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プレスノート2009年3号の解説(前編)

前回までの解説は、「プレスノート2009年2号および4号とダウンストリーム・インベストメント規制」でしたが、3号はどうしたの、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

ということで、今回から前後編に分けて、プレスノート2009年3号の解説をします。

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プレスノート2009年3号は、2号、4号の内容とは基本的に関係ありません。
もちろん、外資規制にかかる内容ではあるのですが、2号、4号とは全く異なることを定めているのが3号です。

順番的には、2、3、4号の順番で発行されており、かつ2号と3号が異なる内容を定めているにもかかわらず、その次に出た4号が2号を補足する内容であったことについて、「『2号の内容、意味不明』っていうクレームが多すぎる。しょうがない、4号を補足で出すか」とか考えているインド政府商工省(MCI)の職員が目に浮かんだのは、筆者の妄想です、ええ。

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さて、プレスノート2009年3号は、外国直接投資(FDI)規制において、投資上限が定められている事業分野において、インド居住者から非居住者へのインド内国会社の所有または支配が発生または移転する場合の事前承認の要否についてのガイドラインを定めています。

ここで、ポイントとなるのは、「所有または支配の発生または移転」という部分です。
(「支配」および「所有」の定義については、こちらをご参照ください)

従来(すなわちプレスノート2009年3号発行以前)は、インド居住者からインド非居住者への株式の発行または移転は、事業分野別の取得条件および取得上限規制に従う限り、事前の政府承認なくして実行が可能とされていました(いわゆる自動承認ルート)。

たとえば、投資上限が51%(51%まで自動承認)の事業分野について、日本企業が上限一杯投資して、51%を保有する形で合弁会社を設立する場合について、投資自体は上限の範囲で行われていることから、事前の政府承認は不要であったわけです。

しかしながら、プレスノート2009年3号は、投資上限がある事業分野について、「所有または支配の発生または移転」がある場合には、たとえそれが投資上限の範囲で行われている場合であっても、事前の政府承認(FIPBの承認)が必要である旨定めています。

上記の例において、日本企業は51%を取得することから、日本企業において合弁会社の所有が発生することになります。

したがって、プレスノート2009年3号によれば、上記の例の場合、日本企業は自動承認による投資上限である51%の範囲内で投資しているにもかかわらず、その投資についてFIPBの事前承認が必要ということになります

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なんだ?これって外資規制の強化じゃないか?

と思われた方。

そのとおりです。

少なくとも、プレスノート2009年3号の文言からは、外資に対する投資上限のある事業分野においてインド非居住者がインド内国会社を所有したり支配したりする場合については、従来よりも規制が強化されていると言わざるをえません。
(なお、後編にて詳細を解説しますが、さすがに100%自動承認の事業分野については、インド非居住者がインド内国会社を所有、支配することになる場合であっても、FIPBの事前承認は不要とされています)

ただし、当局がこのような外資規制の強化を本当に意図しているのかどうかについては、よくわかりません。

インドの専門家たちも、このプレスノートを見たときには、さすがになんじゃこれは、と思ったらしく、このプレスノートが外資規制の強化を意図するものであるかどうかについて、専門家の間でも盛んに議論がなされています。

ただ、プレスノート2009年3号の文言を見る限り、規制は強化されているといわざるをえませんので、投資上限のある事業分野に投資を行おうとしている日本企業は、十分に留意する必要があります。

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後編では、プレスノート2009年3号の規定内容の詳細を解説します。

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コメント

KottyのRBIについての妄想は、妄想じゃないと思います。

投稿: Manual | 2009年12月 7日 (月) 18時03分

>Manual 様
すみません、コメントをいただいて気がついたのですが、プレスノートを出しているのはRBIじゃなくて、インド政府商工省(MCI)のDIPPのSIAでした…
ということで、こっそり本文も修正しておきました。

ちなみに、RBIはプレスノート2009年2~4号については批判的であり、「なんでMCIはこんな変なのを出したんだ」と言っているそうです。

MCI(DIPP)とRBIはあんまり仲良くなさそうな感じなので、このあたりも色々と想像できて面白いかもです。

投稿: kotty | 2009年12月 8日 (火) 01時36分

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