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大規模な株式取得に対するCabinet Committee on Economic Affairsの承認

巷に出回っている日本語のインド法解説書には、あまり書かれていないのですが、インド非居住者によるインド内国会社の株式取得額が一定額を超える場合(=大規模な外国投資の場合)、当該投資に対してインド政府の事前承認が必要となります。

具体的には、60億ルピー(約120億円)を超えるインド非居住者によるインド内国会社の株式取得は、インド外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board (FIPB))の事前承認に加え、内閣経済問題委員会(Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA))の事前承認を得る必要があります。

根拠は、プレスノート1999年7号です。
なお、同プレスノートは、インド政府産業省(Ministry of Industry)(当時の名称。後にインド政府商工省(Ministry of Commerce and Industry(MCI))に改名)の産業政策促進局(Department of Industrial Policy & Promotion (DIPP))により、それぞれ1999年5月31日、2000年7月27日に発行されたプレスリリースにより、一部変更されています。
(以下、これらの変更部分を含め、総称として「プレスノート1999年7号」と呼びます)

上記各プレスリリースについては、こちらを参照↓

1999年5月31日プレスリリース
「05311999.doc」をダウンロード

2000年7月27日プレスリリース
「07272000.doc」をダウンロード

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プレスノート1999年7号には、「インド非居住者によるインド内国会社の株式取得額が600croreルピーを超える場合、事前の政府承認(prior approval of the Government)が必要」である旨が規定されています。

「crore」というのは、インド独自の単位で1000万を意味するため、「600crore」は、「60億」を意味します。

外国投資を規制する法令やプレスノートにおいて、「政府の承認(approval of the Government)」という規定がある場合、たいていはインド外国投資促進委員会(FIPB)の承認のことをさすのですが、このプレスノート1999年7号に限っては、「政府の承認」は、FIPBの承認とともに内閣経済問題委員会(Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA))の承認を意味します

60億ルピーを超えるような株式取得は、大規模な外国投資であることからインド国内に与える影響も大きく、そのため内閣レベルで投資をコントロールしようという趣旨であると思われます。

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プレスノート1999年7号の規制は、投資金額(=株式取得額)の大きさに対して課せられる規制であるためたとえ外国投資の対象事業が本来なら100%自動承認で行うことができる業種であったとしても、投資金額が60億ルピーを超える場合、FIPBとCCEAの事前承認が必要となります。

また、たとえば自動承認による外国投資上限が49%の場合に30%だけ株式を取得するような場合であっても、その30%分の投資額が60億ルピーを超える場合、同様にFIPBとCCEAの事前承認が必要となります

申請から承認までの期間は、案件の内容によりさまざまですが、一般には3~4ヶ月程度程度かかることが多いようです。案件によっては承認取得に時間がかかることもあるため(半年~1年程度かかることもあるようです)、CCEAの事前承認を必要とする規模の株式取得を行う場合、買収、出資スケジュールは十分な余裕をみておく必要があります。

ちなみに、最近の日本企業による著名なインド企業の買収、出資案件では、2008年10月に第一三共株式会社がRanbaxy Laboratories Limitedを約2500億ルピー(約5000億円)で買収する際に、また2009年2月に株式会社NTTドコモがTATA Teleservicesに対して約1300億ルピー(約2600億円)の出資を行う際に、それぞれCCEAの事前承認を取得しています。

なお、インド国内の報道によれば、第一三共株式会社は、インドでの公開買付けに際し、公開買付公告において、CCEAの事前承認を公開買付けの成立条件として明示していなかったことから、CCEAの承認が予定よりも遅れて公開買付けの実施が遅れたことに伴い、年率10%の利息を公開買付けに応募した株主に支払っているようです。

このような例からも、上場企業を買収、出資する場合など、インド内国会社の株式を大規模に取得する場合、プレスノート1999年7号の規制についても十分な注意が必要であると言えるでしょう。

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