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2009年2月

プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制②

前回に引き続き、プレスノート2009年2号および4号発行以前のダウンストリーム・インベストメント規制の状況がどのようなものであったかにつき、解説していきます。

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前回解説したとおり、プレスノート2009年2号および4号発行以前は、foreign owned holding companyについては、プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号に基づき、ダウンストリーム・インベストメント規制が課されられていました。
(ダウンストリーム・インベストメント規制が適用された場合、当該foreign owned holding companyが他のインド内国会社の株式等を取得する場合、インド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が必要となります)

さて、プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号が、直接的に規制しているのは、foreign owned holding companyによる投資です。
そうすると、foreign ownedであってもholding companyでない場合、言い換えれば、事業会社である場合(foreign owned operating company)である場合には、ダウンストリーム・インベストメント規制は適用されないように見えます。

たとえば、日本の自動車会社(A)が、インドに現地法人(B)を設立して工場の操業や自動車販売を行っているとして、たまたま取引先のインド企業(Z)から自社の株式取得を持ちかけられた場合を想定してみましょう。
この場合、現地法人Bの主要な事業目的は自動車の生産、販売ですから、Bはholding companyではなくoperating companyです。

そうすると、取引先の要請に応じて当該取引先の株式を取得したとしても、それはholding companyによる株式取得ではなく、operating companyによる株式取得にすぎず、プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号のダウンストリーム・インベストメント規制の対象とはならないはずです。

ところが、実際には、上記Bのようなforeign owned operating companyによる株式取得の場合であっても、インド外国投資促進委員会(FIPB)の方針により、ダウンストリーム・インベストメント規制が課されていました。

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「ん? プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号には、ダウンストリーム・インベストメント規制の対象としてholding companyしか書いていないのに、どうしてFIPBはoperating companyも規制できるの?」

当然の疑問です。

が、実は、これに対する明確な回答はありません。

なぜなら、FIPBは、明文のプレスノートやガイドラインによらず、一方的宣言によりforeign owned operating copmanyについてもダウンストリーム・インベストメント規制を適用していたからです。

しかも、ある日突然「foreign owned operating companyについてもダウンストリーム・インベストメント規制を適用します」と宣言し、過去に他のインド内国会社の株式を取得していたforeign owned operating copmanyに対しても、遡及的に書類提出を求めるという無茶っぷりでした。

このFIPBのスタンスを正当化する根拠を強いて求めるなら、インド外国為替管理法(FEMA)上、FIPBにはFDIの承認に対する一般的、包括的な権限が認められているという点になるかと思われます(法令上は、自動承認はあくまで例外という扱いになっており、原則はあくまで全てのFDIにつきFIPBの事前承認が必要とされているためです)。

FIPBは、上記宣言後、他のインド内国会社の株式等を取得したforeign owned operating copmanyを、foreign owned operating-cum-holding company(=インド非居住者保有の事業兼持株会社)と呼ぶようになり、foreign owned operating-cum-holding companyがダウンストリーム・インベストメントを行う場合、FIPBの事前承認が必要であるとしました。

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さて、ここからが核心です。

上述のとおり、FIPBのforeign owned operating company (operating-cum-holding company)に対するダウンストリーム・インベストメント規制は、明文のプレスノートや通達等によらないものです。
そのため、いったいどのような投資であれば、foreign owned operating companyにダウンストリーム・インベストメント規制が適用されるのかが、まったく見えなくなってしまっていました。

前回解説したとおり、foreign owned holding companyに対するダウンストリーム・インベストメント規制の場合、プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号という明文の根拠があり、どのような場合にダウンストリーム・インベストメントとしてFIPBの事前承認が必要なのか、また例外はどのような場合に認められるのかがが明示的に規定されていました。
そのため、プレスノート1999年9号の例外要件をみたした場合、ダウンストリーム・インベストメントであっても、例外的に自動承認でFDIを行うことが認められていました。

しかしながら、foreign owned operating companyに対するダウンストリーム・インベストメント規制は明文の根拠がなく、したがって例外がどのような場合に適用されるのかも不明です。
つまり、平たく言えば、FIPBの胸先三寸で規制の内容が決まるのです。

そして、FIPBは、owned operating companyに対するダウンストリーム・インベストメント規制につき、

①foreign owned operating companyによるインド内国会社の株式等の取得は、取得する株式等の数量、割合を問わず、ダウンストリーム・インベストメントに該当する。

②①に該当する場合、例外なく常にFIPBの事前承認が必要である。

とのスタンスをとっていました。

その結果、明文規定のあるforeign owned holding companyによるダウンストリーム・インベストメントについては、プレスノート1999年9号記載の一定の例外要件をみたせば自動承認でのFDIが可能になるにもかかわらず、明文規定のないforeign owned holding companyによるダウンストリーム・インベストメントについては、例外なくFIPBの事前承認が必要となるという、奇妙な逆転現象が生じてしまいました。

明文もなく規制しておきながら、(明文のある規制については認められている)例外を認めない。
これはどう考えても、法治国家として健全な状態とは言えません。

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今回発行された、プレスノート2009年2号および4号は、上記の「明文なき規制状態」、「明文のない規制の方が例外が認められない状態」を是正するとともに、これまで不明確であったダウンストリーム・インベストメント規制の内容を再定義するものです。

かなり解説が長くなってしまいましたが、なんとなくプレスノート2009年2号および4号の重要性をご理解いただけたでしょうか。

なお、プレスノート2009年2号および4号は、もう1つ重要な内容として、「実際にダウンストリーム・インベストメントが行われた場合のFDIの計算方法」を規定しています。
こちらもとても重要です。

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次回は、プレスノート2009年2号および4号により、ダウンストリーム・インベストメントはどのように定義されるに至ったかを解説したいと思います。

また、次々回以降は、実際にダウンストリーム・インベストメントが行われた場合のFDI比率の計算方法について解説していきたいと思います。

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プレスノート2009年4号

先日紹介したプレスノート2009年2号および3号に引き続き、2009年2月25日付で、インド政府商工省(MCI)の産業政策促進局(DIPP)産業支援事務課(SIA)から、プレスノート2009年4号が発行されました。

プレスノート2009年4号
http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn4_2009.pdf

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プレスノート2009年4号は、プレスノート2009年2号とともに、インドにおけるダウンストリーム・インベストメント規制の内容を変更、明確化するものであり、ダウンストリーム・インベストメント規制を理解する上で非常に重要なプレスノートです。

現在、インドのダウンストリーム・インベストメント規制について、改正前の状況から解説を進めているところですので、その中でプレスノート2009年2号および4号が一体どういう内容を規定したのかにつき、追って解説したいと思います。

なお、今回プレスノート2009年4号が発行されたことに伴い、解説のタイトルを、「プレスノート2009年2号とダウンストリーム・インベストメント規制」から、「プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制」に変更したいと思います(過去記事につき、タイトル変更反映済み)。

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全然話は変わりますが、今年3月中旬に、日本に一時帰国します。

いくつかセミナーも行う予定ですので、なんとかそのときまでに今回の改正内容の解説をまとめられたらと思っています。

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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制①

前回述べたとおり、プレスノート2009年2号は、外国直接投資(Foreing Direct Investment (FDI))における直接的投資(外国企業が直接インド企業の株式等を保有する場合)と間接的投資(外国企業がインド国内に法人を持ち、そのインド法人を通じて他のインド企業の株式等を保有する場合)における、FDI保有比率の計算方法について規定しています。

たとえば、日本企業Aがあるとして、Aが直接インド法人Zの株式を保有する場合、その保有持分がFDI保有持分としてカウントされることは異論はないでしょう。

では、日本企業Aがすでにインド国内に現地法人(あるいは合弁会社)Bを設立しており、そのBがZの株式を保有している場合、FDIはどのようにカウントされるのでしょうか?

そもそも、Aが直接Zの株式を保有するのではなく、現地法人Bを通じて保有することは、インド外国為替管理法上認められているのでしょうか?

後者の疑問への答えがイエスでなければ、そもそも前者の疑問は成立しないことになるため、今回は、まず後者の疑問について、従前の規制と今回のプレスノート2009年2号で変更された部分について、簡単に解説したいと思います。

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インド外国為替管理法上、日本企業などのインド非居住者が、インド国内の現地法人や合弁会社を通じて、さらに他のインド内国会社の株式等を取得する投資は、ダウンストリーム・インベストメント(downstream investment)と呼ばれています。
インド非居住者を上流として、そのインド現地法人(合弁会社)→他のインド内国会社と、投資が下流に流れていくイメージです。

さて、今回のプレスノート2009年2号が出る前は、まず、プレスノート1997年3号により、100%の「foreign owned holding company in India」によるダウンストリーム・インベストメントについては、必ずインド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が必要である旨が規定されていました(同プレスノート「11」参照)。
プレスノート1997年3号は、以下のDIPP/SIAのサイトから参照可能です。
http://eaindustry.nic.in/handbk/chap008.pdf

その後、プレスノート1997年3号に対する例外を定めるものとして、プレスノート1999年9号が発行されました(例外を定めたものである旨、プレスノート1999年9号の「2」に明記されています)。

プレスノート1999年9号は、プレスノート1997年3号の規定を、「ダウンストリーム・インベストメントの投資手続を単純化すべく、問題についての慎重な検討に基づき(On careful consideration of the matter and with a view to further simplifying the investment procedures for downstream investment)」、一定の例外を設けて、緩和したものです。

具体的には、プレスノート1999年9号の「1」に列挙された各要件をみたす場合には、「foreign owned Indian holding companies」に対して自動承認(automatic route)によるdownstream investmentを可能とする旨規定しています。

「1」には、aからhまでの8つの要件が列挙されており、これらをみたさない限り、自動承認によるダウンストリーム・インベストメントは認められないことから、単純に「一般に自動承認が認められる業種へのFDIであれば、自動承認によりダウンストリーム・インベストメントが認められる」というものではないことに注意が必要です。
なお、aからhまでの要件のうち、a~dやgについては、事実上あまり要件としての意味はありませんが(foreign owned Indian holding companyが、一般に自動承認によるFDIが認められる業種についてFDIを行う場合、これらの要件はほぼ自動的にみたされるため)、e、f、hあたりは、投資者が意識的にみたす必要があります。

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ちなみに、上記であえてforegin owned holding company in Indiaやforeign owned Indian holding companyを、プレスノートの原文ママで書いた理由は、プレスノート1997年3号中でもプレスノート1999年9号中でも、「foreign owned」および「holding company」が定義されていないためです。

これは結構深刻な問題で、何が「foreign owned」なのか、どのような会社が「holding company」なのかの定義がないため、ダウンストリーム・インベストメント規制全体の解釈があいまいになってしまっていました。

とりあえず、多数派の解釈としては、常識的な用語の用法に従い、
・「foreign owned」とは、「インド非居住者に議決権の過半数が保有されている」
・「holding company」とは、「株式保有を主な業務とし、かつ保有株式からの配当やキャピタルゲインを主な収入源とする会社」
を意味すると理解されていました。

したがって、プレスノート1997年3号およびプレスノート1999年9号によって規律されていたダウンストリーム・インベストメント規制とは、「インド非居住者に議決権の過半数が保有されている、株式保有を主な業務とし、かつ保有株式からの配当やキャピタルゲインを主な収入源とするインド内国会社による、他のインド内国会社の株式等を取得する投資行為」であると理解されていたといえます

さて、そうすると、foreign ownedであってもholding companyでない場合、言い換えれば、外国資本の事業会社(foreign owned operating company)である場合には、ダウンストリーム・インベストメント規制は適用されなかったのでしょうか。

たとえば、日本企業である自動車会社が、インドに現地法人を設立して工場の操業や自動車販売を行っている場合、このような現地法人は、株式保有を主な業務としているわけでも、主な収入源が配当やキャピタルゲインというわけでもありません。

このような現地法人については、ダウンストリーム・インベストメント規制は適用されず、プレスノート1999年9号の例外要件をみたさなくとも、自動承認によりダウンストリーム・インベストメントができたのでしょうか。

答えはノーです。

プレスノートに明示的な規定がないにもかかわらず、foreign owned operating companyには、事実上、foreign owned holding companyよりも厳しいダウンストリーム・インベストメント規制が課せられていました。

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少し長くなってしまったため、その理由と規制内容については、次回に解説することとします。

今回の解説の内容はかなりマニアックなので、読者置き去りでないか心配ですが、インドの外資規制を理解する上で、ダウンストリーム・インベストメント規制は避けて通れないため、もうしばらくお付き合いください。

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プレスノート2009年2号&3号

2009年2月13日付で、インド政府商工省(MCI)の産業政策促進局(DIPP)産業支援事務課(SIA)から、プレスノート2009年2号および3号が発行されています。

プレスノート2009年2号
http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn2_2009.pdf

プレスノート2009年3号
http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn3_2009.pdf

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2009年付のプレスノートとしては、上記のほか、2009年1月14日にプレスノート2009年1号が発行されています。
http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn1_2009.pdf

こちらは、「時事ニュースを扱う新聞紙および定期刊行誌の発行事業(publishing of Newspaper and periodicals dealing with news and current affairs)」について、「外国の新聞のファックス配信事業」に限り、従来の外資規制を緩和する内容ととなっています。

具体的には、従来のプレスノート(具体的には、プレスノート2008年7号)では、時事ニュースを扱う新聞紙および定期刊行誌の発行事業については、インド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認のもと、26%までしか外国直接投資(FDI)を行うことが認められない旨が規定されていましたが、プレスノート2009年1号では、「外国の新聞のファックス配信事業(publication of facsimile edition of foreign news paper)」に対するFDIについては、一定の条件に基づいて、FIPBの事前承認のもと100%までFDIが認められる旨が新たに規定されました。

なお、緩和されたのは、あくまで「外国の新聞をファックスで配信する事業」のみであり、それ以外の新聞、雑誌事業は緩和されていないことに注意が必要です。
プレスノート2009年1号では、「外国の雑誌をインド用に編集して出版する事業(publication of Indian edition of foreign magazines dealing with news and current affairs)」については、なお26%までのFDIしか認められない旨明記されています。

もっとも、現在の日系企業で、インド国内において新聞事業や雑誌事業を営んでいる会社は皆無に近いと思われることから、日系企業にとっては、プレスノート2009年1号の重要性はそれほど高くないと思われます。

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さて、本題に戻ります。

上記のとおり、プレスノート2009年1号が、日系企業にとってはそれほど重要な内容を含まないのに対し、今回発行されたプレスノート2009年2号および3号は、インドに投資する日系企業を含むすべての外国企業に大きなインパクトを与える内容となっています。

プレスノート2009年2号は、外国直接投資(FDI)における直接投資(外国企業が直接インド企業の株式等を保有する場合)と間接投資(外国企業がインド国内に法人を持ち、そのインド法人を通じて他のインド企業の株式等を保有する場合)における、FDI保有比率の計算方法について、新たに規定を設けるとともに、これまで不明確な部分があったところを明確にしています。

一方、プレスノート2009年3号は、FDI上限が定められている事業分野を営む会社の支配権をインド居住者からインド非居住者に移転する場合の規制について定めています。

これらは、いずれも、これからインドに投資をしようとする日系企業にとってきわめて重要な内容を含むため、次回以降、規制の背景とともに、今回のプレスノートの内容を解説していきたいと思います。

とりあえず、次回は、プレスノート2009年2号について、現行の規制(ダウンストリーム・インベストメント規制)を踏まえて解説する予定です。

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TATAのNano続報

TATA MotorsのNanoは、このブログでも割と関心を持って追いかけているものの1つで、これまでもいくつか記事を書いてきました。

これまで延期に延期を重ね、はたして本当に発売できるのか、実は発売するつもりがないんじゃないかなどと、色々な憶測を重ねてきたわけですが、最近こういう報道がありました。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090209-00000016-nna-int
【インド】タタ自「ナノ」、3月3日発売か テスト完了、秒読み段階に
(2月9日8時30分配信 NNA)

タタ・モーターズは超低価格小型車「ナノ」の販売を3月3日から開始するもようだ。政府関係者によると、この日はタタ・グループ創設者であるジャムセトジ・タタの誕生日に当たるという。同社は部品メーカーへの支払いが滞るほど財務が悪化しており、ナノへの期待はこれまでになく高まっているようだ。

6日付ビジネス・スタンダードによると、1台目の購入者が政治家、俳優、スポーツ選手など有名人になる可能性がある。

同社の関係者は「詳細は話せないが、テストは完了した。準備はすべて整っている」と明らかにした。燃費はガソリン1リットル当たり17~20キロメートルとしており、同関係者は「マルチ・スズキより優れたものになる」とした。

ナノの販売開始は、工場移転問題などで予定から大幅に遅れていた。同社はウッタラカンド州パントナガル工場で先月から標準モデルの走行試験を開始しており、現在は車道への投入が可能になっているという。

価格はエアコンを装備していない廉価グレードが10万ルピー。このほか12万4,000ルピーと13万4,000ルピーの上級グレードも用意するとみられている。

■支払い延滞報道を認める

同社は5日、部品メーカーなど取引先への支払いが滞っているとの報道を認めた。同社のラビ・カント社長によると、タタ・モーターズは特別委員会を設置し、取引先との間で生じた全ての問題を話し合っているという。6日付地元各紙が伝えた。

また、全体の75%に当たる過去9カ月分の請求については、銀行融資などで直ちに支払いを済ませる方針を示した。ただ、カント社長は、具体的な未払い金額については明言を避けたほか、残り25%分については支払いが遅れる可能性も示唆している。

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記事中では発売日が今年3月3日と報じられているわけですが、この手の発売日の予測はこれまで何度も報じられてきていますので、まあ話半分に聞いておいた方がいいでしょう。

それよりも、気になるのが、「同社は部品メーカーへの支払いが滞るほど財務が悪化しており」という報道内容。

自動車は、きわめて多数の部品から成り立っており、そのうち1つ欠けても製造ができない工業製品です。そのため、自動車メーカーは、部品の安定供給に大きな力を注ぎます。部品1つでも欠ければ自動車全体の製造ができず、それを販売して収入を得ることができなくなることから、当然といえば当然です。

さて、自動車メーカーは、部品を下請けの部品メーカーから調達するわけですが、この部品代金の支払いを行わないというのは、将来の部品の安定供給をきわめて危うくします。誰も代金を払ってくれないような会社とは取引したくありませんから、これも当然ですね。

しかも、TATA Motorsの不払いのケースは、「部品の質が基準をみたしていない」や「部品メーカーに対して持っている債権と相殺」など、一応の理由がある不払いではなく、単純に自身の財務状況の悪化によるものです。

自動車製造業における部品調達の重要性に鑑みれば、このように、自動車メーカーの一方的な都合で部品メーカーに支払いを行わないという状況は、通常、自動車メーカーにおける末期症状に近いです。

TATA Motorsは、市場環境の悪化を理由に、検討していた日本でのJDR(日本版預託証券)の上場を断念(無期限延期?)していますが、おそらく上場を断念したより本質的な理由は、部品メーカーへの支払いさえ滞ってしまうような財務状況の悪化にあるのでしょう。
東証も、さすがにいつ破綻するかわからないような会社を上場させるわけにはいかないでしょうから。

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TATAグループ本体による救済の可能性、TATA Motorsのインド独自ブランドとしての存在感、破綻させたときのインド経済に対するダメージなどを考慮すると、TATA Motorsが今後すぐに破綻する可能性は低い(最悪でも政府による救済が入る可能性が高い)と思いますが、それにしても、現状はかなり深刻です。

Nanoは世界的に話題になっていることは確かですので、TATA Motorは、起死回生の策として今後Nanoの発売を急ごうとするでしょう。
昨年の資源高も落ち着き、今ならNano単体でなんとか採算がとれるラインに持ってこれるかもしれません(個人的には、現在の販売価格を維持する限り、採算がとれる日が来るとは思えませんが…)。

その先に何が待っているかはわかりませんが、とりあえず、インドには製造物責任法(PL法)がないのは、Nanoには追い風でしょうね。
サイドミラーが1つしかない車なんて、日本では絶対売れないでしょうが。

とりあえず、TATA Motorsが無事にNanoを発売できるか、その後販売を継続できるか、そもそも会社は存続できるのかについて、今後も注視していきたいと思います。

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ちなみに、ベーシックモデルの価格10万ルピー(1 lakh rupee)は、現在の為替レートだと20万円を切ります。

この価格で自動車を販売できるというのは、心底すごいと思います。

販売が実現かつ継続できれば、の話ですが。

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リハビリ

実は、インド駐在を終えて以来、全くカレーを食べていません。

理由は、まあ平たく言えば一種のトラウマなんですが、カレーが食べられなくなった経緯は↓のような感じです。

インドでの駐在開始。本当に三食全てカレーであることに驚く。
(正確には、インドでは「カレー」という料理があるのではなく、スパイスを使った料理の総称をカレーと呼ぶので、三食全てカレーになるのはある意味当たり前です)
 ↓
1週間経過。朝昼晩カレーを食べ続け、いい加減飽きてくる。
 ↓
体調崩す。高熱と頭痛に悩まされているときに、カレーを食べるのは本当につらい
(嘘だと思ったらやってみてください)
 ↓
なんとか体調回復するも、相変わらずほぼ毎日カレーを2食以上食べる日々が続く。
 ↓
もともと辛いものがそれほど好きではないこともあり(いや、決して嫌いではないんですが、インドのカレーは限度が…)、だんだん嫌気がさしてくる。
 ↓
その後半年以上にわたって、ほぼ毎日カレーを一食以上食べる。
 ↓
ときどき激辛カレーにあたって悶絶
 ↓
やはり体調を崩しているときに、無理やりカレーを食べてリバース
 ↓
だんだん、マサラ味のものを胃が受け付けなくなってくる。空腹なのに、カレーを見ると食欲が失せるという状態に。
 ↓
それでも、特に昼はほかに食べるものがないので、無理やり食べる。
 ↓
とはいえ、いやいや食べているもんだから、あまり量を食べられず、体重激減
(ここは、自分的には良かった。結果オーライ
 ↓
そのうち、マサラを見るのが本気で嫌に。

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私は、もともとカレーは決して嫌いではありませんでした(というか、日本人でカレー嫌いな人は珍しいんじゃないでしょうか)。

だいたい、本気でカレーが嫌いだったらインド駐在の話なんて受けてません。

とはいえ、やはり連日カレーの日々は苦しく、インドを去る頃にはすっかりカレーヘイターになってしまっていました。

が、インド駐在を終えて8か月。
そろそろ、リハビリを始める時期ではないでしょうか。

もともと嫌いではなかった、いやむしろ好きとさえ言えたカレー

カレーに対する愛を取り戻す時期がやってきたのではないでしょうか。

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要は、来週カレーを食べに行ってきますってだけなんですが。

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