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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑦

ここ数回、ダウンストリーム・インベストメントの対象となる会社について、4つの類型(純事業会社、事業会社兼投資会社、純投資会社、非事業・非投資会社)に分け、それぞれの会社に課せられるダウンストリーム・インベストメント規制を解説してきました。

今回は、実際に、ある会社がダウンストリーム・インベストメントを行う場合に、当該会社に課せられる義務や手続要件を解説します。

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インド国内において、ある会社が、ダウンストリーム・インベストメントを行おうとする場合、当該投資の内容にかかわらず、いくつかの条件をみたす必要があります。

具体的には、プレスノート2009年4号は、6.0項において、事業会社兼投資会社、純投資会社、非事業・非投資会社がダウンストリーム・インベストメントを行う場合には、ダウンストリーム・インベストメントの内容にかかわらず、以下の条件を満たす必要があるとしています。
(ちなみに、6.0項が純事業会社を列挙していないのは、従前解説したとおり、「純事業会社」は、その定義上ダウンストリーム・インベストメントを行うことはありえない(行った瞬間に事業会社兼投資会社としてカテゴライズされてしまう)ためです)

1 産業支援局、産業政策促進局および外国投資促進委員会に対する通知
ダウンストリーム・インベストメントを行う会社は、産業支援局(Secretariat for Industrial Assistance)、産業政策促進局(Department of Industrial Policy & Promotion)および外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board)に対して、ダウンストリーム・インベストメントを行う旨、およびその内容について、30日以内に通知する必要があります。

2 取締役会決議
既存のインド内国会社に対し、ダウンストリーム・インベストメントを行う場合、当該インド内国会社において外国資本の導入につき取締役会の適式な決議を受けていること、および株主間契約の裏付けがあることが必要です。

3 関連ガイドラインの遵守
ダウンストリーム・インベストメントにあたっては、インド証券取引委員会(Securities and Exchange Board of India)、インド準備銀行(Reserve Bank of India)の株式の発行・譲渡価格評価に関するガイドラインを遵守していることが必要です。

この価格評価ガイドラインは、既存株式の取得と新株発行による取得の場合とで規定内容が異なり、また投資対象会社が上場会社化非上場会社であるかによっても異なります。

具体的には、ダウンストリーム・インベストメントにより株式を取得する際、

・既存株式の相対取引による取得の場合、取得する株式の価格が以下を下回る場合には、当該取引につきインド準備銀行(RBI)の事前承認が必要となります。
①上場株式の場合、譲渡日現在の市場価格
②非上場株式の場合、資本発行監査局(Controller of Capital Issues)が定めるガイドライン(インドの勅許会計士による価格査定を要求)に従って、勅許会計士が決定する株式の公正な評価額

・新株発行による取得の場合、発行価格が以下を下回る場合には、当該新株発行につきインド準備銀行の事前承認が必要となります。
①上場株式の場合、発行日から起算して
(i)過去6ヶ月の株価の終値の週毎の最高値および最安値の平均、または
(ii)過去2週間の株価の終値の週毎の最高値および最安値の平均
のいずれか高い価格
②非上場株式の場合、上記既存株式の譲渡の場合と同じく、勅許会計士が決定する評価額

4 資金調達の制限
ダウンストリーム・インベストメントを行う会社は、ダウンストリーム・インベストメントに必要な資金を海外から調達しなければならず、国内の市場から調達してはならないとされています。

この規定は、「外資系会社による投資は、外国資本で行われるべき」との考えに基づきます。
外資系会社が国内で借り入れを行い、他のインド内国会社に投資する場合、インド国に対して資本が流入しないことから、国全体としては資金が増えません。

あけっぴろげに言えば、「外国からインドに資金を流入させてほしいがために外資に対して門戸を開放しているのだから、最初の投資(=投資会社設立)だけでなく、その後の投資(=ダウンストリーム・インベストメント)についても、全部資金は外国から持ってきなさい」ということです。

このあたりは、プレスノート2009年2号、4号以前も同じような考え方をとっていましたので、インドの外資に対する基本方針といえるでしょう。

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次回は、これまでの解説をもとに、ダウンストリーム・インベストメントが行われた場合の具体的な外資比率の計算方法について解説します。

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