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2009年10月

プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑨

前回、外国投資比率の計算方法として、

外国投資(外国直接投資)=直接投資+間接投資

という公式がなりたつことを解説しました。

今回は、直接投資、間接投資それぞれの具体的な投資比率の計算方法についての解説です。
といっても、直接投資の計算方法はとても単純で、ややこしいのは間接投資だけです。

なお、今回列挙する項目番号は、全てプレスノート2009年2号の項目番号です。

1 直接投資

直接投資については、インド非居住者によるインド内国会社に対する直接の投資は全てそのまま外国投資として扱われます(5.1.1項)。
したがって、非居住者による投資分は全てそのまま外国投資の比率として計算されます。

これはものすごく単純な話で、要は、「インド非居住者が、インド国内の現地法人等を介さずに、直接投資を行った場合、その投資分は全てそのまま外国投資比率に参入される」というだけです。

たとえば、日本企業Aが、インド企業Zと、それぞれ出資比率を60%、40%として合弁会社Pを設立した場合、Pの外国投資比率は60%となります。

2 間接投資

こちらは少しややこしいので、先に用語を定義してしまいます。

まず、「外国資本の入ったインド内国会社が他のインド内国会社に対して投資を行うこと」を「再投資」と定義します。

次に、「再投資を行うインド内国会社(Investing Company)」を、「インド内国投資会社」と定義します。

さらに、「インド内国投資会社による再投資を受けるインド内国会社」を、「インド内国再投資先会社」と定義します。

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以上の定義を前提に、間接投資については、再投資を行うインド内国投資会社が、

(a) ①インド居住者によって所有かつ支配されている場合、または②インド居住者によって所有かつ支配されているインド内国会社によって所有かつ支配されている場合には、かかるインド内国投資会社が行うインド内国再投資先会社への再投資分は間接投資の計算には含まれません(5.2.1項)。
すなわち、①②の会社による再投資は、外国投資の比率計算においては一切カウントされません。

(b) 一方、この①②に該当しない場合、またはインド内国投資会社が非居住者によって所有もしくは支配されている場合には、インド内国投資会社によるインド内国再投資先会社に対する再投資は全て間接投資として扱われます(5.2.2項)。この場合、インド内国投資会社による再投資分は全て外国投資の比率として計算されます。

ただし、例外として、再投資がインド内国投資会社によって100%所有される子会社に対してなされる場合には、かかる再投資によるインド内国再投資先会社における外資比率は、インド内国投資会社に対する外資比率に限られます(5.2.2.1項)。すなわち、この場合、当該子会社における外国投資比率は、親会社であるインド内国投資会社の外国投資比率と同じとなります。

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一読しただけでは何のこっちゃわからん、という感じだと思いますので、詳細は次回に具体例を述べつつ解説したいと思います。

今回は、上記で下線を付した「所有」と「支配」の意味を解説して終わることにします。

所有」の有無の基準は、50%超の資本(equity interest)が所有されているか否かです 。すなわち、あるインド内国投資会社が、その資本の50%超をインド籍居住者に所有されている場合には、このインド内国投資会社はインド籍居住者に所有されていることになります。

たとえば、日本企業Aが、インド企業Z(インド居住者が100%出資で設立した会社)と、それぞれ出資比率を49%、51%として合弁会社Pを設立した場合、Pは「インド居住者によって所有かつ支配されているインド内国会社」であるZに過半数の資本を保有されている(=所有されている)ため、上記(a)のケースに該当することになります。

同じ例で、もし日本企業Aとインド企業Zの出資比率が、それぞれ51%、49%である場合、今度は逆にPはインド非居住者であるAに過半数の資本を保有されていることになるため、上記(b)のケースに該当することになります。

また、「支配」の有無の基準は、取締役の過半数を選任することができる力を有しているかか否かです。
この場合の「力」は、株主間契約に基づくものであっても、事実上の合意に基づくものであっても何でもよく、要は取締役の過半数を選任できる権限のことをいいます。

すなわち、インド内国投資会社は、インド籍居住者がその取締役の過半数を選任できる場合には、インド籍居住者に「支配」されていることになります。

また、インド籍居住者に所有および支配されているインド内国会社が他のインド内国投資会社の取締役の過半数を選任できる場合にも、インド内国投資会社はかかるインド内国会社に「支配」されていることになります。

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間接投資の外資比率の計算方法のコンセプトの概要は、

・日本企業Aが、インド企業Z(インド居住者が100%出資で設立した会社)と、合弁会社Pを設立したとする。

・Pは、インド会社法に従ってインド国内に設立された会社であるため、本来「インド居住者」として区分されるはずである。

・したがって、Pが他のインド内国会社に投資したとしても、それは「国内企業による国内投資」であって、外国投資という問題は生じないはずである。

・しかし、Pがもし日本企業Aに所有、支配される存在であれば、その投資はインド非居住者であるAの意向によるものであるため、その全額を外国投資として扱う。

・逆に、Pがもしインド企業Zに所有、支配される存在であれば、その投資はインド居住者であるZの意向によるものであるため、外国投資とは扱わない。

・上記の原則を前提に、例外として、Pが100%子会社を保有する場合、当該子会社の外国投資比率は、P自身の外国投資比率と同じものとして扱う。

というものです。

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次回、間接投資の外資比率の計算方法について、具体例を踏まえて詳細に解説します。

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10月30日

こちらの件、しばらくブログの更新を放置していたこともあり、サシ飲みを覚悟していたのですが、幸いにも複数の方からご連絡をいただき、どうにか「飲み会」っぽく開催することができそうです。

お店の予約の関係もあるため、明日10月28日の午後6時をもって、参加申し込みを締め切りたいと思います(なお、参加表明者の方への詳細告知は、締め切り後にメールで個別に行わせていただきます)。

参加をご希望される方で、ご連絡をいただいていない方がいらっしゃれば、こちらまでご一報ください。
途中参加、時間限定の参加も歓迎です。

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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑧

前回までは、ダウンストリーム・インベストメントの概念と、それを行う場合にどのような規制がかかるかについて解説してきました。

今回からは、実際に直接投資あるいは間接投資(=ダウンストリーム・インベストメントとほぼ同義)が行われた場合に、どのように外資比率を計算するかという点を、プレスノート2009年2号の内容に即して解説していきます。

プレスノートの参照はこちらから
http://siadipp.nic.in/policy/changes.htm

※ちなみに、プレスノートは、最近2009年6号と7号が発行されています。いずれも一般の日本企業にはあまり関係のない内容ですので、このブログでは解説しない予定です。

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日本企業その他の外国企業がインドに会社を設立するにあたり、その会社の外資比率はどのように計算するのでしょうか?

日本企業Aが、インド法人Bを設立し、全株式を出資して直接の親会社となった場合は、当然外資比率は100%となります。

「そんなの当然じゃないか。なんでそんなことを解説する必要があるの?」

上記のケースでは確かにそうでしょう。

では、日本企業が直接インド法人の親会社になるのではなく、既に自分の子会社であるインド法人を使って、他のインド法人の株を取得した場合(要するに、ダウンストリーム・インベストメントを行った場合)はどうでしょうか?

日本企業をA、既にある同日本企業のインド法人をB、Bが株式を取得した他のインド法人をCとして、Cの外資比率はどうやって計算するのでしょう

A(日本企業) → B(Aの現地法人等) → C(他のインド法人)

Bの外資比率は、Aの出資比率と同じとなると直感的にわかります。
では、BがCの株式をたとえば51%取得した場合、Cの外資比率はどう計算するのでしょう?
BがAの100%現地法人ではなく、Aの出資比率が49%だけの現地企業との合弁会社である場合、計算方法は変わってくるのでしょうか?

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この疑問に対する答えは、実は長らくはっきりとしませんでした

電気通信事業、放送事業など。一定の業種については、プレスノート2008年7号で計算方法が個別に規定されていたものの、外資比率の統一的な計算方法は規定されていなかったのです。
そのため、上記電気通信事業や放送事業等以外の業種については、特に間接投資の場合、どうやって外資比率を計算するのかはっきりしませんでした。

個別の業種ごとの外国直接投資(FDI)の上限は、プレスノート2008年7号その他のプレスノートで定められています。

しかし、外国直接投資の投資上限がわかっても、具体的な投資比率の計算方法がわからないのでは、結局どのような外国投資であれば受け入れられるのかが不明確となってしまいます。

そこで、この問題を解決すべく、インド政府は、2009年2月にプレスノート2009年2号を発行し、インド内国会社に対する外国資本の投資比率を計算する方法の明確化および統一化を図るため、計算方法に関する一定のルールを設けました。

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プレスノート2009年2号は、外国投資(プレスノート2008年7号にいう「外国直接投資」とほぼ同義)を、直接投資と間接投資とに分けて整理し、各々について計算方法を定めています。
そして、外国投資は直接投資と間接投資の合計として把握されます(5.3項)。

直接投資とは、インド非居住者(non-resident entity)からインド内国会社(Indian Company)に対する投資は直接的な外国投資をいいます。

(図) インド非居住者 → インド内国会社

間接投資とは、インド籍居住者(Resident Indian Citizen)またはインド内国会社による別のインド内国会社に対する投資であるが、当該インド籍居住者またはインド内国会社にインド非居住者が投資している場合の外国投資をいいます。

(図) インド非居住者 → インド籍居住者/インド内国会社 → インド内国会社

なお、「間接投資」と聞くと、「外国直接投資(FDI)」の概念には含まれないかのような印象を受けますが、「間接投資」は、あくまで「外国直接投資」の一形態であり、ただ投資の方法として間に外資と投資対象会社の間にインド籍居住者またはインド内国会社をはさむ形態をとるというだけですので、「外国投資(外国直接投資)=直接投資+間接投資」という図式が成立します。

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次回は、直接投資と間接投資の具体的な計算方法についての解説です。

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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑦

ここ数回、ダウンストリーム・インベストメントの対象となる会社について、4つの類型(純事業会社、事業会社兼投資会社、純投資会社、非事業・非投資会社)に分け、それぞれの会社に課せられるダウンストリーム・インベストメント規制を解説してきました。

今回は、実際に、ある会社がダウンストリーム・インベストメントを行う場合に、当該会社に課せられる義務や手続要件を解説します。

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インド国内において、ある会社が、ダウンストリーム・インベストメントを行おうとする場合、当該投資の内容にかかわらず、いくつかの条件をみたす必要があります。

具体的には、プレスノート2009年4号は、6.0項において、事業会社兼投資会社、純投資会社、非事業・非投資会社がダウンストリーム・インベストメントを行う場合には、ダウンストリーム・インベストメントの内容にかかわらず、以下の条件を満たす必要があるとしています。
(ちなみに、6.0項が純事業会社を列挙していないのは、従前解説したとおり、「純事業会社」は、その定義上ダウンストリーム・インベストメントを行うことはありえない(行った瞬間に事業会社兼投資会社としてカテゴライズされてしまう)ためです)

1 産業支援局、産業政策促進局および外国投資促進委員会に対する通知
ダウンストリーム・インベストメントを行う会社は、産業支援局(Secretariat for Industrial Assistance)、産業政策促進局(Department of Industrial Policy & Promotion)および外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board)に対して、ダウンストリーム・インベストメントを行う旨、およびその内容について、30日以内に通知する必要があります。

2 取締役会決議
既存のインド内国会社に対し、ダウンストリーム・インベストメントを行う場合、当該インド内国会社において外国資本の導入につき取締役会の適式な決議を受けていること、および株主間契約の裏付けがあることが必要です。

3 関連ガイドラインの遵守
ダウンストリーム・インベストメントにあたっては、インド証券取引委員会(Securities and Exchange Board of India)、インド準備銀行(Reserve Bank of India)の株式の発行・譲渡価格評価に関するガイドラインを遵守していることが必要です。

この価格評価ガイドラインは、既存株式の取得と新株発行による取得の場合とで規定内容が異なり、また投資対象会社が上場会社化非上場会社であるかによっても異なります。

具体的には、ダウンストリーム・インベストメントにより株式を取得する際、

・既存株式の相対取引による取得の場合、取得する株式の価格が以下を下回る場合には、当該取引につきインド準備銀行(RBI)の事前承認が必要となります。
①上場株式の場合、譲渡日現在の市場価格
②非上場株式の場合、資本発行監査局(Controller of Capital Issues)が定めるガイドライン(インドの勅許会計士による価格査定を要求)に従って、勅許会計士が決定する株式の公正な評価額

・新株発行による取得の場合、発行価格が以下を下回る場合には、当該新株発行につきインド準備銀行の事前承認が必要となります。
①上場株式の場合、発行日から起算して
(i)過去6ヶ月の株価の終値の週毎の最高値および最安値の平均、または
(ii)過去2週間の株価の終値の週毎の最高値および最安値の平均
のいずれか高い価格
②非上場株式の場合、上記既存株式の譲渡の場合と同じく、勅許会計士が決定する評価額

4 資金調達の制限
ダウンストリーム・インベストメントを行う会社は、ダウンストリーム・インベストメントに必要な資金を海外から調達しなければならず、国内の市場から調達してはならないとされています。

この規定は、「外資系会社による投資は、外国資本で行われるべき」との考えに基づきます。
外資系会社が国内で借り入れを行い、他のインド内国会社に投資する場合、インド国に対して資本が流入しないことから、国全体としては資金が増えません。

あけっぴろげに言えば、「外国からインドに資金を流入させてほしいがために外資に対して門戸を開放しているのだから、最初の投資(=投資会社設立)だけでなく、その後の投資(=ダウンストリーム・インベストメント)についても、全部資金は外国から持ってきなさい」ということです。

このあたりは、プレスノート2009年2号、4号以前も同じような考え方をとっていましたので、インドの外資に対する基本方針といえるでしょう。

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次回は、これまでの解説をもとに、ダウンストリーム・インベストメントが行われた場合の具体的な外資比率の計算方法について解説します。

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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑥

前々回から半年もの時間が空き、その間に私自身のダウンストリーム・インベストメント規制の研究と分析が進んだことから、ある程度解説が進んだこの段階でもう1度、「ダウンストリーム・インベストメントとはどのような規制なのか?」という点を明確にしておきたいと思います。

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前々回前回と解説したとおり、プレスノート2009年4号は、ダウンストリーム・インベストメントを行う(あるいは行わない)インド内国会社が、
(i)純事業会社(only operating companies)
(ii)事業会社兼投資会社(operating-cum-investing companies)
(iii) 純投資会社(only investing companies)
(iv)非事業・非投資会社
のいずれに該当するかにより、異なる規制を定めています(4.1項)。

そして、それぞれの会社に対する規制は、

①インド非居住者からダウンストリーム・インベストメントを行う(あるいは行わない)インド内国会社に対する投資に対する規制

②当該インド内国会社がダウンストリーム・インベストメントにより他のインド内国会社(以下「再投資先会社」といいます)に対して行う投資に対する規制

の2つから成ります。

すなわち、プレスノート2009年4号が定める「ダウンストリーム・インベストメント規制」は、①その会社への外国投資に対する規制と、②その会社が行う他のインド内国会社への投資に対する規制の2つから成るということです。

以下、説明の便宜上、①の部分の規制を「上流投資規制」、②の部分の規制を「下流投資規制」と呼びます。

「ダウンストリーム・インベストメント規制」という言葉からは、同規制は一見②の下流投資規制のみを意味するようにも思われますが、実際には「ダウンストリーム・インベストメント規制」とは、②のみならず、①の上流投資規制をも含む概念であることに十分な注意が必要です。

つまり、インド外資規制において、「ダウンストリーム・インベストメント規制」という言葉を聞いた場合、文字通りのダウンストリーム・インベストメント部分だけでなく、その上流部分(=当該ダウンストリーム・インベストメントを行う会社に対する外国投資)への規制を含む概念であると理解する必要があります。

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以上の理解を前提に、上記4種類の会社に対するダウンストリーム・インベストメント規制をもう1度まとめます。

(i) 純事業会社の場合
「ダウンストリーム・インベストメント」という文言自体が、再投資先会社に対する投資を意味することから、純事業会社がダウンストリーム・インベストメントを行うことは、定義上ありえません純事業会社がダウンストリーム・インベストメントを行った場合、当該純事業会社はその瞬間に事業会社兼投資会社に該当してしまいます)。

したがって、プレスノート2009年4号上、純事業会社に対する下流投資規制は定められていません。

一方、純事業会社に対する上流投資規制は存在しえますが、その内容は通常の外国直接投資規制ということになります。

(ii)  事業会社兼投資会社
事業会社兼投資会社は、事業も投資も行うため、下流部分が存在します。

事業会社兼投資会社については、上流投資規制、下流投資規制の双方で、通常のFDI規制がかかります。

つまり、①「事業会社兼投資会社への外国投資」の部分で、当該会社が営んでいる事業等に応じてFDI規制がかかり、また②「事業会社兼投資会社が行う他のインド内国会社への投資」の部分で、同じく当該「他のインド内国会社」の事業等に応じて、FDI規制がかかるということです。

(iii) 純投資会社
純投資会社は、投資行為のみを行うため、当然下流部分が存在します。

純投資会社については、①上流投資規制として、「外国投資の額、範囲にかかわらず、インド政府(多くの場合は外国投資促進委員会(FIPB))の事前承認を得なければならない」との規制がかかり、また②下流投資規制として、FDI規制がかかります。

事業会社兼投資会社も、純投資会社も、「他のインド内国会社に対して投資を行う」という点では同じであることから、②の部分はまったく同じ規制となっています。

(iv) 非事業・非投資会社
非事業・非投資会社は、その定義上、事業も投資も行っていない会社であるため、純事業会社と同様、ダウンストリーム・インベストメントを行うことは、定義上ありえないはずです。

しかしながら、前回述べた理由から、非事業・非投資会社に対しては、上流、下流ともに純投資会社とほぼ同内容の規制が課せられています。

もっとも、非事業・非投資会社が、事業を開始したり、投資行為を行ったりしない限りは、下流の部分は生じえませんので、結局、非事業・非投資会社については、事業や投資を開始した場合に限って、下流投資規制としてFDI規制が課されることになります。
なお、上流投資規制は、事業や投資を開始する前でも適用されるため、非事業・非投資会社への外国投資は、常にFIPBの事前承認が必要です。

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次回は、ダウンストリーム・インベストメントを行う会社の義務(届出義務、法令順守義務等)について解説します。

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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑤

前回から大分間が空いてしまいましたが、第5回の解説です。

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前回は、「『誰に対して投資するのか?』という点を基準として規制内容を定めるという、ダウンストリーム・インベストメントの基本概念を解説し、併せて、その「誰」が「純事業会社」である場合につい解説しました。

今回は、その「誰」が、他のタイプの会社である場合について解説していきます。

項目番号は、いずれもプレスノート2009年4号の項目番号です。

4.2.2 事業会社兼投資会社(Operating-cum-investing company)に投資する場合

(原文)
Operating-cum-investing companies: Foreign investment into such companies would have to comply with the relevant sectoral conditions on entry route, conditionalities and caps with regard to the sectors in which such companies are operating. Further, the subject Indian companies into which downstream investments are made by such companies would have to comply with the relevant sectoral conditions on entry route, conditionalities and caps in regard of the sector in which the subject Indian companies are operating.

上記規定上、事業会社兼投資会社に対する外国投資は、関連する業種または事業分野における投資条件や投資上限規制を遵守する必要があり、かつ当該事業会社兼投資会社が行うインド内国会社への投資も関連する業種または事業分野における投資条件や投資上限規制を遵守しなければならないとされています。

すなわち、事業会社兼投資会社については、まず①外資から当該事業会社兼投資会社に対する投資の段階で、通常の外国直接投資(FDI)規制と同じ規制が課せられます。
さらに、②当該事業会社兼投資会社が、他のインド内国会社に投資する段階でも、FDI規制が課せられます。

ここで重要なのは②の方です。

上記事業会社兼投資会社は、インド法に基づいてインド国内に設立された会社であるため、形式的にはインド居住者に該当します

したがって、当該事業会社兼投資会社をインド居住者として扱い、外資規制を一切及ぼさないという規制のあり方も、理屈上は可能なはずです。

しかし、いくら形式的にはインド居住者であるとはいえ、その会社が外国資本により所有またはコントロールされている場合、実質的にはその会社は外国資本と同じです。

そこで、「形式的にはインド法人であり、インド居住者である事業会社兼投資会社であっても、当該会社が外国資本により所有またはコントロールされている場合、その会社による他のインド内国会社への投資は、外国直接投資(FDI)として扱うよ」というのが、②で言っていることです。

まあ、このあたりは、日本でも対内直投の届出のときに、日銀が同じような扱いをしていますし、理屈上も納得しやすいところです。

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4.2.2 純投資会社(Investing company)に投資する場合

(原文)
Investing companies: Foreign Investment in Investing Companies will require the prior Government/FIPB approval, regardless of the amount or extent of foreign investment. The Indian companies into which downstream investments are made by such investing companies would have to comply with the relevant sectoral conditions on entry route, conditionalities and caps in regard of the sector in which the subject Indian companies are operating.

上記規定上、投資のみを行う投資会社に対する外国投資は、外国投資の額、範囲にかかわらず、インド政府(多くの場合は外国投資促進委員会(FIPB))の事前の承認を得なければならず、かつ当該投資会社が行うインド内国会社への投資も、関連する業種または事業分野における投資条件や投資上限規制を遵守しなければならないとされています。

すなわち、純投資会社については、まず①外資から当該純投資会社に対する投資の段階で、投資の額や範囲にかかわらずインド政府(FIPB)による事前承認を得なければならないとの規制が課せられます。
さらに、②当該純兼投資会社が、他のインド内国会社に投資する段階で、FDI規制が課せられます。

②については、事業会社兼投資会社の場合と同じ扱いですので、説明は繰り返しません。

純投資会社については、むしろ①が特色で、外資がインド国内に投資会社を設立して(あるいはもともとあるインド国内の投資会社に出資して)、インド内国会社に投資を行おうとする場合、出資額がいくらであろうが、常にFIPBの事前承認が必要となることになります。

これは、「外資がインド国内の投資会社を通じて他のインド内国会社に投資することを全面的に把握する」というFIPBの姿勢を明確に示す規制であるといえます。

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5.0 非事業・非投資会社に投資する場合

(原文)
For companies which do not have any operations and also do not have any
downstream investments, for infusion of foreign investment into such companies,
Government/FIPB approval would be required, regardless of the amount or extent
of foreign investment. Further, as and when such company commences business(s)
or makes downstream investment it will have to comply with the relevant sectoral
conditions on entry route, conditionalities and caps.

非事業・非投資会社って何? というのが、最初の疑問ではないかと思われます。
平たく言えば、事業も投資も行っていない会社です(実際にそのように定義されています)。

定義上、事業も投資も行っていないわけですから、非事業・非投資会社がダウンストリーム・インベストメントを行うことはありえません
これは、「純事業会社」が、その定義上、ダウンストリーム・インベストメントを行うことはありえないのと同様です。

もっとも、ある時点では、非事業・非投資会社であったとしても、後に事業を開始したり、投資を行ったりする可能性はありえます

その点を考慮し、非事業・非投資会社に対しては、上記プレスノート2009年の項目5.0により、以下のような規制が定められています。

すなわち、①非事業・非投資会社に対して外国投資を行う場合には、純投資会社に対する場合と同様、外国投資の額、範囲にかかわらず、インド政府(FIPB)の承認が必要となります 。
また、②非事業・非投資会社が事業を開始する場合またはダウンストリーム・インベストメントを行う場合には、通常のFDI規制と同様の規制が課せられます。

この内容から、基本的には非事業・非投資会社には、純投資会社と同様の規制が定められているといえます

「なぜ事業も投資も行っていない会社なのに、純投資会社と同じ厳格な規制(①の段階で常にFIPBの事前承認が必要となるため)が課されるの?」

ごもっともな疑問です。

純投資会社に対するダウンストリーム・インベストメント規制は、会社の種類ごとの4つの類型の中でももっとも厳格な規制です。
なぜ事業も投資も行っていない会社に対して、純事業会社や事業会社兼投資会社よりも厳格な規制が課せられているのか?

おそらく、FIPBは、上記で述べた、「事後的に事業を開始したり、投資を行ったりする可能性」を重視しているのだと思います。

もし、非事業・非投資会社に対して、純事業会社と同程度のゆるい規制のみを課すとしたら、「外資がまず適当な休眠会社を設立し、ある程度時間がたってから、投資会社に転向する」といった形で規制の潜脱ができることになってしまいます。

上でも述べましたが、純投資会社に対するダウンストリーム・インベストメント規制は、①の段階で常にFIPBの事前承認が必要となるという厳格な規制です。

もし、非事業・非投資会社なら、この規制が適用されないのであれば、ちょっと頭のいい外資系投資会社なら、まずは事業も投資も行わない会社を設立して(仮定上、設立段階ではFIPBの事前承認は不要ということになります)、しばらくの期間休眠させ、ある程度ほとぼりが冷めたところで、その会社を使って投資活動を始めれば、①の規制をスルーできてしまうことになります。

これを防ぐため、非事業・非投資会社について、純投資会社と同じ厳格な規制を課していると考えられます。

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前回からの半年程度の期間が空いているため、次回はこれまでの解説をまとめつつ、「ダウンストリーム・インベストメント規制とはいったい何なのか」という点をもう一度明確にしたいと思います。

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飲み会詳細告知

業務復帰後最初の更新がそれかい、という感じですが、飲み会の詳細を告知します。

日程: 10月30日(金) 午後7時半から
場所: 東京都内(港区近辺を予定)
お店: メールにて参加表明をいただいた方のみにお知らせします
費用: 1人5000円~10000円(参加者が学生の場合など、参加者のステータスに応じて多少傾斜配分する予定です)

インド法に興味のある方、仕事で突然インド法を扱うことになり苦しんでいる方、インド法についての疑問点を気軽に聞きたい方(私が答えられる内容であれば即答します)、インドビジネスに興味のある方、その他単純にインドに興味のある方、千客万来です。

インド法関連の実務に携わっている方がどういう点を疑問に思っているかは、私自身にとっても非常に勉強になるため、当日ご参加いただいた方は、是非ざっくばらんに色々ご質問いただければと思います。
もちろん、勉強会ではなく飲み会ですので、固い話だけではなく、楽しい話もたくさんできればなあと思っています。

参加を希望される方は、こちらまでご一報ください。
途中参加、時間限定の参加も歓迎します。

既に参加をご表明いただいた方を含め、10月27日までには参加希望者全員にメールにて詳細を告知させていただきます。

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インド法本の執筆は、なんとか6割方終わりました。
これまでは既存の論文の手直し作業が中心であり、ここからが険しい道のりですが、なんとか今年中には脱稿するよう頑張りたいと思います。

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日本帰国&業務復帰

ご報告が遅れましたが、無事アメリカ横断の旅も終え、日本に帰国しました。

この3連休明けから事務所での業務に復帰します。

留学とインド勤務で学んだことを生かし、M&A、コーポレート関係の仕事を中心に、インド業務についても積極的にかかわっていければなあと思っています。

ちょっと最近ばたばたしていて、予定通りブログが更新できていませんが、業務再開後はインド法情報の発信を中心に、コンスタントに更新できればと思っています。
アメリカ横断記についても、おいおいアップできればと。

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日本に帰国したのを機に、またインド法に興味ある人たちで親睦を深める機会を持てればなあと思っています。
10月末から11月はじめくらいに、簡単な飲み会を開催しようかと。
正式な告知は、追ってしようと思いますが、ご興味ある方はこちらまでご一報ください。

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