« 2009年11月 | トップページ | 2010年1月 »

2009年12月

年末のご挨拶

今年も早12月末。
事務所も、明日から年末年始のお休みに入ります。

今年は留学、NYBar受験、帰国、職場復帰と、なかなか忙しい年でしたが、その分得るものも多かったように思います。

このブログについて言えば、特にNYBar受験中は、ほとんど更新ができず、その後もなかなか更新の時間がとれなかったため、更新が少なくなってしまったことが残念です。
実は、一時期ブログを閉じることを真剣に考えていたのですが、アクセス履歴を見ると割と読んでくださっている方も多いようなので、なんとなく続けることにしました。

インドを離れて以来、日常の面白い(というか、信じられない)出来事が書けなくなったので、更新のモチベーションはかなり落ちていますが、自分自身の勉強のためにも、やれるところまで頑張って続けていけたらなあと思っています。

本年も本ブログを訪れてくださり、ありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

インド労働法解説その5 -店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)の内容-

インド労働法解説の続きです。

前回、(工場以外の)オフィス等の施設の勤務条件については、その地域の、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」が、労働時間、賃金支払、超過勤務、休暇、休日その他の雇用条件について規制していることを解説しました。

今回は、その「店舗および施設法」の内容の解説です。

といっても、全ての地域の「店舗および施設法」を解説することは難しい(というか、できない)ので、代表例として、デリー連邦直轄領における「店舗および施設法」である「1954年デリー店舗および施設法 (Delhi Shops and Establishments Act, 1954)」のうち、重要な内容に絞って解説したいと思います。

--

1.登録義務
法令上は、雇用者は、施設が作業を開始した日から90日以内に、所定の様式、手数料とともに施設の登録の申請を行う必要があるとされています。
登録先は、デリーのLabour Commissionerのオフィスの、Chief Inspectorと呼ばれる係官です。

ただし、1989年11月23日以降、この登録義務は停止されています。
理由はよくわかりませんが、おそらく係官の手が回らないからではないでしょうか。

ということで、現在のところ、デリーでは、オフィスその他の施設の登録は不要です。
(なお、他の地域で同様にこの登録義務が停止されているかは不明です)

2.勤務時間
被雇用者を働かせて良いのは、通常、1日9時間および1週間48時間までです。
被雇用者が1日に9時間または1週間に48時間を超えて勤務した場合には、その超過分の勤務は超過勤務とみなされ、1時間につき、当該被雇用者の通常の1時間あたりの給与の2倍の超過勤務手当てを支払う必要があります。

ただし、原則として、超過勤務を加えても、1週間に54時間を超えて勤務させることはできません。地域によっては、特例としてこの上限が免除されている場合もありますが、その場合でも超過勤務に対する賃金の支払義務は免除されません。

また、被雇用者を連続して働かせて良いのは5時間までで、最低でも5時間おきに30分以上の休憩を挟む必要があります。

3.休暇
雇用者は、最低でも1週間に1日、休みを設ける必要があります(通常は日曜日)。
また、祝日として、独立記念日(8月15日)、共和国記念日(1月26日)、マハトマ・ガンディー誕生日(10月2日)についても休む必要があります。

被雇用者を休日(下記に述べる有給休暇も含む)に勤務させる場合、1時間につき、当該被雇用者の通常の1時間あたりの給与の2倍の超過勤務手当てを支払う必要があります。

被雇用者は、雇用中、1年が経過するごとに、15日以上の特別休暇、および毎年12日以上の有給の臨時休暇または病気休暇を取得することができます。
これらの休暇は、45日を上限として、次年度に繰り越すことができます。

4.女性、若年者の労働制限
13歳未満の子供を雇用することはできません。
また、13歳以上の若年者の場合、1日6時間を越えて働かせることはできず、また最低3時間半ごとに30分以上の休憩を挟む必要があります。

さらに、女性および若年者を、夏季は午後9時から午前7時まで、冬季は午後8時から午前8時まで、施設において勤務させることはできません。

※ …なんというか、若年者についてはともかく、女性については一種の女性差別のような気もしますが、まあそこはお国柄ということで。

5.解雇規制
3か月以上の継続的雇用にあった被雇用者の雇用を終了しようとする雇用者は、当該被雇用者に対し、少なくとも1か月前までの通知(または通知に代わる賃金の支払)を行わなければなりません。
この規定は強行規定であるため、たとえ契約で無通知での解除を規定していたとしても、無効となります。

ちなみに、懲戒解雇の場合、通知義務やそれに代わる賃金の支払い義務は不要です(もっとも、懲戒解雇は非常に面倒な手続を伴うため、実務上は行うことが難しいです)

6.その他の義務

・賃金の適時支払義務

・被雇用者の健康、安全およびその他の福利に関する措置の遵守義務

・記録の保存、休業日および労働時間を記した通知の掲示、被雇用者の名簿の保持、賃金簿の保持義務

・辞令(letter of appointment)の交付義務
辞令には、①雇用者の名前、②勤務させる施設の名前、③被雇用者の名前、父親の名前および年齢、④勤務時間、⑤辞令交付日を記載する必要があります。
※ ③の「父親の名前」あたりがお国柄ですね。

--

デリーにオフィスがある場合、被雇用者と雇用契約を締結する際には、上記規制に注意して契約内容を定める必要があります。

なお、「1954年デリー店舗および施設法 (Delhi Shops and Establishments Act, 1954)」の内容については、以下のデリーのLabour Commissionerのウェブサイトのページがとても参考になります。http://www.delhi.gov.in/wps/wcm/connect/doit_labour/Labour/Home/Shops+and+Establishments+Inspectorate/

次回からは、労働契約と就業規則(standing orders)について、もう少し解説していきます。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

インド労働法解説その4 -雇用条件規制-

インド労働法上は、特定のケースを除いて就業規則の制定の必要が無いこと、したがって個別契約でも対応することは可能であること(ただし、文書管理の手間等を考えると、服務規程を作成した方が効率的)について、前回解説しました。

今回は、実際に個別契約や服務規程を作成する上で、どのようなルールに従うべきかについて、解説していきます。
なお、特定のケースにおける就業規則(Standing Orders)の作成の際のルールについては、次々回に解説する予定です

--

さて、個別契約を締結する場合にせよ、服務規程を作成するにせよ、その内容は自由に定めてよいわけではありません。
たとえば、この人は優秀だからということで、「1日18時間、1週間で108時間働くこと」と日本の大手法律事務所のような無茶な条件を労働契約で定めたとしても、そのような契約は法律に違反し、無効です。

ここでいう「法律」というのは、第1回でリストアップした法律の1つである、

[州名または都市名] 店舗および施設法([  ] Shops and Establishments Act)

です。

この法律は、連邦法ではなく州法なのですが、どの州も同じ名称の法律を制定しているため、法律名の前の州名または都市名で、どの州法かを見分けることになります。

たとえば、デリー連邦直轄領では、「1954年デリー店舗および施設法 (Delhi Shops and Establishments Act, 1954)」が制定されています。
また、ムンバイのあるマハラシュトラ州では、「1948年ボンベイ店舗および施設法(Bombay Shops and Establishments Act, 1948)」が制定されています。

同じように、チェンナイやバンガロールなど、インドの主要都市および州において、都市や州の名称を冠する「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」が規定されています。

--

さて、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」は、店舗や施設(商業施設)における、全ての被雇用者(workmanであるか否かを問わない)の、労働時間、賃金支払、超過勤務、休暇、休日その他の雇用条件を規制しています。

ただし、同法は州法であるため、その規制はあくまでその州内に適用されるにとどまります。
言い換えれば、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」の内容は、各州によって異なるということです。

日本では労働基準法とその施行規則が、全国画一で、労働時間や賃金支払等の雇用条件を規制していますが、インドでは州ごとに雇用条件規制の内容が異なることに注意が必要です。

ちなみに、インドの労働関係の連邦法で、基本法となる法律は、1947年産業紛争法 (Industrial Disputes Act, 1947)ですが、同法は解雇や労使紛争などについては規定しているもののの、個別の労働条件規制は定めていません。
そのため、「労働条件をどのように定めるか」という観点からは、その州の「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」が最も重要な法律であると言えます。

--

重要な適用除外として、、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」は、「1948年工場法(Factories Act, 1948)」に基づく保護が適用される工場および工場附属施設の労働者(workman)には適用されません。

「1948年工場法(Factories Act, 1948)」に基づく保護が適用される工場とは、機械作業の場合10人以上、手作業の場合20人以上の労働者(workman)が雇用されている、または過去12か月のいずれかの日に雇用されていた工場をいいます。

このような工場のworkmanについては、連邦法である「1948年工場法(Factories Act, 1948)」(工場で働くworkmanの数が100人を超える場合、「1946年産業雇用(就業規則)法(Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)」)が適用され、同法により労働条件が規制されることから、重ねて「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」による労働条件規制を行う必要が無いためです。

ただし、「1948年工場法(Factories Act, 1948)」や「1946年産業雇用(就業規則)法(Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)」が適用されるのは、あくまでその工場で働いているworkmanに対してのみであり、non-workmanに対しては適用がありません。
そのため、上記各法律が適用される場合であっても、工場のnon-workman(工場長などの管理監督者)については、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」の適用がありうることに注意が必要です。

よって、インドに事業所やオフィスのみを置いている日本企業にとっては、その地域を管轄する「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」が、工場を保有している日本企業にとっては、「1948年工場法(Factories Act, 1948)」(あるいは「1946年産業雇用(就業規則)法(Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)」)ならびに「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」が、被雇用者の労働条件を定める上で、最も重要になるといえます。

--

さて、何度も述べているとおり、「店舗および施設法 (Shops and Establishments Act)」は州法であるため、その内容は各州、都市ごとに異なっており、全ての州について法令の内容を個別に解説することは困難です。

そこで、次回は、代表として、最も日本企業の進出が多い地域であろうデリー連邦直轄領の「1954年デリー店舗および施設法 (Delhi Shops and Establishments Act, 1954)」について、その概要を解説したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

インド労働法解説その3 -就業規則-

インド労働法解説を再開するにあたり、これまでの記事(といっても2回分しかありませんが…)を見直したところ、特に第2回について、いくつか間違いがありましたので、訂正しました。

訂正した記載は、以下のとおりです。

・「workman」は、労働法上の保護対象となるが、「non-workman」は保護対象にならないとの記載
→インド労働法の中には、確かに保護対象をworkmanのみとする規定も相当程度ありますが、他方で保護対象を被雇用者(employee)とする規定も少なからずあります。
よって、non-workmanについては、全く労働法の保護対象にならないかのような記載はミスリーディングですので、訂正しました。

・労働組合への加入資格
→「労働組合に加入できるのはworkmanのみである」と記載していましたが、実際には労働組合に加入できるのは被雇用者(employee)であり、non-workmanも加入可能です。
ここは明白な誤りですので、訂正しました。

上記訂正部分については、第2回の解説で下線を引いて訂正していますので、ご参照ください。

--

さて、本日は、上記のほか、第2回の解説でもう1つ下線を引いて訂正した、就業規則についての解説です。

まず、大前提として、インドでは、一定の要件をみたす場合を除き、原則として就業規則を策定する必要はありません。

日本では、10人以上を雇用する事業所は、就業規則を策定の上、当該事業所を管轄する労働基準監督署に届け出る必要がありますが、インドでは、そのような義務はありません。

そもそも、インドには、日本の労働基準監督署に相当する組織がありません。
後日解説するとおり、インドには地域ごとに労働コミッショナー(Labour Commissioner)とい呼ばれる担当官は存在しますが、これは主として労働組合を規律する担当官であり、日本の労働基準監督署のように、労使紛争を全般的に管轄するものではありません。
(ちなみに、デリーの労働コミッショナーのオフィスのウェブサイトはこちら↓)
http://www.delhi.gov.in/wps/wcm/connect/doit_labour/Labour/Home/Trade+Union/Trade+Union

--

上記で、「インドでは、一定の要件をみたす場合を除き、原則として就業規則を策定する必要はありません」と書きましたが、ここでいう「一定の要件」とは、1946年産業雇用(就業規則)法(Industrial Employment (Standing Orders) Act, 1946)により、雇用条件としての「就業規則(Standing Orders)」を定める義務が課される場合をいいます。

具体的には、100人以上の労働者が雇用されている、または100人以上の労働者が過去12か月のいずれかの日に雇用されていた産業施設(工場、鉱山、プランテーションなど)については、同法上、雇用条件としての「就業規則(Standing Orders)」を定める義務が課せられます。

逆に言えば、上記以外の場合については、就業規則の策定義務はありません。
よって、日本企業のインド現地拠点が通常の事業所、オフィスであれば、当該事業所について就業規則を定める必要は無く、被雇用者(employee)との間の契約は、全て個別契約で対応することも可能です

ただし、被雇用者との間の雇用条件等を、全て個別契約で管理する場合、文書管理が大変になります。
もし特定の労働者との間で紛争が生じた場合、いちいち個別契約を引っ張り出してこないといけませんし、辞めた労働者の契約も、後日の紛争可能性を考慮すると、一定期間は破棄しない方が無難なため、文書を保管しておく必要があります。

インドの労働契約は、最低でも10ページ以上、場合によっては20ページを超えることもあるため、個別にいちいち契約していたのでは、これらの文書管理が面倒でしかたありません。

そこで、実務上は、個別の労働契約に共通する内容(勤務時間、休み、経費精算、守秘義務など多数)を取り出し、服務規程(Employment Policy)として制定して、個別の労働契約については、「服務規程に従う」との文言を入れた上で、簡素化することが行われています。

注意すべきは、この「服務規程(Employment Policy)」と、上記で述べた「就業規則(Standing Orders)」とは、インド法上、法的な位置づけが全く異なるという点です

「就業規則(Standing Orders)」は、100人以上の労働者が雇用されている産業施設について、雇用条件として制定する義務が課せられているのに対し、「服務規程(Employment Policy)」は、制定するかどうかはあくまで会社の任意です。

服務規程(Employment Policy)は、「文書管理を簡素化、効率化する」という観点から、会社が任意に定めるものであるため、定めなくても全く問題ありません。
そのため、上記産業施設以外の事業所については、全ての被雇用者と個別契約を結ぶという対応でも問題ありません(実際に、そのように対応している日本企業の現地事業所も多数あります)。

ただ、事業所の現地採用者が数十人を超える場合、辞める人、新たに雇う人といった人材の流動性を考慮すると、個別契約だと文書管理が非常に手間になるということから、服務規程(Employment Policy)を定めたほうが良い、というだけです。

現在、インド労働法について日本語で書かれた本では、上記「就業規則(Standing Orders)」と「服務規程(Employment Policy)」の区別を十分に認識していないものが多く、両者の議論をごちゃまぜにしているきらいがあるため、注意が必要です。

--

さて、被雇用者と個別で契約する場合であっても、服務規程(Employment Policy)を定める場合であっても、その内容は自由に定めてよいというわけではなく、インド労働法上の強行規定により、一定の制限がかかります。

次回は、そのような労働契約の締結や服務規程の制定上の制限について、解説したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

【再開します】インド労働法解説

長らく放置していたこのシリーズですが、ようやく自分の中である程度まとまってきましたので、解説を再開しようと思います。

今週金曜日(もう明日ですね、早っ)にインド労働法のセミナーを控えているため、それが終わったら、セミナーで受けた質問等も踏まえて、解説を進めていこうと思います。

ちなみに、現在インドで勤務されている知り合いの日本人弁護士の方から、Companies Bill, 2009(インド会社法の抜本改正案)についてのとてもよくまとまった資料をいただいたので、その資料をもとに勉強し、インド労働法解説が一通り終わったところで、こちらも解説していければと思っています。

--

なんだか最近は論文書きが多いです。

ようやくインド競争法に関する論文を書き上げたと思ったら、今度はみなし公開会社規制の論文の締切が迫ってきています。

みなし公開会社規制の論文は、実は結構前に書き始めていたのですが、論文を8割方書き上げたところで、「Companies Bill, 2009では外国会社の子会社についてみなし公開会社規制が廃止される予定である」との情報が入ってきて、すっかりやる気をなくして放置していました

とはいえ、Companies Bill, 2009が国会を通るとしても、さすがに即日施行ということはないでしょうから、まあ一定期間は意味があるのかなと、自分をだましつつ頑張りたいと思います。

色々書くことが多すぎて、本の執筆が全然進まない……

| | コメント (0) | トラックバック (0)

10万ヒット突破

先日ブログの管理ページを見たところ、なんと10万ヒットを超えていました。

ブログを解説したのが約2年前ですので、なんというか、こんなニッチなブログに2年間で10万回もアクセスがあったことに、書いている本人が一番驚いています
(もちろん、自分の書いているものが見られているということで、うれしくないわけではないのですが…)

もともとアクセス数はほとんど気にしておらず、これからもたぶん気にしないでしょうが、とりあえず1つの区切りということで、記事にしてみました。

今後とも本ブログをよろしくお願いいたします。

--

明日と来週の金曜日の2回、事務所でインドの労務管理についてのセミナーをやります。
準備が結構大変で、今週はひたすらこれに時間をとられています。

最近ちょっと体調が悪目で、今日もあまり調子が良くないのですが、なんとか気合で乗り切りたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

大規模な株式取得に対するCabinet Committee on Economic Affairsの承認

巷に出回っている日本語のインド法解説書には、あまり書かれていないのですが、インド非居住者によるインド内国会社の株式取得額が一定額を超える場合(=大規模な外国投資の場合)、当該投資に対してインド政府の事前承認が必要となります。

具体的には、60億ルピー(約120億円)を超えるインド非居住者によるインド内国会社の株式取得は、インド外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board (FIPB))の事前承認に加え、内閣経済問題委員会(Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA))の事前承認を得る必要があります。

根拠は、プレスノート1999年7号です。
なお、同プレスノートは、インド政府産業省(Ministry of Industry)(当時の名称。後にインド政府商工省(Ministry of Commerce and Industry(MCI))に改名)の産業政策促進局(Department of Industrial Policy & Promotion (DIPP))により、それぞれ1999年5月31日、2000年7月27日に発行されたプレスリリースにより、一部変更されています。
(以下、これらの変更部分を含め、総称として「プレスノート1999年7号」と呼びます)

上記各プレスリリースについては、こちらを参照↓

1999年5月31日プレスリリース
「05311999.doc」をダウンロード

2000年7月27日プレスリリース
「07272000.doc」をダウンロード

--

プレスノート1999年7号には、「インド非居住者によるインド内国会社の株式取得額が600croreルピーを超える場合、事前の政府承認(prior approval of the Government)が必要」である旨が規定されています。

「crore」というのは、インド独自の単位で1000万を意味するため、「600crore」は、「60億」を意味します。

外国投資を規制する法令やプレスノートにおいて、「政府の承認(approval of the Government)」という規定がある場合、たいていはインド外国投資促進委員会(FIPB)の承認のことをさすのですが、このプレスノート1999年7号に限っては、「政府の承認」は、FIPBの承認とともに内閣経済問題委員会(Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA))の承認を意味します

60億ルピーを超えるような株式取得は、大規模な外国投資であることからインド国内に与える影響も大きく、そのため内閣レベルで投資をコントロールしようという趣旨であると思われます。

--

プレスノート1999年7号の規制は、投資金額(=株式取得額)の大きさに対して課せられる規制であるためたとえ外国投資の対象事業が本来なら100%自動承認で行うことができる業種であったとしても、投資金額が60億ルピーを超える場合、FIPBとCCEAの事前承認が必要となります。

また、たとえば自動承認による外国投資上限が49%の場合に30%だけ株式を取得するような場合であっても、その30%分の投資額が60億ルピーを超える場合、同様にFIPBとCCEAの事前承認が必要となります

申請から承認までの期間は、案件の内容によりさまざまですが、一般には3~4ヶ月程度程度かかることが多いようです。案件によっては承認取得に時間がかかることもあるため(半年~1年程度かかることもあるようです)、CCEAの事前承認を必要とする規模の株式取得を行う場合、買収、出資スケジュールは十分な余裕をみておく必要があります。

ちなみに、最近の日本企業による著名なインド企業の買収、出資案件では、2008年10月に第一三共株式会社がRanbaxy Laboratories Limitedを約2500億ルピー(約5000億円)で買収する際に、また2009年2月に株式会社NTTドコモがTATA Teleservicesに対して約1300億ルピー(約2600億円)の出資を行う際に、それぞれCCEAの事前承認を取得しています。

なお、インド国内の報道によれば、第一三共株式会社は、インドでの公開買付けに際し、公開買付公告において、CCEAの事前承認を公開買付けの成立条件として明示していなかったことから、CCEAの承認が予定よりも遅れて公開買付けの実施が遅れたことに伴い、年率10%の利息を公開買付けに応募した株主に支払っているようです。

このような例からも、上場企業を買収、出資する場合など、インド内国会社の株式を大規模に取得する場合、プレスノート1999年7号の規制についても十分な注意が必要であると言えるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年11月 | トップページ | 2010年1月 »