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2009年1月

(続)「『インド式計算』の嘘」の検索結果とそこから広がるいろんな想像

昨日、「『インド式計算』の嘘」の検索結果とそこから広がるいろんな想像、という記事を書き、その中で、以前書いた「『インド式計算』の嘘」という記事がなぜがGoogleで検索できないという話を書いたのですが、本日現在Googleで再度検索してみたところ、以下のとおりの検索結果となりました。

「インド式計算の嘘」
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e5%bc%8f%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%81%ae%e5%98%98

昨日書いた記事が、1頁めの上から3番目でひっかかっています。オリジナルの記事は、相変わらずひっかかりません

「インド式計算 嘘」
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e5%bc%8f%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%80%80%e5%98%98

→上と同じ結果。

「インド式計算 批判」
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%BC%8F%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%80%80%E6%89%B9%E5%88%A4&lr=

→おお、1頁めのトップに来ています。ただ、やっぱりひっかかっているのは昨日の記事。オリジナルの記事はどこを探しても見当たりません。

ちなみに、「インド式計算」という検索ワードだと、昨日の記事もひっかかっていない(あるいは検索順位がものすごく後になっている)ようです。
まあ、「インド式計算」をキーワードに含む記事はたくさんある(1,290,000件でした)ので、これはしょうがないですね。

--

少なくとも、本日(2008年1月29日)の時点では、昨日書いた記事はちゃんとGoogle検索の結果に反映されているようです。
(というか、Googleってすごいですね。一マイナーブログの記事が1日たったらちゃんと検索のトップに来るんだから)

ということで、昨日の記事(および本記事)が、いつ大人の検閲にかかるかいつからGoogle検索にひっかからなくなるか、とても楽しみです。

1か月ほど経ったところで、覚えていたら検証してみようと思います。

--

(追記)

本記事を投稿したことにより、Googleで「インド式計算の嘘」で検索した場合、本記事が一番最初にヒットすることになったようです。
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e5%bc%8f%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%81%ae%e5%98%98

こういう「検索結果モノ」の記事は、記事の投稿自体が検索結果に影響を与えてしまうため、ちょっと難しいですね。

現時点においては、記事に書いていることと検索結果が一致しなくなってしまっていますが、記事の趣旨は伝わっているかと思われますので、書いたそれぞれの時点の検索結果を想像しながら読んでいただければと思います。

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「『インド式計算』の嘘」の検索結果とそこから広がるいろんな想像

昨年(2008年)の3月、まだムンバイで働いていたときに、本ブログ上で、「インド式計算の嘘」という記事を書きました。

で、先日たまたまちょっとインド式計算について調べることがあって、「そういえば自分でどんなこと書いてたっけ?」と、Googleで自分の記事を検索してみました(ブログ内検索が使いづらいというのと、ブログの記事のタイトルは通常Google検索でひっかかるので、私はこのブログに書いたことを自分で調べるときに、よくこの方法を使っています)。

「インド求法記 インド式計算」

「インド式計算 ブログ」

「インド 計算 ブログ」

など、いくつかのキーワードで検索してみたのですが、なかなかひっかかりません。
(ちなみに、この時点では、ブログの記事の正確なタイトルを忘れていたため、「『インド式計算』の嘘」というタイトルそのものでは検索していません)

仕方なく、いったん自分のブログを開き、ブログ内検索で記事を引っ張り出すことに。

ああ、結構批判的なことを書いてたんだなあと思いつつ(自分でも何を書いたか忘れ気味)、ふと気になったことが。

「なぜ、この記事はGoogle検索でひっかからなかったのだろう?」

確か以前にも同じ記事をGoogleを使って検索したことがあったのですが、そのときはあっさりとひっかかったとの記憶があります。

--

検索ワードが正確でなかったのが原因かと思い、記事のタイトルそのものを使って、以下のキーワードで検索してみました。

「『インド式計算』の嘘」(なぜかこのリンク先ではうまくカギカッコの部分が出ませんが、実際にはカギカッコ付で検索しています。以下同じ)
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%BC%8F%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%81%AE%E5%98%98&lr=

「インド式計算の嘘」(カギカッコ抜き)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e5%bc%8f%e8%a8%88%e7%ae%97%e3%81%ae%e5%98%98

「『インド式計算』の嘘 ブログ インド」
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%BC%8F%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%81%AE%E5%98%98%E3%80%80%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%80%80%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89&lr=

………

やっぱりひっかかりません。

「『インド式計算』の嘘 インド求法記」で検索したところ、ようやくブログ自体にはひっかかりましたが、全然違う記事が出てきています。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%BC%8F%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%81%AE%E5%98%98%E3%80%80%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B1%82%E6%B3%95%E8%A8%98&lr=

--

「まあ、しょうがないか。どうせマイナーなブログだから」

と思いつつ、検索に全くひっかかっていない(2頁目、3頁目以降の検索順位の下位にも現れていない)ことが少し気になって、今度は「インド式計算」だけで検索してみました。

「インド式計算」
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%BC%8F%E8%A8%88%E7%AE%97&lr=

………

出てくるわ出てくるわ、賞賛(「インド式計算ってすごい!」)と商売(書籍、ゲームetc)の嵐。
特に2ページ目以降がすごいです。

ついでに言うと、「インド式計算の嘘」で検索しても、なぜか検索結果は賞賛と商売だらけです。

これを見て、なんとなく思うところがあり、本ブログの「インド式計算の嘘」(2008年3月8日の記事)前後の記事のタイトルで検索をしてみました。

「印度学生茶道普及協会」(前編後編
(「『インド式計算』の嘘」の直前の記事(2008年3月6日)。それにしても、なんだこのタイトルは
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e5%8d%b0%e5%ba%a6%e5%ad%a6%e7%94%9f%e8%8c%b6%e9%81%93%e6%99%ae%e5%8f%8a%e5%8d%94%e4%bc%9a

ちゃんと1頁目の上から5つ目に出てきますね。

巡り巡ってJDR
(『インド式計算』の嘘」の6つ後の記事。「『インド式計算』の嘘」の後の記事のタイトルが、「日本滞在」、「至福」など、一般名詞的なものが多いため、本ブログのタイトル特有と思われる言葉が使われているもので、もっとも直後のものを選びました)
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E5%B7%A1%E3%82%8A%E5%B7%A1%E3%81%A3%E3%81%A6JDR&btnG=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&lr=

直接この記事にはヒットしませんでしたが、上から4つ目と5つ目に、上記タイトルを含む本ブログの記事がヒットしています。

もうちょっと調べてみましょう。

こういうのはどうでしょうか。

シャワータイム・ブルース」(2007年12月の記事)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%a0%e3%83%bb%e3%83%96%e3%83%ab%e3%83%bc%e3%82%b9

おお、1頁めの一番上です。

インド公務員からの賄賂要求」(2008年4月の記事)
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&rlz=1T4SKPB_jaUS283US283&q=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E5%85%AC%E5%8B%99%E5%93%A1%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%B3%84%E8%B3%82%E8%A6%81%E6%B1%82&lr=

これも1頁目の一番上ですね。

--

ということで、他にもいくつか試してみたのですが、とりあえず「『インド式計算』の嘘」が書かれたのと同時期に書かれている記事のタイトルは、すべてGoogleで直接または間接に、ほぼ1頁目でヒットしています。

逆にいえば、「『インド式計算」の嘘」だけが、なぜか検索に全くひっかからないのです。

さて、ここで、「『インド式計算』の嘘」の内容を読み返してみましょう。

冒頭部分はこんな感じです↓

~~

最近なぜか日本で流行っているこれ(※原文にはリンクあり。「これ」とは、インド式計算のこと)

ムンバイとデリーで、無作為にインド人(弁護士その他)10数人に聞いてみましたが、皆「こんな計算方法知らないし、聞いたこともない」だって。

インド国内でちゃんとした教育を受けたインド人10数人に聞いて、誰も知らないようなものを、「インド式計算」と言っちゃいかんのではないでしょうか。

~~

とまあ、こんな感じの文章から始まり、実際にインド現地でインド人に聞いてみた結果をもとに、「現在(もう過去か?)、日本で流行している『インド式計算』なるもの(正確に言えば、それを流行させて一儲けしようとしている日本での商業主義)」を批判する内容(+日本の伝統的計算方法である算盤を高く評価する内容)となっています。

本記事には、現地の駐在員の方から有益なコメントをいただいており、その方が同じく現地のインド人スタッフに「日本で『インド式計算』と言われているもの」について尋ねたところ、

・インド当地では「Vedic Maths」と呼ばれており、7~8歳の頃学校で習う。正式な計算方法というより「頭の体操」として活用しているらしい。

・実際、これを習った直後は使うようだが、大人になると誰も使わない。

との回答があったそうです。

ちなみに、その方の場合も、現地スタッフ4人に聞いても「知らない」と言われ、「小さなお子さんがいる人が5人目にしてようやく知っていました」というプロセスを経ています。

--

さて、

・上記のような「インド式計算」と呼ばれているものを批判しつつ、その実態について検討する内容の記事が、(過去には検索できたにもかかわらず)ある時期からなぜかGoogleで検索できなくなっていること。

・他方、Googleで、「インド式計算」とだけ入力した場合の検索結果は、「インド式計算」なるものに対する賞賛と商売で溢れ返っていること。
反面、なぜか「インド式計算」に対して「それって本当に『インド人が実践している計算方法』なの?」という疑問を呈示するサイトやブログには、ほとんどヒットしないこと(なお、「インド式計算」が本当に効率的なのかについて疑問を呈するサイトやブログはいくつかヒットしているようです)。

Googleのみならず、Yahooなど、他の検索エンジンでも、上記Googleにおける検索結果とほぼ同様の結果になること。

・インターネット上のみならず、実社会においても、現在あるいは少なくとも過去の一時期において、「インド式計算」なるものが日本においてブームになり、多くの便乗業者が生まれて、一定の市場が形成されていること

をもとに、総合的に考察してみましょう。

色々と面白い想像ができそうです。

あんまり想像すると色々怖いので、深くは突っ込みませんが。

--

とりあえず、インターネット検索機能はあくまで私企業が提供しているものであること、したがって当該私企業の周囲には各業界(あるいは国家や個人)の様々な思惑が絡んでくること、それゆえに検索結果に全面的に依拠するのはきわめて危険であること、といったあたりは忘れない方が良いでしょうね。

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みなし公開会社規制 補足

みなし公開会社になった場合の効果として、適用されるコンプライアンス規定の内容について言及するのをすっかり忘れていました。

公開会社(みなし公開会社を含む)に適用されるコンプライアンス規定、言い換えれば非公開会社については適用されないコンプライアンス規定の一覧については、↓のウェブサイトからダウンロードできる「インド会社法調査」の別紙1(128頁以下)をご参照ください。

http://www.jetro.go.jp/world/asia/reports/05001573

 

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みなし公開会社規制解説その9

今回はみなし公開会社規制解説の最終回です。

前回を書いたのがあまりにも前過ぎて、書いた本人もどこまで書いたかすっかり忘れていたのは秘密です。

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さて、前回までは、「みなし公開会社規制とは何か」、「どのような場合に適用されるのか」、「適用を回避する方法にはどのようなものがあるか」について解説してきたわけですが、今回は、「みなし公開会社規制が適用された場合、どのような効果が生じるのか」について解説したいと思います。

インド企業(それ自体公開会社)の出資比率が過半数を超えている日印合弁会社など、みなし公開会社規制が不可避的に適用されてしまう場面において、当該会社はどのように扱われるのでしょうか。

もう少し具体的にいうと、みなし公開会社は、

①「公開会社そのもの(=公開会社として設立、組織運営をしなければならない)

②「非公開会社だが公開会社のコンプライアンスが適用される会社(=非公開会社として設立、組織運営可能)

のいずれとして扱われるのでしょうか。

この点について、みなし公開会社規制の根拠条文であるインド会社法3条1項(iv)は、以下のとおり規定しています。

(iv) "public company" means a company which-
(a) is not a private company;
(b) has a minimum paid-up capital of five lakh rupees or such higher paid-up capital, as may be prescribed;
(c) is a private company which is a subsidiary of a company which is not a private company.

上記規定(特に(c))を素直に読めば、、「public company(=公開会社)」とは「private company which is a subsidiary of a company which is not a private company(=非公開会社でない会社の子会社である非公開会社)」を意味する、というのですから、みなし公開会社は公開会社そのものであるという上記①の考え方が正しいように思われます

しかしながら、実際にインド会社法の条文を見てみると、「public company(=公開会社)」と、「private company which is a subsidiary of a company which is not a private company(=非公開会社でない会社の子会社である非公開会社)」とを並列的に記載している条文が多数見られます。

数が多すぎて全部を列挙することはできませんが、ざっと挙げただけでも、77条2項90条のExplanation(条文の説明部分。この部分自体も法律の一部)、170条1項(i)198条1項255条1項など、非公開会社に対するコンプライアンス規定の除外を定めた条文のほとんどにおいて、両者は並列的に記載されています。

もし、「private company which is a subsidiary of a company which is not a private company」が、「public company」そのものであれば、両者を並列的に記載する必要などなく、一言「public company」とだけ書いておけば済む話ですので、併記されている=区別されているということで、インド会社法は「private company which is a subsidiary of a company which is not a private company」は「public company」そのものではないと考えているというふうにも読めます。

--

そもそも、なぜ、みなし公開会社が①「公開会社そのもの」なのか、②「非公開会社だが公開会社のコンプライアンスが適用される会社」なのかの区別が重要なのでしょうか。

それは、インド会社法上、公開会社と非公開会社では、求められる組織構成や登記内容が異なるためです。

具体的には、たとえば公開会社では最低株主数は7人ですが、非公開会社では2人です。また、公開会社の最低取締役数は3人ですが、非公開会社では2人です。さらに、公開会社(一定要件をみたすもの)には監査委員会の設置義務があるなど、組織の設置義務についても相違があります。
登記についても、商号をはじめとして(private limitedかlimitedか)、公開会社と非公開会社ではその内容が異なってきます。

そのため、みなし公開会社が、「公開会社」なのか、「非公開会社だが公開会社と同様のコンプライアンスを求められる会社」なのかは、とても重要になります。
前者なら、株主を7人集め、取締役を3人以上選任して、公開会社として設立、登記、運営する必要がある一方、後者なら、株主は2人、取締役も2人でよく、非公開会社として設立、登記できる(ただし、運営は公開会社のコンプライアンスに従う)ためです。

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では、インド会社法上、みなし公開会社が①「公開会社そのもの」なのか、②「非公開会社だが公開会社のコンプライアンスが適用される会社」なのかについて、いったいどのように解されているのでしょうか。

実は、この点については、判例や政府当局による明確な見解等が存在せず、はっきりしません。

インド国内の弁護士や会計士でさえ、事務所ごとに見解が違っており、「非公開会社として設立してOK」とアドバイスしている事務所もあれば、「公開会社として設立しなければならない」とアドバイスしている事務所もあります。
(ちなみに、こういう、「同じ問題について、専門家ごとに言っていることが違う」というのは、インドで法務に携わる人が日々悩まされていることだったりします)

このように専門家の見解が分かれている理由の根本は、まさに上記で説明した、インド会社法の規定自体の矛盾(=定義部分では、みなし公開会社=公開会社そのもの、という規定をしておきながら、その他の部分ではみなし公開会社と公開会社を区別しているという一貫性のなさ)にあります。

個人的には、この矛盾は、現在のようなみなし公開会社の概念を導入した2000年改正の際の立法の不備(改正の際に、みなし公開会社の法的位置づけについて、法全体としての一貫性、整合性をきちんととらなかった)ではないかと思っています。
だからこそ、そのような不備のある法律の文言を根拠に議論をすることは、ある意味不毛ともいえるでしょう。

一応、直接の判例や通達等はないにしても、当局の姿勢を示すヒントになる事案はいくつかあるようです。

その1つとして挙げられるのが、Hillcrest Reality Sdn. Bhd. v. Hotel Queen Road Private Limited(2006)という、インドにおける会社法関係の審判機関(※)である、Company Law Boardでの審判において判断が示された事件です。
(※インドでは、一定の専門性を有する事件については、審判のための行政機関(準司法機関)が第一審の専属的管轄権を持っており、Company Law Boardはそのうちの1つです)

同事件において、Company Law Boardは、「非公開会社としての基本的性質を考慮すれば、たとえ当該非公開会社がみなし公開会社に該当する場合であっても、当該会社において株式譲渡制限を行うことは可能である」との判断を示しています。

インド会社法111A条により、公開会社においては、株式譲渡は自由でなければならないとされており(たとえ定款に株式譲渡を制限する規定があっても、その規定は株主に対抗できない)、したがって公開会社では株式譲渡制限ができません。
しかしながら、上記事件では、Company Law Boardが、「みなし公開会社であっても、非公開会社であることに変わりはないのだから、株式譲渡制限は可能」との判断を示しています。

この判断の根底には、「みなし公開会社は、『公開会社に適用されるコンプライアンス規定の適用を受ける非公開会社』である」との解釈があると考えられます。
もし「みなし公開会社は公開会社そのものである」という前提に立った場合、上記のような判示が出てくる余地はないはずだからです。

株式譲渡制限の可否は、公開会社、非公開会社の区別の本質にかかわる相違であり、組織上の相違に相当すると考えられますが、みなし公開会社において株式譲渡制限を認めるということは、少なくともCompany Law Boardは、みなし公開会社の本質は非公開会社であると考えていることになります。

よって、現在のところ、少なくともCompany Law Boardは、みなし公開会社は、②「非公開会社だが公開会社のコンプライアンスが適用される会社」であると考えているようです。

もっとも、上記はあくまで行政機関であるCompany Law Boardの判断であり、裁判所による判例というわけではないことから、先例としては弱く、後の司法判断により覆される可能性もあります。

--

以上から、みなし公開会社が①「公開会社そのもの」なのか、②「非公開会社だが公開会社のコンプライアンスが適用される会社」という問題について、現在のインドでは、②の考えが当局の見解に近いものの、判例等は存在せず、したがって②の考えをとることには一定の法的リスクがある、という状況です。

個人的には、「公開会社が子会社を通じてコンプライアンスを潜脱することを防止する」という立法の趣旨からして、みなし公開会社を公開会社そのものとまで見る必要はなく、あくまで公開会社と同様のコンプライアンスに服する非公開会社であるとする見解が妥当ではないかと思っています。
条文構造上も、みなし公開会社を公開会社そのものとみなす根拠となる規定が3条1項(iv)の1つしかないのに対して、みなし公開会社を公開会社と区別し、あえて並列的に列挙している条文の数が3桁近いということからして、やはり両者は別物と考えるべきでしょう。

ちなみに、実務上は、②の見解が取られている(=非公開会社として設立、登記されている)ことが多いようです。
株主を7人集める+株主管理が大変、など、色々理由はあるようですが、一番の理由はこれまでに会社登記局(Registrar of Company)や企業省(Ministry of Corporate Affairs)から、登記を拒否されたり問題を指摘されたという事例を聞かない、というところに行きつくのではないかと思われます。

会社を登記する際には、発起人(=最初の株主)を書く必要があるため、子会社として設立される場合、発起人欄に親会社が過半数株主として記載されることが通常です(設立方法にはいろいろバリエーションがあるので、必ずしもそうでない場合もありますが)。
にもかかわらず、親会社が公開会社であっても登記が拒否されたという事例は聞きません。このことは、間接的ですが、会社登記局も、「みなし公開会社といえども、公開会社そのものとして設立、登記する必要はない」と考えていることを推認させます。

もちろん、「これまでに事例を聞かない」というだけで、今後摘発の対象にならないとは断言できません。
リスクはそれほど高くないとは思われますが、なんといっても、この点については、判例も通達もないのですから。

以上から、みなし公開会社については、
(a)手間はかかるが法的リスクは低い方法として、公開会社そのものとして設立する。
(b)一定のリスクがあることを認識しつつ、簡易に設立、登記できる方法として、非公開会社として設立する。
のいずれかを選択する必要があります。

個人的には、よほど大きな事情(大きなプロジェクトで少しでも法的リスクを避けたい、免許制の事情で免許取消等の事態を避けたい)がない限りは、(b)の対応で特に問題ないのではないかと思っています。

--

以上、全9回のみなし公開会社解説、いかがでしたでしょうか。

この点は、日系企業がインドに進出する際の入口の論点であるにもかかわらず、まだインド国内でも十分に議論がなされていないところであり、私の見聞きした範囲でも多くの日本企業が悩んでいるところです。

私自身、まだとるべき見解について悩んでいることもあり、議論がある部分については、できるだけ多くの説とその考え方、根拠を提示するとともに、実務の方向についても記載するようにしました。

この解説が、少しでも悩めるインド法務担当者の方の助けになれば幸いです。

--

(追記)

この解説全回をまとめて、ちゃんとした論文にできればなあと思っているのですが、日々の授業に追われてなかなかまとまった時間がとれず、当分無理そうです。

…誰か代わりに書いてくれないかなあ。

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新年以降

風邪をひいて丸3日間寝込んだり、学校がはじまったり、暖房が壊れたり、まあいろいろあってすっかり更新が滞ってしまいました。

みなし公開会社規制解説も早く完結したいのですが、最後のところでちょっと私自身どう解釈すべきかについて迷いがあることもあり、最終回の掲載が延び延びになっています。なんとか今月中には考えをまとめて、最終回をアップしたいと思います。

ところで、暖房が壊れたのは実は結構深刻で、修理をお願いしてから修理されるまでの間、ずっと家の中で震えていました。
ちなみに、一昨日の最低気温はマイナス17度。天気予報で「0度」と予報していたので、結構寒いなあと思っていたら、摂氏(C)じゃなくて華氏(F)でした。

ええ、家から一歩も出ませんでしたが何か?

それにしても、この寒さ、2年ぶりの冬を体験する身にはこたえます…
ムンバイは、冬でもよほどのことがない限り最低気温が10度を切ることはなく、昼間Tシャツでも十分だったので、よけいに寒く感じてしまうのでしょうね。

--

閑話休題。

今回は(ちょっと古いですが)この記事↓

インド政府、国内経済に1兆9,000億円超の資本注入へ
2009年1月6日18時0分配信 インド新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090106-00000004-indonews-int

インド統一進歩同盟(UPA)が政権を握るインド政府は今後100日間で1兆ルピー(約1兆9,100億円)をインド経済に注入する。
国民会議派の広報担当者、マニシュ・テワリ氏が明らかにしたもの。需要を刺激し、世界経済減速の影響を抑制することが狙いだという。
テワリ氏によれば、現金注入はUPAの会長、ソニア・ガンジー氏の要請で決定されたという。なお、現政権の景気対策の三本柱は生産量の増加、インフレの抑制、雇用の増加となる。
インド政府は2008年12月7日と1月2日にも景気刺激策を導入している。

--

いや、記事の中身じゃないんです。

ポイントはココ → 「1兆ルピー(約1兆9,100億円)」

いつの間にか、1ルピーが1.9円にまで下がっちゃってたんですねえ。
私がいた一昨年の後半から昨年の前半にかけては、TTSレート(買いレート)だと1ルピー3円を超えることもあったので、それを考えると、実に3分の2に下がっています。

あのころ、このレートだったら、ゴキブリと共に歩む必要のない、ちゃんとお湯の出る家に住めたかもなあ……とか、徒然思ってみただけ。

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みなし公開会社規制解説その8

設例1から3までで検討したとおり、インド会社法のみなし公開会社規制は、簡単には回避ができない規制であり、日本企業がインドに合弁会社を設立するにあたって、会社の意思決定権を確保しつつ、非公開会社のステータスを維持することは容易ではありません。

しかしながら、合弁会社において、日本企業が実質的に会社の意思決定権を支配しつつ、当該合弁会社につきみなし公開会社規制を回避する方法がないわけではありません。
以下、いくつか例示します。

回避方法例その1

株式保有を50%ずつとしつつ、合弁契約(株主間契約)において、①取締役の指名権数を合弁相手方と同数とする(3人対3人など)、②取締役会の議長に賛否同数の場合の決定権(キャスティング・ボート)を与える、③日本企業側が取締役会の議長の指名権を持つこととする。

インド会社法4条1項上の子会社の定義は、以下の通りです。
①「他の者から取締役会の構成をコントロールされうる会社」(4条1項(a))
②「会社の過半数(more than half)の株式が単独株主(親会社)に保有されている会社」(同項(b))
③「子会社の子会社」(同項(c))

さて、上記の方法をとる場合、まず株式保有が50%ずつですので、②の観点から合弁会社が日本企業(あるいは合弁相手方のインド企業)の「子会社」となることはありません。

また、③もこの方法との関係で適用されることはありません。

さらに、①について、「他の者から取締役会の構成をコントロールされうる会社」とは、以下の会社をいいます。
(i)全てのまたは過半数の取締役を選任しまたは解任する権限(power)を、単独で行使できる法人株主が存在する場合
(ii)(i)について、以下の各事情のいずれかが存在する場合には、法人株主はその取締役の選任権限を有しているとみなされる
(a)当該法人株主による賛成なしには、その者が取締役として選任されえないこと
(b)当該法人株主の役員または社員であることが、その者が取締役として選任されるための要件となっていること
(c)当該法人株主またはその子会社により指名される個人のみが、取締役となりえること

上記のとおり、(i)および(ii)の(a)から(c)までは、基本的に取締役の選任にかかわる要件であり、取締役会における意思決定それ自体にかかわるものではありません。
したがって、取締役会の議長にキャスティング・ボートを与えること、および議長の指名権を日本企業が確保することは、いずれも「他の者から取締役会の構成をコントロールされうる」かどうかには関連してこないため、この要件にひっかかることもありません。

なお、この方法を採用する場合、株主総会のデッドロックの場合の決定権を日本企業側が保有する形にはしないことが重要です。
インド会社法上、取締役の選解任は株主総会普通決議事項とされているため、日本企業が株主総会のデッドロックの場合の決定権を持ってしまった場合、日本企業が「過半数の取締役を選任する権限」を有することになってしまうためです。

回避方法例その2

日本企業とインド企業間で50%ずつの保有としつつ、合弁契約(株主間契約)において、日本企業が1%あるいはそれ以上の株式のコールオプションを保有する。

この方法は、「コールオプション行使の可能性を担保として、事実上日本企業が意思決定権を確保する」というものです。
相手方のインド企業としては、日本企業の方針に反対して、株主総会でデッドロックに持ち込んだとしても、いざとなればコールオプションを行使されて日本企業に株式を過半数保有されてしまい、取締役の選解任を含めた普通決議事項の決定権を握られてしまうことから、反対するインセンティブが低下してしまいます。

つまり、普段の状態では、日本企業、インド企業いずれも株式の過半数を保有しておらず、また取締役会における意思決定権も支配していないが、いざ問題が生じた場合には、日本企業がコールオプションを行使してインド企業から株式を強制取得することにより、日本企業優位の状態を作り出すことができるわけです。
そして、この「いざとなればコールオプションを行使できる」という事実自体を、一種の担保とすることにより、日本企業が事実上合弁会社の支配権を確保することができます。

この方法がすぐれているのは、「普段の状態では、日本企業が株式を過半数保有しているわけでも、取締役の選任権(あるいは指名権)を有しているわけでもないため、合弁会社につきインド会社法上のみなし公開会社規制の適用要件がみたされない」という点です。

この方法のデメリットとして、万一日本企業とインド企業の対立が調整できず、実際に日本企業がコールオプションを行使する事態に至った場合、その瞬間から当該合弁会社がみなし公開会社に該当してしまうという点が挙げられます。
コールオプションを行使した場合、その時点で日本企業が過半数の株式を保有することになるため、②の過半数の株式保有要件の観点から、当該合弁会社が日本企業の子会社に該当してしまい、その結果として合弁会社にみなし公開会社規制が適用されてしまうためです。

回避方法例その3

上記2つと比べて単純な方法として、「子会社ではないが、一定の親しい関係にある会社」に合弁会社の株式を保有してもらうという方法があります。

日本企業が60%、インド企業が40%という持分割合にしてしまうと、合弁会社が日本企業の子会社に該当してしまいますが、たとえば日本企業40%、他会社20%、インド企業40%という保有比率にすれば、合弁会社はどの会社の子会社にも該当しないことになります。

他会社はグループ会社(親子会社となる資本関係がないことが条件)でも良いですが、たとえば会社名に同じ言葉が含まれるなど、一見して両者がグループ会社であることが明白な場合、日本企業と他会社とで、合弁会社の取締役会の構成をコントロールしているとみなされてしまう可能性があるため、名前は被らない方が良いでしょう。

なお、このケースにおいて、合弁契約や株主間契約などで明示的に日本企業が他会社と共同で株主総会議決権を行使することを合意した場合、日本企業が取締役会の構成をコントロールしているものとみなされることになるため、注意が必要です。
あくまでも、「仲は良いが、議決権行使の意思決定において、相互に影響を及ぼすことはない」という建前を貫くことが必要です。

ちなみに、そのようなグループ会社を保有していない場合、中間法人を利用して直接の資本関係のない会社を設立し、その会社に分散保有させるとの方法もありますが、あまり現実的ではないでしょう。

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以上は、あくまでも例示であり、これ以外にもみなし公開会社規制を回避する方法はいくつかあると思われます。

要は、みなし公開会社規制の適用要件を外しつつ、実質的に合弁会社の意思決定権を確保する方法であれば良いのです。
ただし、みなし公開会社規制の適用要件を外すことは、それほど簡単ではないことから、実際にスキームを検討する際には、インド法弁護士に相談することを強くお勧めします。

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次回は、みなし公開会社規制が適用された場合の効果について解説します。

一応、次回で最終回の予定です。

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新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年は、年の前半はムンバイで勤務し、その後6月からは米国のロースクール留学のためにニューヨークに移動し、その合間に日本に一時帰国してセミナーをしたりするなど、多忙ながらも充実した日々を過ごすことができました。

今年も、自分にできることを1つずつ積み重ね、少しでも成長するとともに、できる限り多くの人の役に立てればいいなと思っています。

ロースクールの日々の授業の予習、復習がかなり忙しく、本ブログの更新も滞りがちではありますが、少ないながらも有益な情報を発信していければと思っていますので、ときどき覗きにきていただければ幸いです。

皆さまにとって、今年1年が素敵な年でありますように。

「インド求法記」管理人 kottyinindia

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