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ムンバイテロに対する元現地駐在員としての思い

今回のテロは、ムンバイ市内10か所以上で同時に起こされたわけですが、その中でもメインのターゲットになったのは、タージ・マハルホテルとトライデントホテルの2つのホテルでした。

タージ・マハルホテルは、インドを代表する財閥であるTATA財閥の創始者であるジャムセットジ・ヌセルワンジ・タタ(Jamsetji Nusseruwanji Tata)が創立したホテルで、インド全土の中でも屈指の名門ホテルです(外観はこちら
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一方、トライデントホテルは、今年3月まではヒルトンホテル・ムンバイとして経営されていたものが、(おそらくはヒルトン側とホテル不動産保有者側の賃料交渉やライセンス交渉等の頓挫により)トライデントホテルに名称変更されたものです(外観はこちら(ヒルトン時代の外観))。
名称変更したとは言え、内装や設備が変わるわけでもなく、また従業員もそのまま引き継がれたため、実質的にはヒルトンホテル時代とほとんど変わっていません(実際、私もホテルの名称変更に気がついたのは、名称変更後1か月以上経ってからでした)。
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トライデントホテルは、これまたインド屈指の名門ホテルであるオベロイホテルと一体になっており(2つの建物が、通路を通じてつながっています)、そのため今回のテロ事件に際しても、初期には「オベロイホテルが占拠された」との報道を行っている報道機関もありました。
(建物が一体であるため、外国のメディアでOberoi-complexと報道されていたのを、そのまま和訳したのではないかと思われます)

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この2つのホテルは、全体的にホテルがあまり充実していないムンバイにあって、先進国並の設備を備えた快適なホテルとして、インド人富裕層はもちろん、外国人の観光客、出張ビジネスマンに非常によく利用されています。
ホテルの絶対数が不足気味のムンバイにあって、両ホテルの部屋の稼働率は、ほぼ常時100%であり、1か月前でも予約が困難なこともザラにあります。

また、これらのホテルは、レストランやショッピングモールが充実していることから、宿泊客のみならず、現地の外国人駐在員が、よく食事や買物に訪れています。
そのため、現地の日本人駐在員にとっても非常に身近な場所であり、おそらくムンバイに住んでいる日本人の中で、両ホテルに行ったことがないという人は存在しないのではないかと思われます。

私自身、ムンバイに滞在中に、この2つのホテルには、買物やお茶、マッサージなどを目的として、月に3、4回くらいの頻度で行っていました。
特にタージ・マハルホテルには、ムンバイ唯一の「比較的きちんとした日本料理レストラン」であるWasabiがあったため、本当に何度も食事に行きました。
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今回のテロは、そのような、「ムンバイの中でも日本人にきわめて身近な場所」で生じたのです。

しかも、お亡くなりになった日本人出張者の方は、「ムンバイ空港から現地日本人駐在員のアテンドでトライデントホテルに移動し、チェックインしようとしたとき」という、出張者および現地駐在員にとってはきわめて日常的な光景の中で、テロリストに撃たれたのです。
ムンバイに出張されたことのある方なら、これがいかに日本人出張者および日本人駐在員にとって衝撃的なものであるかが、より実感を伴っておわかりになるのではないでしょうか。

「他人事とは思えない」
「まさか、本当にまさかあんなところで」

既にムンバイから離れている私でさえそのように思うのですから、今でもムンバイにいらっしゃる日本人の方々は本当に衝撃を受けていると思います。

比較するのは不謹慎かもしれませんが、ムンバイで生活している日本人駐在員にとっては、今回の事件は東京の地下鉄サリン事件に匹敵する「日常の破壊」です。

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ムンバイは決して治安の悪い街ではありません。
夜中に1人で歩いていても、まず安全といってよい街です。

それでも、今回のような宗教的対立を理由とした意図的なテロに対しては、正直、現地駐在員としては対応のしようがありません。
ムンバイは、(基本的な治安の良さを考慮しても)日本人にとって決して暮らしやすい街ではないため、街の中の行動範囲も限られてきます。その限られた行動範囲は、まさに今回テロリストが狙ったような、「外国人が頻繁に利用する場所」です。

そのような場所をあえて狙うテロ行為に対して、いったい何をどう気をつければいいのでしょうか。
個人の注意意識でどうにかなる範囲を超えています。

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不安な日々を過ごされているであろう日本人駐在員および日本人滞在者の方々の心情を思うと、心が痛みます。

日本人のみならず、すべてのインド人、外国人を含め、今回の事件でこれ以上の犠牲者が出ないことを心から祈っています。

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