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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑨

前回、外国投資比率の計算方法として、

外国投資(外国直接投資)=直接投資+間接投資

という公式がなりたつことを解説しました。

今回は、直接投資、間接投資それぞれの具体的な投資比率の計算方法についての解説です。
といっても、直接投資の計算方法はとても単純で、ややこしいのは間接投資だけです。

なお、今回列挙する項目番号は、全てプレスノート2009年2号の項目番号です。

1 直接投資

直接投資については、インド非居住者によるインド内国会社に対する直接の投資は全てそのまま外国投資として扱われます(5.1.1項)。
したがって、非居住者による投資分は全てそのまま外国投資の比率として計算されます。

これはものすごく単純な話で、要は、「インド非居住者が、インド国内の現地法人等を介さずに、直接投資を行った場合、その投資分は全てそのまま外国投資比率に参入される」というだけです。

たとえば、日本企業Aが、インド企業Zと、それぞれ出資比率を60%、40%として合弁会社Pを設立した場合、Pの外国投資比率は60%となります。

2 間接投資

こちらは少しややこしいので、先に用語を定義してしまいます。

まず、「外国資本の入ったインド内国会社が他のインド内国会社に対して投資を行うこと」を「再投資」と定義します。

次に、「再投資を行うインド内国会社(Investing Company)」を、「インド内国投資会社」と定義します。

さらに、「インド内国投資会社による再投資を受けるインド内国会社」を、「インド内国再投資先会社」と定義します。

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以上の定義を前提に、間接投資については、再投資を行うインド内国投資会社が、

(a) ①インド居住者によって所有かつ支配されている場合、または②インド居住者によって所有かつ支配されているインド内国会社によって所有かつ支配されている場合には、かかるインド内国投資会社が行うインド内国再投資先会社への再投資分は間接投資の計算には含まれません(5.2.1項)。
すなわち、①②の会社による再投資は、外国投資の比率計算においては一切カウントされません。

(b) 一方、この①②に該当しない場合、またはインド内国投資会社が非居住者によって所有もしくは支配されている場合には、インド内国投資会社によるインド内国再投資先会社に対する再投資は全て間接投資として扱われます(5.2.2項)。この場合、インド内国投資会社による再投資分は全て外国投資の比率として計算されます。

ただし、例外として、再投資がインド内国投資会社によって100%所有される子会社に対してなされる場合には、かかる再投資によるインド内国再投資先会社における外資比率は、インド内国投資会社に対する外資比率に限られます(5.2.2.1項)。すなわち、この場合、当該子会社における外国投資比率は、親会社であるインド内国投資会社の外国投資比率と同じとなります。

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一読しただけでは何のこっちゃわからん、という感じだと思いますので、詳細は次回に具体例を述べつつ解説したいと思います。

今回は、上記で下線を付した「所有」と「支配」の意味を解説して終わることにします。

所有」の有無の基準は、50%超の資本(equity interest)が所有されているか否かです 。すなわち、あるインド内国投資会社が、その資本の50%超をインド籍居住者に所有されている場合には、このインド内国投資会社はインド籍居住者に所有されていることになります。

たとえば、日本企業Aが、インド企業Z(インド居住者が100%出資で設立した会社)と、それぞれ出資比率を49%、51%として合弁会社Pを設立した場合、Pは「インド居住者によって所有かつ支配されているインド内国会社」であるZに過半数の資本を保有されている(=所有されている)ため、上記(a)のケースに該当することになります。

同じ例で、もし日本企業Aとインド企業Zの出資比率が、それぞれ51%、49%である場合、今度は逆にPはインド非居住者であるAに過半数の資本を保有されていることになるため、上記(b)のケースに該当することになります。

また、「支配」の有無の基準は、取締役の過半数を選任することができる力を有しているかか否かです。
この場合の「力」は、株主間契約に基づくものであっても、事実上の合意に基づくものであっても何でもよく、要は取締役の過半数を選任できる権限のことをいいます。

すなわち、インド内国投資会社は、インド籍居住者がその取締役の過半数を選任できる場合には、インド籍居住者に「支配」されていることになります。

また、インド籍居住者に所有および支配されているインド内国会社が他のインド内国投資会社の取締役の過半数を選任できる場合にも、インド内国投資会社はかかるインド内国会社に「支配」されていることになります。

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間接投資の外資比率の計算方法のコンセプトの概要は、

・日本企業Aが、インド企業Z(インド居住者が100%出資で設立した会社)と、合弁会社Pを設立したとする。

・Pは、インド会社法に従ってインド国内に設立された会社であるため、本来「インド居住者」として区分されるはずである。

・したがって、Pが他のインド内国会社に投資したとしても、それは「国内企業による国内投資」であって、外国投資という問題は生じないはずである。

・しかし、Pがもし日本企業Aに所有、支配される存在であれば、その投資はインド非居住者であるAの意向によるものであるため、その全額を外国投資として扱う。

・逆に、Pがもしインド企業Zに所有、支配される存在であれば、その投資はインド居住者であるZの意向によるものであるため、外国投資とは扱わない。

・上記の原則を前提に、例外として、Pが100%子会社を保有する場合、当該子会社の外国投資比率は、P自身の外国投資比率と同じものとして扱う。

というものです。

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次回、間接投資の外資比率の計算方法について、具体例を踏まえて詳細に解説します。

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