあ」と他人事の目で見つつ、ぼんやり電車が来るのを待っていました。

定刻から1時間近く過ぎ、ようやく電車がプラットフォームに入ってきたその瞬間。
電車の風圧で、糞にたかっていた億万の蝿が、一斉に飛び立ちました。
その様子はまさに黒い霧。

そして、その黒い霧はこちらに向かってきました。
2秒後、私の全身は蝿に覆われていました。
必死で全身を払いますが、あまりの数に対抗できません。
ついさっきまで、糞の上を這い回っていた蝿の手肢が、私の肌の上を這い回っています。

必死で電車の入ってくる方向に逃げました。
ふと周りを見回すと、周囲のインド人は微動だにしていません。
蝿の嵐の中で、悠々と立っているその姿は、悟りを開いた阿羅漢というか、あらためてインド人の強さを実感しました。

ようやく電車に乗り込み、一息つきます。
「インドの電車のノーマルクラスは絶対乗らないほうがいい」と、先人にアドバイスをもらっていたこともあり、駅員と交渉して2等車に乗り込みます。

Img_31332等車の座席はこんな感じです。                    

                                        

電車が動き出し、しばらくすると、窓からガンジス河に上る朝日が見えました。
とても幻想的な光景。

Img_3140                                         

                   

電車の中はエアコンがよく効いていて涼しく、前夜ほとんど眠れなかったこともあり、すぐに眠くなってきました。
あっさりと熟睡。
結局、到着時間までほぼ眠りっぱなしでした。

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予定よりも1時間ほど遅れて、午前11時前にガヤ(Gaya)駅に到着。

Img_3144                                       

                                          

ブッダガヤは、ガヤ駅からリキシャで1時間弱ほど南にいったところにあります。
さっそくリキシャと値段交渉し、大菩提寺(マハー・ボーディ寺院)に連れて行ってくれるよう頼みます。
仏教の聖地だけあって、巡礼者や観光客が多いのでしょう。ガヤからブッダガヤまでの道は、よく舗装されていました。

Img_3145マハー・ボーディ寺院に到着。
リキシャを降りて、寺院の入口に向かいます。

                                     

Img_3152さすがに寺院だけあって、入場料は取っていませんでしたが、その代わりにCamera Feeということで20ルピーを支払いました。
巡礼者と観光客とを区別するために、料金をカメラ代という形にして、入場料の代わりにしているのでしょう。金額的にも、タージ・マハルとかよりも遥かに誠実さを感じます。
とはいえ、テレビカメラが10000ルピーとなっているあたり、そこはかとなく滲み出るものが。

寺院に入る前に、靴を脱ぐよう指示されました。
履いていたサンダルを預け、裸足で寺に向かいます。

熱い熱い熱い熱い!!

ブッダガヤは、デリーやアグラと同じく内陸部で、気温はおそらく45度を超えています。
その太陽熱を存分に吸い込んだ石畳は、もはや熱された石版と同じ。
爪先立ちで、ダッシュで日陰に向かうということを繰り返し、ようやく寺院の入口に。
ここからは絨毯が敷かれています。

Img_3157Img_3162正門から見たマハー・ボーディ寺院

                      

                          

                

                      

通路を進むと、本堂が見えてきました。

Img_3164中には黄金の仏陀像が安置されています。金ピカの仏像というのは、いまいち日本人の美意識にはなじみませんが、仏教の総本山のご本尊という重みは何にも換えがたいものがあります。

本堂を出て、回廊を通って本堂の裏に向かいます。
この回廊には、仏陀が悟りを開いた後、その悟りを衆生に理解させることができるかどうか、歩みながら沈思したという伝説があるとのこと。

Img_3169

                                      

                                           

ちなみに、この回廊から菩提樹の下にかけては、コオロギが大量に道を這い回っており、踏まないようにするのが一苦労でした。
このコオロギ、形といい大きさといい、見た目がゴキブリにそっくりです。

Img_3177

なんでこんなところまで来て、ゴキブリコオロギを踏まないように必死で歩かなければならないのか。

                   
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Img_3170

本堂の裏には、菩提樹が木の櫓に囲まれて立っていました。
2500年前、ここで仏陀は悟りを開いたとのこと。

さすがに2500年前だけあって、この木が当時の菩提樹そのものというわけではないそうですが、一応直接の子孫であると言われています。

                                      

Img_3175しばし菩提樹の下で佇みます。

                                        

ブッダガヤ
ああブッダガヤ
ブッダガヤ

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マハー・ボーディ寺院を出た後、周囲にある各国の仏教教団が建てた寺を回りました。

Img_3198Img_3201こちらは印度山日本寺。
いかにも日本の寺の本堂という感じです。

                           

ホテルの食堂で涼みながらカレーを食べているうちに、帰りの電車の時間が迫ってきました。
急いでオートリキシャに乗って、ブッダガヤからガヤ駅に戻ります。
結局、ブッダガヤ滞在時間は3時間弱でした(それでも十分回れてしまうくらい小さい町でしたが)。

時刻表で調べたところ、帰路の時間帯でバラナシに停車する電車が見当たらなかったため、とりあえず午後2時半発の電車に乗って、バラナシの2つ前のMughalsarai(ムガールサライ)で降りて、そこからタクシーで宿に戻ることに。

どうやってタクシーを捕まえようかなー、と考える暇もなく、電車を降りた瞬間タクシーの客引きに囲まれました。

そこそこリーズナブルな値段を言ってきた1人を選び、バラナシに戻ります。
途中、橋が通行止めになっているとか色々あって、結局宿に戻れたのは午後10時前。

今回痛感しましたが、バラナシからブッダガヤへの日帰りは無茶でした。
電車で片道5時間以上かかる上、電車の時間もシビアで、少しでもアクシデントがあったらバラナシまで戻って来れないところでした。
バラナシからブッダガヤに行く場合、よほど時間がない場合を除いて、素直に現地で一泊した方がいいと思います。

朝早かったことや、長距離の移動でかなり疲れていたため、この日の夜は前の日よりも眠れました(それでも夜中暑さで何度も目が覚めましたが…)。

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つづく

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雨季のムンバイ

この時期、ムンバイは雨季まっ最中です。
気温が高い上に、ほぼ毎日雨で湿度が上がるとあって、微生物の活力もうなぎ上り

以下、ムンバイの日本人駐在員仲間からのメールの引用(抜粋。原文ママ)です。

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「今日、事務所近くのインド料理屋にランチしに歩いていたら、途中の川から死んじゃいたくなるような異臭というか腐臭が来ました。この時期、この街はありとあらゆるものが腐るようです。

「横の川も同じく。すごーい悪臭。日本じゃ嗅げない、ありえない。

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……雨季前に脱出できて良かった。

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インド会社法解説その29 -利益配当-

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

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長く続いてきたインド会社法解説も、一応今回で最終回です。
ここまで長く続いたことに、本人が一番驚いています。

やっぱり興味のあるテーマはつい色々と調べたくなってしまうものですね。
(一応、本人的には、コーポレート、M&Aが本業なもので…)

さて、今回は利益配当に関する補足解説です。
利益配当は、日本企業が現地法人や合弁会社を設立した場合に、ライセンス料の支払いと並んで主要な投資回収手段となりますが、現時点では日本ではその詳細や問題点があまり認識されていないようなので、今回補足解説でやや詳しく説明しようと思った次第です。

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1 利益配当(中間配当)の限度額および手続

会社は、減価償却が行われた後の利益の範囲で利益配当の宣言(declaration of dividends)および配当の支払いを行うことができます(インド会社法205条1項)。

ただし、株式額面総額の10%を超える金額の配当を宣言する場合、会社はその利益のうち一定の割合を準備金(reserves)に充当する必要があります(同条2A項)。したがって、配当可能利益の額が株式額面総額の10%を超える場合、会社は、利益を全て利益配当に回すということはできないことになります。

利益配当は、取締役会決議を経て、取締役会により株主総会に上程され、株主総会普通決議により承認されます(173条1項)。なお、株主総会は、取締役会が提案した額を超える額を配当として承認することはできません。
利益配当は原則として年1回のみ行うことができます。

一方、上記利益配当に加えて、中間配当(interim dividends)を行うことも可能であるとされています。中間配当は、株主総会決議を経ることなく、取締役会決議のみで決定され、宣言および支払いを行うことができるとされています(205条1A項)。

中間配当は、中間配当の宣言が行われた日から5日以内に中間配当口座に積み立てられた配当資金の中から行われます(同条1B項)。中間配当には、利益配当に適用される限度額の定めその他の規定が準用されるため(同条1C項)、限度額、未払いの場合の対応等は、通常の利益配当と同様です。

利益配当(中間配当を含む)は、会社の定める基準日の時点で株主名簿に登録されている株主に対して支払われ、それ以外の者に支払われることは原則として認められません(206条)。

また、利益配当(中間配当を含む)は、配当として株式自体が割り当てられる場合(bonus shareと呼ばれます)を除き、現金で行われる必要があります(205条3項)。要するに、bonus shareの場合を除いて現物支給は不可ということです。

2 未払い配当の処理

利益配当が宣言されたものの、会社の事務処理の遅れや株主が所在不明である等の理由により、配当の支払いが行われない場合があります。これについて、インド会社法は、未払いの期間に応じて、それぞれ会社の義務を定めています。

まず、配当宣言後30日以内に支払いが行われなかった場合、会社は、30日経過した日から7日以内に、「未払い配当口座(Unpaid Dividend Account)」と呼ばれる未払い配当積立てのための銀行口座に、当該未払い配当額を入金しなければなりません(205A条)。そして、いったん未払い配当口座に積み立てられた配当については、会社は手をつけることができません。

さらに、配当宣言後7年経過したにもかかわらず、株主の所在不明等により配当の支払いが行われなかった場合、会社は、当該未払い配当を、インド中央政府が設立する投資家教育保護基金(Investor Education and Protection Fund)と呼ばれるファンドの口座に移転しなければなりません(205A条5項、205C条)。
投資家教育保護基金の口座に移転された未払い配当金は基金の一部となり、その時点で、当該未払い配当を受け取るべき株主の配当受領権は消滅します。

以上のとおり、インド会社法上では、いったん配当が宣言された金額については、未払いのまま長期間経過したとしても、会社に還元されるということはありません。したがって、配当を宣言したが最後、その配当額が会社に返ってくることはありません

3 利益配当の際の注意点

(1) 課税関係

1961年所得税法(Income Tax Act, 1961)上、配当を受領した株主が配当について所得税を課税されることはありません。
その反面、利益配当を行った会社には、配当行為に対する税金として、配当税(2008年5月現在、法定税率15%(実効税率は16.995%))が課税されます。

つまり、インド所得税法上、株主は非課税で配当を受領することができるとされている反面、配当を行った会社には配当税が課税されることになっています

「でも株主は非課税なんでしょ。だったら、株主(=インドに投資した日本企業)の立場からはその方がいいんじゃないの?」
と思われるかもしれません。

しかしながら、利益配当と配当税の支払いは、会社から見れば同じ原資から行われているため、実質的には株主に対する利益配当に課税されているのと変わりはありません。

たとえば、「減価償却が行われた後の利益」が100万ルピーであるとして、これを単純に全額配当に回してしまうと、16.995%の税金(=16万9950ルピー)の支払い原資がなくなってしまいます。
「配当税支払いによる債務超過」という事態を避けるため、資本金や資本準備金等を取り崩して配当税を支払うことは認められていません。したがって、会社は配当可能額の中から、あらかじめ配当税に支払う分を分けておいてから、配当を行うべきことになります。
上記の例で言えば、100万ルピーのうち、配当を行うのは85万ルピーくらいにしておいて、その16.995%(=約14.45万ルピー)を配当税として取っておく必要があるということです。

これを株主から見れば、本来100万ルピーを配当として受け取れるのに、配当税のために85万ルピーしか配当として受け取れないということで、これは実質的には株主において税金が源泉徴収されているのと同じということになります。

さて、「配当税は株主ではなく会社に対する税金である」、「しかし実質的には株主が税金を負担しているのと同じである」という2つの命題は、以下のような結果に繋がります。

・納税主体はあくまで会社であって株主ではないため、たとえば株主に減税措置が適用される場合であっても、会社に課される配当税が減額されることはない

・日本の親会社(株主)側から見ると、現地法人または合弁会社に課税された配当税は、納税主体があくまで現地法人または合弁会社であって親会社(株主)ではないことから、親会社(株主)側で外国税控除の申請ができず、実質的にインドと日本で二重課税されることになる可能性がある。

特に後者の問題は深刻ですが、この点について、現時点では国税庁から明確な見解は出されていないようです(私が知らないだけで、実は既に通達等が出ていたらごめんなさい)。
個人的には、インドにおける会社に対する配当税は、実質的には株主に対する課税と変わらないことから、外国税控除を認めるとの解釈を取るべきだと考えていますが、国税庁が形式論に立って外国税控除を認めないとの見解をとることも十分ありえます。

(2) 送金関係

日本国内の株主が配当を日本で受領する場合、インド国内から外国への送金となるため、インド外国為替管理法に基づいて、外国送金についてのインド準備銀行(RBI)の承認が必要となる場合があります。

一般的に、インド当局は、多額の外国送金に対する認可を出し渋る傾向があるため(インド国外への資産流出になってしまうためです)、配当額が大きい場合などは、外国送金のところで手続的につまづく可能性があります。

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ということで、インド会社法解説は一応今回で完結です。
蛇足ではありますが、後書きを書く予定です。

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インターネット開通

ニューヨークへの移動と新居への入居とで、ちょっとバタバタしていましたが、ようやく新居にネットが繋がりました。

といっても、まだ不完全なので、本格的な更新再開は来週以降になりそうです。

とりあえずインド会社法解説を早く完結したいです。

その後は、労働法解説や競争法解説を、あまり長くならない感じで書いていきたいと思います。

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新居、最高です。

室内に昆虫がいない生活がこんなに快適だったとは。

携帯電話を買ったり、ケーブルテレビを申し込んだりと、ぼちぼちと新生活のセットアップを進めています。

ブログの主旨からは外れますが、新生活についても少しは書いていきたいなと。

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インド会社法解説その28 -電子署名認証(DSC)および取締役識別番号(DIN)取得(会社設立オンライン申請対応)-

インド会社法原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/companiesact/companiesacts.htm

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会社設立の際の取締役識別番号(DIN)取得と利益配当について補足解説を行って、このインド会社法解説を一応完結としよう…と思っていたのですが、会社法解説の会社設立の部分を見直してみると、現在のオンラインでの会社設立申請手続に全く対応しておらず、完全に時代遅れになっていました。

そこで、今回の記事で電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))および取締役識別番号(DIN)の取得方法について解説するとともに、会社法解説その3以下の会社設立手続記載部分につき、オンライン申請対応となるよう大幅な修正を加えました。

少し煩雑ですが、2008年6月現在の会社設立方法は、この「その28」から始めて、「その3」から「その5」までにまとめられていることになります。

ということで、これからインドに会社を設立しようとする方は、今回の「その28」を最初に、「その3」、「その4」、「その5」までの順で記事のご参照をいただければと思います。

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2008年6月現在、会社設立手続は、取締役識別番号取得の本申請(本DINの取得。下記2参照)の場合を除き、ほぼ全てインド企業省(Ministry of Corporate Affair (MCA))のウェブサイトを通じたオンライン手続で行われる必要があります。

ちなみに、オンライン申請の際には、添付書類はPDFで提出するのですが、添付書類のデータ量の上限は2.5MBとかなり低いため、通常、提出にあたっては解像度を下げるとともにデータを圧縮する必要があります。

ステップ1 電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))の取得

オンライン手続においては、仮の取締役識別番号(仮DIN。同じく下記(2)参照)の取得申請を除き、設立申請の全てのステップにおいて、取締役となる者(発起人)の電子署名を提出する申請書フォームに添付することが必要とされます。
そのため、設立手続を開始するに先立って、取締役(発起人)の電子署名の作成を行い、インド企業省から電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))を取得する必要があります。

なお、既に電子署名認証を保有している者を取締役(発起人)として会社を設立する場合、この1のステップは省略することができます。

電子署名認証を取得する場合、電子署名の作成と認証登録を代行する専門の登録請負業者(10社程度)のいずれかに、インド企業省に対する電子署名の登録と認証取得を依頼する必要があります。登録請負業者は、電子署名を作成し、それを当該署名者の署名としてインド企業省に認証登録します。
この電子署名の作成、認証登録は、いわば、日本の実印の作成、登録に相当する手続きです。イメージとしては、専門の請負業者に依頼して、印鑑の代わりに電子署名を作成、認証登録し、これをオンラインでの書類提出に貼付(添付)するという感じですね。

電子署名の作成と認証登録が完了した後、請負業者からCDロム、フラッシュメモリー等の記録媒体に電子署名が記録されたものを受領します。
これをコンピュータに挿入し、オンライン申請の画面上の署名欄をクリックすると、署名の選択画面が出るので、自己の署名を選択すると、オンライン上の署名欄に電子署名が貼付されるという仕組みです。

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ステップ2 取締役識別番号(Director Identification Number (DIN))の取得

インド企業省(MCA))の方針により、2006年以降設立されるインド内国会社については、その設立手続において作成される各種書類に、1で述べた取締役の電子署名とともに、新会社の取締役となる者の取締役識別番号(Director Identification Number (DIN))を記載することが求められています。

取締役識別番号とは、インド企業省およびその下位機関である会社登記局(Registrar of Company) が、会社の取締役を番号によって識別するために、各取締役個人に対して付与する番号のことです。会社ではなく個人としての取締役に付与される番号であるため、1人が数社の取締役を兼任している場合であっても、当該取締役に対して与えられる取締役識別番号は1つのみとなります。

この取締役識別番号により、個人の取締役兼任状況等をインド企業省および会社登記局が把握することが可能になり、これにより、たとえば1人の取締役が同時に15社を超える公開会社の取締役を兼ねることを禁止する規制(インド会社法275条)の実質的なチェックを行うことなどが可能になります。
(下に述べるように、取締役識別番号の申請にあたっては、パスポートのコピーその他の身元証明書の提出が必要とされており、これにより、インド企業省において各会社の取締役の身元確認が行われています)

なお、取締役識別番号は取締役個人に対して与えられる番号であるため、ある会社の設立以前に既に別会社の取締役となったことがある者など、既に取締役識別番号を取得している者を新会社の取締役にする場合、新たに取締役識別番号を取得する必要はなく、この2のステップは省略することができます。
一方、会社設立時点で取締役識別番号を取得していない者を新会社の取締役にする場合、会社設立に先立って取締役識別番号を取得することが必要となります。

取締役識別番号の取得申請は、設立しようとする会社の所在地を管轄する会社登記局に対して、インド企業省のウェブサイトを通じたオンライン申請(仮DIN申請)を行い、さらにその後の書類申請(本DIN申請)を行うことによりなされます。
その際、最初の仮DIN申請は、インターネットを通じてオンラインで行い、その後の本DIN申請は、仮申請後60日以内に書類提出形式にて行う必要があります。

DIN取得までの具体的な手順は以下のとおりです。

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1 仮DIN(provisional DIN)の取得

インド企業省のウェブサイトから、オンラインで仮DIN(provisional DIN)の申請を行います(なお、後述のとおり、本DINの申請の際は、会社を設立しようとする地域(州)を管轄する会社登記局に対して、書類で申請する必要があります)。

(1) ユーザー登録
仮DIN取得その他一切の申請について、インド企業省のウェブサイトからオンライン申請を行う場合、最初にユーザー登録を行う必要があります。

ユーザー登録は、インド企業省のウェブサイトのポータルサイト
http://www.mca.gov.in/index.html
の一番右にある「New User Registration」をクリックして行います。

このユーザー登録を行うことにより、支払領収書(「challan」と呼ばれています。下記2、(1)の②参照)による申請手数料の支払いが可能となります。
 
(2) 仮DINの取得申請
ユーザー登録完了後、仮DINの取得申請を行います。
仮DINの取得申請は、DIN申請の窓口サイト
http://www.mca.gov.in/MinistryWebsite/dca/din/DIN.htm
の左のタブの「Apply for DIN」をクリックして行います。

クリック後の画面のうち、FORM DIN-1に、必要事項を記入しSubmitをクリックします。なお、このFORM DIN-1には、電子署名を貼付する必要はありません。
FORM DIN-1中、*マークのついた項目(氏名、父親の名前、生年月日、現住所等)は全て記入する必要があります。なお、本籍地(Permanent residential address)の郵便番号について、本籍地の郵便番号は住民票に記載されていないことから、本DINの取得の段階(下記2参照)で、本籍地の郵便番号について別途証明を求められることもあります。

必要事項が全て適切に記入されていれば、Submitの後、画面上で仮DINが記入されたFORM DIN-1が表示されます。これをプリントアウトし、本DINの取得申請の際に会社登記局に提出することになります。

2 本DINの取得
仮DIN取得から60日以内に、会社を設立しようとする地域(州)を管轄する会社登記局に対して、正式なDIN(以下、説明の便宜上、「本DIN」と呼びます。)の取得を書面で申請する必要があります。

申請後、本DINが承認されるまでの期間は、通常1週間程度ですが、会社登記局の案件処理状況によっては4週間程度かかることもあります。なお、申請審理の進捗状況については、インド企業省のウェブサイトで確認することができます。

新会社の取締役就任予定者の属性(外国人かインド人か、インド居住者か非居住者か)により、本DIN必要書類が異なるため、以下、場合を分けて説明します。

(1) 共通の必要書類(取締役の属性にかかわらず必要となる書類)

①FORM DIN-1
上記1、(2)の手順に従って作成した、仮DINが記入されたFORM DIN-1の写真貼付欄に、DIN申請者のパスポートサイズ(45mm×35mm)の写真1枚を貼付し、かつ署名欄2箇所に署名します(必ず枠内に署名する必要がある点に注意)。

②支払領収書(challan)
申請手数料(の支払のため、オンラインの支払い画面で表示される支払領収書(challan)をFORM DIN-1に添付します。
支払領収書(challan)の支払いは、小切手またはクレジットカードで支払うことが可能であり、一般にはクレジットカードで支払った方が楽です。
小切手で支払う場合、銀行にchallanと呼ばれる支払領収書と小切手とを持参し、数日後に手数料支払済みの領収書(銀行のスタンプが押される)を受領します。この領収書を、他の必要書類に添付して、会社登記局に提出します。一方、クレジットカードで支払う場合、オンラインで支払い、支払い後の画面をプリントアウトして、会社登記局に提出します。

(2) 個別の必要書類
以下のそれぞれの場合、上記(1)で述べた共通の必要書類に加え、各項目に列挙した書類が必要となります。

ア インド入国経験がない外国人(日本人)が取締役となる場合(非居住者である外国人が、インド国外在住のまま、インド内国会社の取締役となる場合)

①DIN申請者の住民票の原本1部
②の住民票の英訳1部
③②が①の英訳であることの宣言(Declaration)
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページおよび最終ページのコピーに加え、(インド未入国であるが)インド入国ビザを保有している場合、当該ビザのページのコピーも必要となります)

①、②および③については、まとめて日本の公証人役場またはインド大使館による公証を受ける必要があります。また、④についても、当該コピーが真正なパスポートのコピーであることの宣言(Declaration)およびその公証を求められることがあります。
また、上記①から④に加えて、第三者によるDIN申請者の住所証明が要求されることがあります。その場合、第三者が「to whomsoever it may concern」という表題で、会社登記局の担当者宛に住所証明のレターを発行する等の対応が必要となります。

イ インド居住者(原則としてインドに183日以上居住している者)ではないが、短期商用ビザを取得している外国人が取締役となる場合

①DIN申請者の住民票の原本1部
②①の住民票の英訳1部
③②が①の英訳であることの宣言(Declaration)
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページ、最終ページのコピー、インド入国ビザのページおよび入国スタンプ掲載のページのコピーが必要となる)

上記アの場合と異なり、短期商用ビザを取得している者が本DINの取得申請を行う場合、上記全ての書類について公証を受けることは不要である。
また、上記①から④に加えて、第三者によるDIN申請者の住所証明が要求されることがあることは、上記アと同様である。

ウ  インド居住者(原則としてインドに1年以上居住している者)である外国人またはインド在住のインド人が取締役となる場合

①DIN申請者の居住許可(Residential Permit。インドに継続して180日以上居住する場合、インドに入国14日以内に、外国人登録機関(FRRO)において、居住許可を取得する必要があります)のコピー
②DIN申請者のPAN カード(PAN カードとは、個人の基本税務番号であるPermanent Account Number(PAN)の番号を記載した納税者カードをいいます)のコピー
③DIN申請者のインド居住を証明する書類(住居の賃貸契約書、電気料金の請求書、銀行の取引証明等)の写し
④DIN申請者のパスポートのコピー(写真記載のページ、最終ページのコピー、インド入国ビザのページおよび入国スタンプ掲載のページのコピーが必要となります)

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以上、オンライン申請に対応したDSCとDINの取得方法の解説でした。

会社設立方法については、インド会社法解説その3その4その5も併せてご参照ください。

次回は利益配当についての補足解説です。

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今後の更新

ええと、更新する気はあります。
(コメントをいただいている皆さま、なかなかレスができず申し訳ありません)

会社法解説もまだ完結していませんし、労働法、知的財産法、M&A法制、競争法など、まだいくつか書きたいなと思っているインド法解説の分野もあります。
ムンバイ生活の小ネタも、とりあえず今のところ十分なストックがあります。

にもかかわらず、最近ブログを放置気味なのは、日本に帰ってからこっち、意味不明なくらい忙しいからです。

会議とセミナーのサンドイッチに、昼夜の会食、飲み会、壮行会など、インドにいたときの10倍を超えるスピードで仕事やイベントが入っており、インドの緩い生活に慣れた体が悲鳴をあげています。

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と、一通り更新が滞っている言い訳を述べ立てたところで、今日もセミナーに行ってきます。
(ちなみに、セミナーの前に1件会議が入っていたりします…)

何とか今週末くらいには更新を再開できるといいなと。

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オフ会レポート

なんと総勢14名もの方にお集まりいただけました。

皆様それぞれお忙しいにもかかわらず、お時間を取っていただけたことに感謝です。

これを機会に、今後とも参加者の皆様とは色々情報交換していければと思っています(インドの情報を外国から調べるのは本当に難しいので…)。

現在ブログの方向性について検討していることもあり、おそらく、正式なオフ会はこれで最初で最後であると思いますが、また適当に集まって飲む機会があれば楽しそうです。

参加者の皆様、本当にありがとうございました。

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人間ドック

今日は朝から人間ドックに行ってきました。

ガンジス河で沐浴して以降、どうも体調が安定せず、「これは絶対何かある」と意気込んで検査に行ったのですが、とりあえず検査終了直後の速報段階では、何の異常もなし。

喜ぶべきことなのでしょうが、なんとなく肩透かしのような気も。
異常なしというなら、この咳やお腹の不調はいったいなんなんだろう…
気のせいというには、結構厳しいのですが。

生まれて初めての人間ドックでしたが、とりあえず胃のバリウム検査は今後もあまり好きになれそうにありません。
バリウムそのものよりも、その前に渡される胃を膨らませる薬(発泡剤のようなもの)が辛かったです。

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栄養士さんとの面接で、「最近の食生活はどのような感じですか?」と聞かれて、「過去9か月以上にわたって、1週間に4、5日はカレーかインスタントラーメン(またはインスタントご飯とインスタント味噌汁のぶっかけご飯)という食生活でした」と答えたときの栄養士さんの表情が素敵でした

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オフ会

予定通り、6月6日(金)に開催します。
参加希望をいただいた方は、直接お店にご集合ください。

サシ飲みを覚悟していたのですが、思ったよりも多くの方から参加希望をいただき、ちょっと驚いています。

面識のある方もいれば、面識がない方もおり、お会いするのがとても楽しみです。

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帰国したものの

当分バタバタしそうです。

とりあえず、明日6月3日のセミナーと12日のセミナーを頑張りたいと思います。

12日のセミナーの詳細を知りたい方は、↓こちらからお探しください。
http://www.kinyu.co.jp/seminar.html

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ちょっと疲れています。

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