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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑥

前々回から半年もの時間が空き、その間に私自身のダウンストリーム・インベストメント規制の研究と分析が進んだことから、ある程度解説が進んだこの段階でもう1度、「ダウンストリーム・インベストメントとはどのような規制なのか?」という点を明確にしておきたいと思います。

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前々回前回と解説したとおり、プレスノート2009年4号は、ダウンストリーム・インベストメントを行う(あるいは行わない)インド内国会社が、
(i)純事業会社(only operating companies)
(ii)事業会社兼投資会社(operating-cum-investing companies)
(iii) 純投資会社(only investing companies)
(iv)非事業・非投資会社
のいずれに該当するかにより、異なる規制を定めています(4.1項)。

そして、それぞれの会社に対する規制は、

①インド非居住者からダウンストリーム・インベストメントを行う(あるいは行わない)インド内国会社に対する投資に対する規制

②当該インド内国会社がダウンストリーム・インベストメントにより他のインド内国会社(以下「再投資先会社」といいます)に対して行う投資に対する規制

の2つから成ります。

すなわち、プレスノート2009年4号が定める「ダウンストリーム・インベストメント規制」は、①その会社への外国投資に対する規制と、②その会社が行う他のインド内国会社への投資に対する規制の2つから成るということです。

以下、説明の便宜上、①の部分の規制を「上流投資規制」、②の部分の規制を「下流投資規制」と呼びます。

「ダウンストリーム・インベストメント規制」という言葉からは、同規制は一見②の下流投資規制のみを意味するようにも思われますが、実際には「ダウンストリーム・インベストメント規制」とは、②のみならず、①の上流投資規制をも含む概念であることに十分な注意が必要です。

つまり、インド外資規制において、「ダウンストリーム・インベストメント規制」という言葉を聞いた場合、文字通りのダウンストリーム・インベストメント部分だけでなく、その上流部分(=当該ダウンストリーム・インベストメントを行う会社に対する外国投資)への規制を含む概念であると理解する必要があります。

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以上の理解を前提に、上記4種類の会社に対するダウンストリーム・インベストメント規制をもう1度まとめます。

(i) 純事業会社の場合
「ダウンストリーム・インベストメント」という文言自体が、再投資先会社に対する投資を意味することから、純事業会社がダウンストリーム・インベストメントを行うことは、定義上ありえません純事業会社がダウンストリーム・インベストメントを行った場合、当該純事業会社はその瞬間に事業会社兼投資会社に該当してしまいます)。

したがって、プレスノート2009年4号上、純事業会社に対する下流投資規制は定められていません。

一方、純事業会社に対する上流投資規制は存在しえますが、その内容は通常の外国直接投資規制ということになります。

(ii)  事業会社兼投資会社
事業会社兼投資会社は、事業も投資も行うため、下流部分が存在します。

事業会社兼投資会社については、上流投資規制、下流投資規制の双方で、通常のFDI規制がかかります。

つまり、①「事業会社兼投資会社への外国投資」の部分で、当該会社が営んでいる事業等に応じてFDI規制がかかり、また②「事業会社兼投資会社が行う他のインド内国会社への投資」の部分で、同じく当該「他のインド内国会社」の事業等に応じて、FDI規制がかかるということです。

(iii) 純投資会社
純投資会社は、投資行為のみを行うため、当然下流部分が存在します。

純投資会社については、①上流投資規制として、「外国投資の額、範囲にかかわらず、インド政府(多くの場合は外国投資促進委員会(FIPB))の事前承認を得なければならない」との規制がかかり、また②下流投資規制として、FDI規制がかかります。

事業会社兼投資会社も、純投資会社も、「他のインド内国会社に対して投資を行う」という点では同じであることから、②の部分はまったく同じ規制となっています。

(iv) 非事業・非投資会社
非事業・非投資会社は、その定義上、事業も投資も行っていない会社であるため、純事業会社と同様、ダウンストリーム・インベストメントを行うことは、定義上ありえないはずです。

しかしながら、前回述べた理由から、非事業・非投資会社に対しては、上流、下流ともに純投資会社とほぼ同内容の規制が課せられています。

もっとも、非事業・非投資会社が、事業を開始したり、投資行為を行ったりしない限りは、下流の部分は生じえませんので、結局、非事業・非投資会社については、事業や投資を開始した場合に限って、下流投資規制としてFDI規制が課されることになります。
なお、上流投資規制は、事業や投資を開始する前でも適用されるため、非事業・非投資会社への外国投資は、常にFIPBの事前承認が必要です。

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次回は、ダウンストリーム・インベストメントを行う会社の義務(届出義務、法令順守義務等)について解説します。

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