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プレスノート2009年8号の解説(前編)

前回紹介したとおり、2009年末に、プレスノート2009年8号と2010年ドラフトプレスノート(Draft Press Note (2010))が発行されました。

(プレスノートは、以下のDIPPのサイトで参照できます。)
http://siadipp.nic.in/policy/changes.htm

後者はあくまでドラフトであり、現時点では効力が発生していないのに対し、前者は発行日である2009年12月16日に、即日で発効しています。
そのため、まずはこちらを解説していきたいと思います。

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プレスノート2009年8号の内容は、それまであったライセンス料の上限規制を撤廃するというものです。
そこで、今回は、従来のライセンス料の上限規制について簡単に解説したいと思います。

従来 、日本企業を含むインド非居住者が、インド内国会社と技術やノウハウ、商標等についてのライセンス契約を締結する場合、1999年外国為替管理法(Foreign Exchange Management Act, 1999(FEMA)に基づき、ロイヤリティ収入の設定につき、一定の上限規制が課せられていました。

たとえば、日本企業が、その現地法人や合弁会社、あるいは独立当事者であるインド企業との間で技術やノウハウ、商標等についてのライセンス契約を締結し、ロイヤリティ収入を得る場合、当事者が自由にロイヤリティ金額や料率を定められるわけではなく、法律により上限が決まっていたわけです。

ロイヤリティ収入の金額や料率が、この定められた上限を超える場合、送金、支払受領につきインド政府の事前承認が必要とされていました。
一方、定められた上限を超えない場合、インド政府の事前承認は不要であり、またインド準備銀行に対する事後届出も不要とされていました(自動承認ルート)。

この自動承認ルートによる送金、支払受領が認められるロイヤリティの上限は、ライセンスの内容が技術提携契約であるか、商標やデザイン等を許諾する契約であるかにより異なっており、詳細は以下のとおりです。

1 技術提携契約の場合

ライセンス契約の内容が、技術やノウハウ(特許等を取得しているものであるかどうかを問わない)を許諾するものである場合、
①一括して支払う金額が200万米ドルを超えず、かつ
②ライセンシーであるインド内国会社の国内売上の5%および輸出売上 の8%を超えない限度で、
インド内国会社から外国ライセンサーへの自動承認による送金、支払受領が認められていました(プレスノート1998年第19号および2003年第2号参照)。

2 商標やブランドネーム等を許諾するものである場合

ライセンス契約の内容が、商標やブランドネーム等(商標登録等を取得しているものであるかどうかを問わない。ただし、事実上は登録は必須だと考えられる)を許諾するものである場合、ライセンシーであるインド内国会社の国内売上の1%および輸出売上の2%を超えない限度で、自動承認によるインド内国会社から外国ライセンサーへの送金、支払受領が認められていました(プレスノート2002年第1号)。

ロイヤリティ収入の金額や料率が、上記限を超える場合、

①インド内国会社と外国ライセンサーとがライセンス契約に基づく技術、ノウハウ等の許諾のみを行っている場合にはインドプロジェクト承認委員会(Project Approval Board)の事前承認が、

②インド内国会社と外国ライセンサーとが上記ライセンス許諾に加えて資本提携をも行っている場合にはインド外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board(FIPB))の事前承認が、

それぞれ必要とされていました。

いずれの場合も事前承認の取得には数ヶ月程度かかる上、場合によっては承認が出されないこともあったため、ロイヤリティ上限規制を超えるロイヤリティの設定は、事実上難しかったといえます。

なお、このロイヤリティ上限規制は、1999年外国為替管理法に基づく外国為替管理のための規制であるため、ライセンス契約の当事者が契約の準拠法をどのように定めたとしても、当該ライセンス契約の内容がインド非居住者がインド内国会社にライセンスを許諾するものである限り、適用されていました。

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上記規制が、今回のプレスノート2009年8号により、撤廃されたわけです。

次回は、撤廃についてもう少し詳細を解説するとともに、撤廃に伴って生じると思われる問題について、簡単に解説したいと思います。

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