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プレスノート2005年第1号および第3号に基づく投資制限とNOC(ノー・オブジェクション・サーティフィケイト) その2

2 規制の運用状況とNOC(ノー・オブジェクション・サーティフィケイト)

プレスノート2005年1号および3号に基づく投資制限により、インド外国投資促進委員会(FIPB)に対して投資の事前承認申請を行う場合、当該事前承認の審査においては、既存のインド側合弁パートナーや提携先が、外国投資家による新たな合弁や提携を了承しているかどうかが重視されます

すなわち、既存のインド側合弁パートナーや提携先が新たな合弁や提携を了承している場合、申請は認められやすくなり、他方反対している場合には認められにくくなります。

これは、プレスノート2005年1号および3号に基づく投資制限の趣旨は既存のインド側合弁パートナーや提携先を保護する点にあるところ、既存のインド側合弁パートナーや提携先が外国投資家による新たな合弁や提携について了承している場合には、当該既存のインド側合弁パートナーや提携先を保護する必要がなくなるためです。

そのため、プレスノート2005年1号および3号に基づく投資制限によりインド外国投資促進委員会(FIPB)に対して事前承認申請を行う場合、既存のインド側合弁パートナーや提携先からノー・オブジェクション・サーティフィケイト(No Objection Certificate)(ノー・オブジェクション・レター(No Objection Letter)とも呼ばれます)を入手し、インド外国投資促進委員会(FIPB)に提出することが行われます

ノー・オブジェクション・サーティフィケイトとは、既存のインド側合弁パートナーや提携先が、外国投資家による、同一業種における新たな合弁や提携に対して異議がないことを表明する書面のことをいいます。

事前承認申請を認めるかどうかはあくまでインド外国投資促進委員会(FIPB)の裁量的判断によるため 、ノー・オブジェクション・サーティフィケイトを提出したからといって、必ず申請が認められるわけではありませんが、これを提出することにより、申請が認められる可能性は非常に高くなります(なお、その3で述べるとおり、ノー・オブジェクション・サーティフィケイトを提出しなくとも申請が認められる可能性もあります)。

通常、ノー・オブジェクション・サーティフィケイトを発行するかどうかは既存のインド側合弁パートナーや提携先の任意であるため、これを発行してもらうためには既存のインド側合弁パートナーや提携先との交渉が必要となります。
一般には、一定の金銭的補償や最低購入(または売却)額の保証など、一定の補償または代替措置を合意した上で、既存のインド側合弁パートナーや提携先からノー・オブジェクション・サーティフィケイトを発行してもらうことが多いようです。

もっとも、補償金の釣り上げ目的や、事業遂行上の思惑から、ノー・オブジェクション・サーティフィケイトの発行に難色を示すインド側合弁パートナーや提携先も少なくありません。

そのため、この規制は、過去にインドで合弁事業を立ち上げたが、うまくいかずに合弁解消、新規合弁(あるいは100%現地法人)設立を目指す多くの日本企業にとって、大きなハードルとなっています。

なお、既存のインド側合弁パートナーや提携先との間の合弁契約や技術提携契約、商標使用契約において、「同一事業分野につき外国投資家側が別途合弁会社を設立すること(あるいは技術提携契約や商標使用契約を締結すること)には反対しない」旨の条項が規定されている場合、当該契約条項を根拠に、無償でノー・オブジェクション・サーティフィケイトの発行を要求することが可能となります。

契約を作成した法律事務所等が、プレスノート1998年18号(その後のプレスノート2005年1号および3号)に基づく投資制限を十分に意識していた場合、「外国投資家側が要求した場合、インド側合弁パートナー(提携先)は、ノー・オブジェクション・サーティフィケイトを無償で発行しなければならない」旨の文言を契約に明記している可能性もあります。

そのため、日本企業がプレスノート2005年1号および3号に基づく投資制限によりインド外国投資促進委員会(FIPB)に対して事前承認申請を行う場合、

①まずは既存のインド側合弁パートナーや提携先との間の合弁契約や技術提携契約、商標使用契約を見直し、競業禁止やノー・オブジェクション・サーティフィケイトについて規定している条項があるかどうかを確認する

②そのような条項がない場合、既存のインド側合弁パートナーや提携先とコンタクトを取り、任意にノー・オブジェクション・サーティフィケイトを発行してもらえるよう交渉する

というステップを踏むことになります。

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その3に続く

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