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プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制⑩

前回、外国投資における外資比率の計算方法について解説しましたが、特に間接投資の場合についてはややこしく、なかなかわかりづらい面もあるため、今回は具体例を中心に解説したいと思います。
(用語の定義については、前回の解説参照)

なお、直接投資については、その計算方法がきわめて単純(=インド非居住者が、インド国内の現地法人等を介さずに、直接投資を行った場合、その投資分は全てそのまま外国投資比率に参入される)なので、今回は解説を繰り返しません。

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1. 再投資を行うインド内国投資会社が、①インド居住者によって所有かつ支配されている場合、または②インド居住者によって所有かつ支配されているインド内国会社によって所有かつ支配されている場合

この場合、当該インド内国投資会社が行うインド内国再投資先会社への再投資分は間接投資の計算には含まれません。
平たく言えば、この場合、外国投資比率はゼロとして扱われます

たとえば、日本企業Aが、インド企業B(インド居住者が保有するインド内国会社)、と出資比率を、それぞれ26%、74%とする合弁会社Cを設立したとします。
このとき、AとBとの間に、Cの取締役の選任に関する株主間契約等による合意はなく、通常の株式保有割合にしたがって、BはCの過半数の取締役の選任権を有するとします。

このCが、他のインド企業Zの株式を80%取得したとします。
この場合のZの外国投資比率は、どうなるでしょうか。

答えはゼロです。
Cはインド企業Bにより所有かつ支配されているため、Zには外国投資はなされていないという扱いになります。

つまり、「もともとCには26%の外資が入っているから、80%×26%で…」といった計算はしないということです。

したがって、Cによる投資は、外資規制(インド外国為替管理法に基づく外国直接投資規制)を受けません。

なお、もしAとBとの間に、Cの取締役の選任に関する合意があり、Aが保有割合は26%であるにもかかわらず、株主間契約により、Cの過半数の取締役の選任権を有する場合、Cは日本企業Aに「支配」されているため、下記2が適用されます。

2. 再投資を行うインド内国投資会社が、上記①②に該当しない場合、またはインド内国投資会社が非居住者によって所有もしくは支配されている場合

この場合、インド内国投資会社によるインド内国再投資先会社に対する再投資は全て間接投資として扱われます。
つまり、インド内国投資会社による再投資分は全て外国投資の比率として計算されます

上記同じ例で、合弁会社Cに対する出資比率が、日本企業Aが74%、インド企業Bが26%であるケースを想定して下さい。

この場合、Cが他のインド企業Zの株式を60%取得すると、その全部が外国投資比率に参入されます
1の場合と同じく、「もともとCには74%の外資が入っているから、60%×74%で…」といった計算はしません。

あくまで、60%全部が外国投資比率として計算されます。

Cによる投資は、外資規制を受けます。
したがって、Cが、たとえば保険事業など、26%が外国投資の上限とされている事業分野を営む会社であった場合、このような60%の取得は認められないということになります。

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この2の場合の外国投資比率の計算方法については、例外があります。

すなわち、再投資がインド内国投資会社によって100%所有される子会社に対してなされる場合には、かかる再投資によるインド内国再投資先会社における外資比率は、インド内国投資会社に対する外資比率に限られます

つまり、当該子会社における外国投資比率は、親会社であるインド内国投資会社の外国投資比率と同じとなります

同じく、合弁会社Cに対する出資比率が、日本企業Aが60%、インド企業Bが40%であるケースを想定して下さい。

この場合、もしCが、Zの株式を100%所有し、完全子会社にした場合、Zの外国投資比率はCと同じ60%になります。

2の計算方法(原則)に従えば、「Cはインド非居住者であるAによって所有されているのであるから、その投資分は全て外国投資となり、したがって、Zへの外国投資比率は100%」となるはずです。

しかし、上記例外があるため、Zへの外国投資比率は、Cと同じ60%となるのです。

この例外により、取得しようとする会社が外資規制上投資上限のある事業分野を営む場合であっても、100%子会社とすることで、外資規制による投資上限を超えることができるようになります

たとえば、同じく、合弁会社Cに対する出資比率が、日本企業Aが60%、インド企業Bが40%であるケースで、Cが電気通信事業(外資規制上の投資上限は74%)を営むインド企業Zの株式を取得しようとしたとします。

ここで、2の原則がそのまま適用されてしまうと、CはZの株式を74%までしか取得できないはずです。
しかし、この例外が適用されることにより、CはZの株式を100%取得できるのです(100%取得した場合のZの外資比率は60%となります)。

すなわち、Cが外資規制上投資上限のある事業分野を営む会社を取得しようとする場合、100%取得したほうがかえって投資上限規制を免れることができることもありうるということです。

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以上のルールをもとに、次回は、「外資規制上投資上限のある事業分野を営む会社」を日本企業が可能な限り実質的に支配する方法について、応用を考えてみたいと思います。

次回で、このプレスノート2009年2号および4号の解説シリーズを最終回としたいと思います。

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