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2008年7月

インド労働法解説その2 -「workman」と「non-workman」-

インド産業紛争法(Industrial Dispute Act, 1947)原文リンク
http://www.vakilno1.com/bareacts/industrialdisputesact/industrialdisputesact.htm

(関連記事)
インド会社法解説その26 -会社の清算③-

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インド労働法の特徴として、会社の従業員が「workman(労働者)」に該当する場合には、各種労働法上の保護規定の適用対象となって手厚い保護が与えられる反面、「workman」に該当しない者(講学上、「non-workman」と呼ばれることが通常です)については、労働法上、「workman」のみを保護対象とする規定(多数あります)の適用対象にならず、したがって保護が限定的になるという点が挙げられます。

インド労働法規制の基本的発想として、「workman」については、弱い立場にある労働者として保護すべきとされており、その反面として、「non-workman」については、会社と対等の当事者として、両者間の関係は通常の契約法(1872年インド契約法(Indian Contract Act, 1872))に基づく契約によって規律されるべきとされています。

そのため、たとえば、100人以上の産業施設について制定が義務付けられる就業規則 (Standing Orders)の適用対象となるのも「workman」のみであり、会社と「non-workman」との間の就業関係の規律は、両者間の契約内容によることになります。
なお、追って解説するとおり、日本と異なり、インドには一般的な就業規則の制定義務はありません

また、次回以降で解説するインドの各種労働法上、会社は、「workman」に対して、賞与支給、退職金支払い、有給休暇の付与などを行うことを義務付けられていますが、「non-workman」については、それらを与えるかどうかは会社と「non-workman」の契約内容次第ということになります。
ただし、実務上は、「non-workman」に対しても、その会社で「workman」に対して与えられるのと同様の待遇を与えるのが一般的です(つまり、契約により、同じような待遇を合意するということです。そうでないと、普通は契約してくれません)。

なお、労働組合については、加入資格が「被雇用者(employee)」とされているため、「workman」、「non-workman」ともに労働組合に加入することは可能です。
(ただし、実際には、経営者側に立つ「non-workman」が、労働組合に加入する例はまれです)

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ということで、インド労働規制を概観するに際し、「workman」と「non-workman」とを区別することは極めて重要になります。

さて、「workman」については、1947年インド産業紛争法(Industrial Dispute Act, 1947)第2条(s)により定義されています。
「non-workman」というのは、「workmanでない者」を表すための便宜的な表現ですので、「workman」の定義を知ることが、そのまま「non-workman」の範囲を知ることになります。

以下、1947年インド産業紛争法(Industrial Dispute Act, 1947)第2条(s)の原文を引用します。

第2条

(s) "workman" means any person (including an apprentice) employed in any industry to do any manual, unskilled, skilled, technical, operational, clerical or supervisory work for hire or reward, whether the terms of employment be express or implied, and for the purposes of any proceeding under this Act in relation to an industrial dispute, includes any such person who has been dismissed, discharged or retrenched in connection with, or as a consequence of, that dispute, or whose dismissal, discharge or retrenchment has led to that dispute, but does not include any such person

(i) who is subject to the Air Force Act, 1950 (45 of 1950), or the Army Act, 1950 (46 of 1950), or the Navy Act, 1957 (62 of 1957); or

(ii) who is employed in the police service or as an officer or other employee of a prison; or

(iii) who is employed mainly in a managerial or administrative capacity; or

(iv) who, being employed in a supervisory capacity, draws wages exceeding one thousand six hundred rupees per mensem or exercises, either by the nature of the duties attached to the office or by reason of the powers vested in him, functions mainly of a managerial nature.

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上記第2条(s)の本文において、「workman」は、

「手作業的、非熟練的もしくは熟練的、技術的、作業的、事務的または監督的業務のために雇用された雇用者をいう」

と定義されています。

この定義では、会社に雇用された者はほぼ全て「workman」に該当することになってしまいそうですが、重要なのは(i)から(iv)まで規定されている例外規定です。

具体的には、
(i) 空軍、陸軍および海軍所属の者(要するに軍人)
(ii) 警察または刑務所に雇用されている者
(iii) 経営的または管理者的立場(managerial or administrative capacity)にある者
(iv) 賃金月額が1600ルピーを超えており、かつ監督者的立場(supervisory)にある者
については、「workman」の定義から除外されます。

上記のうち、(i)と(ii)は、インドに進出する日本企業には通常無関係であるため、重要なのは(iii)と(iv)ということになります。

もっとも、この(iii)と(iv)に該当するかどうかの基準は必ずしも明確ではありません。
(iv)の「賃金月額が1600ルピー超」というのは、客観的な基準であることから明確であるといえますが、「経営的または管理者的立場(managerial or administrative capacity)」や「監督者的立場(supervisory)」ということになると、その判断はケースバイケースで個別的に行わざるをえない面があるためです。

このあたりは、最近日本でもファーストフード店長の事件等で話題になっている「管理監督者」と通常の従業員の区別の問題に通じるところがあります。

ただ、インドの「workman」の区別基準の議論が、日本の「管理監督者」の区別議論と決定的に異なるのは、日本の「管理監督者」は、あくまで労働者の1カテゴリーであって基本的には労働基準法の保護が受けられるのに対し、インドで「non-workman」であるということになってしまうと、多くの労働関連法の保護対象そのものから外れてしまうという点です。
そのため、インド進出企業の立場から見ると、インドにおける「workman」と「non-workman」の区別の問題は、日本の「管理監督者」への該当性への問題よりも深刻な問題であるといえるかもしれません。

「workman」と「non-workman」の具体的な区別基準については、インド当局からガイドライン等も出ていないようであり、基本的には判例の蓄積による判例法に従うということのようです。

私自身、インドで労働法だけを専門的に調べていたというわけではないため、現在のインドにおける議論状況に精通しているというわけではありませんが、区別基準についての一般論を述べれば、特に外国企業においては、インドにおいて雇用した者を「non-workman」として扱うことには慎重であるべきと考えます。
少なくとも、日本の「監理監督者」の概念を、そのまま「non-workman」に当てはめるということはしない方がいいでしょう。

上述の通り、「workman」と「non-workman」との間には、労働法上の保護規定自体の適用が認められるか認められないかという大幅な地位の相違があり、かつインドではいったん労働者と紛争になった場合、労働裁判所での裁判など、非常に手間と時間がかかります。
自社で雇用した者を安易に「non-workman」として扱っていると、「non-workman」扱いされた者が会社相手に労働紛争を起こしてきた際に、非常に大きなダメージを受けることにもなりかねません。

「non-workman」のイメージとしては、「取締役ではないが、その者がいないと会社の経営に重大な支障をきたすような、きわめて重要な役割、職責を担う者」というくらいコンサバティブに考えておいた方が、労務管理上は安全であるといえます。
具体的には、会社の共同設立者だが役員にはなっていない者、インド会社法上のmanagerの地位を有している者、工場長や部長など一定以上の規模の事業部または部門につき裁量的権限を有している者などが、一般にこれに該当すると考えられます。

いずれにしても、雇用した者を「workman」として扱うか「non-workman」として扱うかは、現地の労働専門のコンサルタントの意見も聞いた上で、十分に慎重に判断すべきです。

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次回からは、各法令に基づく規制の各論の解説です。
なるべく早く更新できるよう頑張ります。

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更新予定

ここしばらくちょっと多忙ということもあり、すっかり更新が滞っています(コメントをいただいた方、返信が遅れて申し訳ありません)。

とりあえず、この後インド労働法解説の第2回をアップしますが、その後の更新はまた来週ということになってしまいそうです。

なんとか再来週くらいからは、更新ペースを元に戻していければと思っています。

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NYCの家に、実は結構虫がいるということが最近になってわかりました。

小さい蟻のような虫で、気がつくと手の上を這っていたりします。
(ちなみに、潰そうとすると蟻酸を出すのか、潰した指から酸っぱい臭いがします
ゴキブリに比べれば不快感ははるかに小さく、また実害もないのですが、やはりいないに越したことはありません。

さて、どうしようか。

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北インド旅行記 -バラナシ・ブッダガヤ編③-

またまた朝4時半起床。
ガンジス河の夜明けを見るべく、仄暗い中をガートに向かいます。

Img_3229朝早すぎて誰もいないかと思いきや、相変わらず大量に人がいます。さすがに昼間に比べればかなり少ないですが。

                                  

Img_3231ボートをチャーターし、ガンジス河に漕ぎ出します。       

                                        

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少しずつ明るくなってきましたが、まだ日は昇っていません。

バラナシは、ガンジス河に面した街ですが、対岸には全く何もなく、ひたすら荒野が広がっています。
これは、「河のこちら岸は聖、向こう岸は穢」というヒンディーの思想によるそうです。
実際、インド人は決して河の対岸に決して近付かないとのこと(向こう岸に渡っている人はいますが、それはすべて外国人観光客だそうです)。

一本の河を挟んで、広がる有と無。

ふと「彼岸」という言葉が浮かんできました。

しばらくすると、水面を滑るように太陽が昇ってきました。

Img_3254

Img_3265Img_3269              

                       

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いったん宿に戻り、一休み。
帰りの便が午前11時と早めなので、荷造りを始めます。



バラナシに着いたときから悩んでいました。

To bath or not to bath

理性は「この水に入ってはいけない」と大声で叫び続けています。

とはいえ、おそらくバラナシに来るのはこれで最初で最後。
ここまで来て沐浴しないで帰るのか。

どうにか自分の理性を騙しきったところで、再度ガートに向かいます。

Img_3287沐浴しているインド人がたくさんいました。                

                                    

ガートの上で服を脱いでいる最中も、河の水の色を見るたびに、臭いを嗅ぐたびに、「まずいんじゃないの」という声が聞こえてきます。

心を無にせよ。

覚悟を決めて河に足を踏み出しました。

Σ(゚Д゚;

ヘドロか藻か、とりあえず足元がヌルヌルです。
足の裏の感触だけでダッシュで逃げだしたくなりますが、もうここまできてしまうと後にはひけません。

そのまま歩を進め、全身を河に沈めます。
いったん覚悟を決めて入ってしまえば、色々なことがそれほど気にならなくなってきました。

周囲のインド人が、身振り手振りで沐浴の方法を教えてくれました。
手の平で水をすくい、太陽に向かって拝みます。

Img_3296 インド人と並んで沐浴する男の図
(たまたま同じ宿で出会った日本人の方が写真を撮ってくれました)

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沐浴後、ダッシュで宿に戻り、シャワーを浴びました、
「このシャワーの水もガンジス河から取ったのかも」とか、余計なことは考えないようにして

少し休んだあと、空港に向かいます。
例によって、ボッタクリ的料金ですが、この際しょうがありません。

空港に着いたあたりから体調がおかしかったのですが、家に帰ったあと完全にダウン。
翌日から2日間、高熱が出ました。

おそるべし、ガンジス河。

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北インド旅行記 完

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(追記)

結局、これがインドでの最後の国内旅行になりました。

今思い返しても相当辛い旅行でしたが、その分記憶は鮮明に残っています。
変にお仕着せの旅行に行くよりも、よっぽど印象に残る旅でした。
まあ、「過ぎてしまえば何でもいい思い出」というだけかもしれませんが。

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インド会社法解説 -修正情報(監査役および監査委員会に関する記載について)-

監査役と監査委員会の権限その他について解説したその13その14を修正しました。

従前は、「インド法上の監査役は日本法上の監査役と会計監査人双方の権限を併せ持つ」という趣旨の内容でしたが、その後研究が進み、インド法上の監査役は実際には会計監査権限しか有しておらず、日本法の会計監査人にのみ相当する(日本法上の監査役に対応する権限は有していない)ことがわかったことから、その線に沿って記載を修正しています。

また、インド法上の監査委員会の委員に就任する取締役は、通常、マネジメント担当の取締役ではなく、社外監査役その他業務監査を中心的業務とする取締役であり、第三者的な視点からの監査がなされることにより、監査の実効性が確保されている旨を追記しました。

日本の監査役制度は、世界的には(比較法的に見て)珍しい制度であり、業務監査を行うのは、取締役会(一元制の場合)または取締役により構成されるその他の機関(二元性の場合)というのが世界的には通例であることから、インドの制度(後者)はむしろ世界的な標準に近い制度であるといえます(イギリスの制度をほとんどそのまま使っているので、当たり前といえば当たり前なのでしょうが)。

ちなみに、日本の会社法でも、委員会等設置会社においては、監査委員会は取締役会の元に置かれるためことになります。
したがって、インドにおける「監査役」、「監査委員会」は、それぞれ日本における「会計監査人」、「委員会等設置会社における監査委員会」に対応するとお考えいただければと思います。

ということで、私自身の理解不足から、インド会社法上の「監査役」、「監査役会」についてミスリーディングな記載をしていたことをお詫びするとともに、修正につきお伝えいたします。

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トラックバック機能再開

トラックバック機能を再開しました。

初期には開放していたのですが、お決まりのようにスパム系のトラックバックが大量に来たため、削除作業に嫌気がさしてトラックバック禁止にしていました。

ほとぼりも冷めたのではないかということで、そろりと再開してみます。

一応しばらく様子を見て、問題がなければそのまま続けたいと思います。
逆に、またスパム系が大量に来るようであれば、再度禁止設定にしたいと思います。

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インド労働法解説その1 -基本法令-

インド法解説シリーズ、今回からインド労働法に関する解説です。

インドの法律事務所で勤務していたときも、労働法関連の質問はかなり多く受けたので、インドの労務規制および実務については、日本企業の皆さんの関心が高いところではないかと思われます。

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インドにおいて、労働者の権利に関する法律は、インド中央政府と州の双方が立法権限を有するものとされています(インド憲法(Constitution of India)246条および同法別紙7)。

連邦法は州法に優先するため、連邦法が明文で州法による修正を禁じている条項や、連邦法の趣旨から州法で独自の修正を行うことが認められないと解される条項については、州法による修正は認められません。
ただ、実際には、連邦法の内容で修正が認められないものは、「労働者」の定義など全国統一的な解釈が強く要請されるものや、子供の深夜労働禁止など社会的弱者保護が強く要請されるものに限られるため、実質的には州法はかなり自由に連邦法を修正することができます。

そのため、インドの労働法において、連邦法の内容がそのまま適用される州は少なく、多くの場合、州法により連邦法の内容に一定の修正が加えられています。

インドの州は28にも及ぶため、各州の個別的な相違まで解説することは困難であることから、本ブログの会社法解説では、基本的に連邦法に絞って解説していきたいと思います。

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インドの労働および社会保障に関する連邦法は、2008年現在、50程度あると言われています(何をもって「労働および社会保障関係法」と分類するのかの基準がはっきりしないため、正確な数はわかりません)。

その中で、日本でいえば労働基準法にあたる、もっとも基本的な法律は、1947年産業紛争法(Industrial Dispute Act, 1947)です。
同法は、労働法全般の適用対象となる「労働者(workman)」の概念を定めているなど、インドの労働法を概観するにあたって必ず登場する法律です。

その他、日本企業が現地でインド人労働者を雇用するにあたって考慮しなければならない主な連邦法((2)の「店舗及び設備法」のみ州法)は以下のとおりです。

(1) 労使紛争関係
・1947年産業紛争法 (Industrial Disputes Act, 1947)
・1926年労働組合法 (Trade Union Act, 1926)

(2) 労働条件(賃金、退職金等を含む)関係
・1948年工場法 (Factories Act, 1948)
・1946年産業雇用(就業規則)法 (Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)
・[州名または都市名] 店舗および設備法([  ] Shops and Establishments Act)(州法のため、法律名の前に各州または地域の名称がつく)
・1942年週休法(Weekly Holidays Act, 1942)
・1948年最低賃金法 (Minimum Wages Act, 1948)
・1936年賃金支払法 (Payment of Wages Act, 1936)
・1965年賞与支払法 (Payment of Bonus Act, 1965)
・1972年退職一時金支払法 (Payment of Gratuity Act, 1972)

(3) 社会保障関係
・1948年従業員国家保険法 (Employees’ State Insurance Act, 1948)
・1952年従業員年金基金および雑則法 (Employees’ Provident Funds and Miscellaneous Provisions Act, 1952)
・1923年労働者補償法 (Workmen’s Compensation Act, 1923 )
・1963年私傷(補償保険)法 (Personal Injuries (Compensation Insurance) Act, 1963)

(4) 社会的弱者保護関係
・1976年拘束労働制度(廃止)法 (Bonded Labour System (Abolition) Act, 1976)
・1986年児童労働(禁止および規制)法 (Child Labour (Prohibition and Regulation) Act, 1986)
・1976年均等報酬法(Equal Remuneration Act, 1976)
・1961年産婦便益法(Maternity Benefit Act, 1061)
・1979年州間出稼ぎ労働者(雇用および役務条件)法(Inter-State Migrant Workmen (Regulation of Employment and Conditions of Service) Act, 1979)

(5) 派遣労働
・1970年請負労働(規制および禁止)法 (Contract Labour (Regulation and Abolition) Act, 1970)

(6) その他
・1961年徒弟研修法(Apprentices Act, 1961)
・1988年労働法令(特定事業所に対する報告および登録の免除)法 (Labour Laws (Exemption from furnishing returns and maintaining registers by certain establishment))

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上記以外にも多くの連邦法がありますが、いずれも適用対象が特定の事業分野の労働者であったり、インド政府(または州)への義務付けを定めている法律であるなど、一般にインドに進出する日本企業との関係では関連性が薄いと考えられることから、本ブログでは解説しません。

次回は、これらの法令の適用対象(=法令による保護対象)となる「workman」の定義について解説し、次々回以降、個別の法令の概要について解説していきたいと思います。

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なお、インド労働法については、現在のところ、下記の本が日本語文献として最も詳細に解説してくれています。

「インドへの投資ガイドブック 中小企業経営者のために」 
関西インド研究会 (第一法規)
http://www.daiichihoki.co.jp/dh/product/024059.html

1946年産業雇用(就業規則)法 (Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)の適用対象についての記載や、労働紛争の解決方法など、一部誤りまたは不適切と思われる記載もありますが、全体としては現在日本にある日本語文献の中では最もわかりやすくまとまっており、インドで労働者を雇用している(あるいは雇用を予定している)日本企業は、買って絶対に損はないと思います。

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夏の思い出

遥かなムンバイ、遠い空。

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以前こういうことを書いたわけですが。

ムンバイは4月から5月にかけて、最初の夏を迎えます。
ちなみに、2度目の夏は、雨季終了後の9月末から11月ころにかけてです。
1年に2回も夏があるあたり、どこまでも日本の常識が通じない場所です

さて、4月から5月は、もともと亜熱帯気候のムンバイが夏を迎えるというだけあって、気温は軽く35度を超えます。
気温が上がる日中も厳しいのですが、夜も寝苦しいというか、寝られるかこの野郎という感じです。

我が家のエアコンは完全に壊れており、うんともすんとも言いません。
(ちなみに、壊れているのが誰でも一目でわかるくらい、完全に壊れていました

天井のファンは生ぬるい空気をかきまぜるだけ。
室内打ち水の効果も、これだけ気温が上がってしまうと焼け石に水。

眠れないし、どうにか眠れても夜中に汗びっしょりで目が覚める、ということを繰り返し、寝不足で深刻なダメージを受けていた日々。
ある夜、ふと目に入ったものが。

P5310160

                                

                               

                                       

           

一時帰国した際に、日本で買ってきた寝癖直しミスト。

床に打ち水してダメなら…

ふらふらと起き上がり、中身を全部捨てて、水を詰めます。
勿体ないですが、この際そんなことを言っている場合ではありません。

スポーツ用のメッシュシャツに着替えた後、天井のファンの回転速度を上げ、ミストの容器を使って全身に霧をふきかけます

す  ず  し  い

weep  

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それ以降、水の入った霧吹きは、夜寝るときの必須のグッズになりました。

布団が湿って多少気持ち悪いですが、暑さで眠れないことを思えば全然我慢できる範囲の不快感です。

笑うなかれ。
人間、ギリギリまで追い詰められたら、多少の常識は捨てて実利をとります。

嘘だと思ったら、今年の夏、(ムンバイよりも涼しい日本で)一切エアコンを使わないで寝られるかどうか試してみてください。

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コックローチ・バトル -あとがき-

さて、こちらも完結したということで、あとがきです。

このシリーズこそ、ここまで続けて書くことになるとは、本当に全く思っていませんでした。
続編を書く=ゴキブリに苦しめられ続けるということで、続編を書きたくなかったシリーズナンバー1です

その割に、わりと人気があったようで、

「続編を早く書いてください」とか、

「苦しんでいる様子を見れば見るほど楽しくなってくる」とか、

「インド法解説はどうせ読まないから、もっとゴキブリの話を書いてくれ」とか、

色々とありがたいお便りをいただきました。

ちなみに、インド法解説は1回書くのに下調べの時間を含めて10時間近くかかっていますが、ゴキブリの話は、短いものでは30分くらい、長いものでも2時間かからずに書き上げています。
…「有益なコンテンツ」っていったい何なんでしょうね。

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このシリーズは突き詰めてしまえば、「ゴキブリが現れる→ショックを受ける→なんとかして退治する(あるいは逃げられる)」を繰り返しているだけで、それを単純に繰り返して書くだけでは面白くないし、何より書いている本人がたまらないということで、「メタファー表現」の実験をしてみました。

それでも、大変さは十分に伝わったようで、心ある人には色々と温かい言葉をかけていただきました。
こういう表現でも色々伝わったことが、文章コミュニケーションの面白さではないかと思っています。

「メタファー表現で何をどこまで伝えられるか」というのは、個人的にとても興味のあるテーマなので、文学研究(というほど大げさなものではありませんが)の1つとして、今後も機会を見つけていろいろ試してみたいと思います(このブログを表現の場とすることはもうないと思いますが)。

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ともかく、長らくご愛読いただき、本当にありがとうございました。

筆者は、ゴキブリが本当に嫌いです。
見るだけで鳥肌が立つくらい嫌いです。

もう続編を書かなくて良くなった筆者の幸せを言祝いでいただければ幸いです。

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最後に番外エピソードを。

インドからNYに送った荷物の梱包を開いていたところ、段ボールの中からゴキブリの死体が出てきました。
最初から死んでいたのか、それとも旅程上で死んだのかはわかりませんが、それを見たときの衝撃といったら。

地球を半周して追いかけてきたその執念やよし。

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インド会社法解説 -あとがき-

全29回にわたるインド会社法解説、いかがでしたでしょうか。

半分趣味で書き始めたのですが、思ったよりも反響が大きく、本当に驚いています。
関西の研究会の方々が出版された本に、このブログが参考文献として記載されていたのには腰を抜かしました。
葉玉先生の会社法ブログならともかく、こんなブログでも引用に値するんですねえ。
それくらい、今の日本にはインド法に関する情報が不足しているということかもしれません。

さて、実は、このブログの会社法解説を10倍くらい洗練した内容のインド会社法解説書を既に書き上げており、某政府系機関に提出しています。
そのうち某機関のウェブサイトで公開されると思いますので、公開されたら基本的にそちらをご参照いただければと思います。

解説書には、このブログの会社法解説で解説したことは基本的にすべて盛り込まれており、内容面でもさらに深い考察を加えています。
(なお、このブログの記事については、大きな誤りはその都度修正していますが、細かい誤りについては手が回らないということもあり、全て修正できているというわけではありません。その観点からも、某機関から解説書が公開されたら、基本的にそちらを参照していただいた方がいいと思います)

ちなみに、解説書の分量は約150ページ。
よく書いたよな、こんなの…

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ということで、このブログのインド会社法解説は一応完結とさせていただきます。

インド法解説シリーズとしては、次から労働法の解説か、株式取得規制および公開買付け規制を中心としたM&A法の解説を考えています。

…その前に締切りの近い論文を書かないと。

最近は論文の締切に追われており、日々「原稿、原稿」と連呼され、漫画家の方の気持ちが理解できるようになってきました。

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