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プレスノート2005年第1号および第3号に基づく投資制限とNOC(ノー・オブジェクション・サーティフィケイト) その1

最近、プレスノート2005年第1号および第3号に基づく投資制限について質問を受けることが多いのですが、そういえば本ブログでこの点は詳細に解説していなかったなあと思い、既存の未発表論文を手直しする形で、一気に解説を掲載したいと思います。

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1 規制の概要

「プレスノート2005年1号および3号に基づく投資制限」とは、インド非居住者による同一事業分野における重複的な投資または技術提携等の禁止をいいます。

プレスノート2005年1号は、既にインド内国会社と合弁会社を設立したり、技術提携契約や商標使用契約などを結んでいる外国投資家(インド非居住者)は、同一事業分野において別途投資を行おうとするとき(具体的には現地法人を設立したり、同業他社と合弁会社を設立したり、同業他社に投資するなど)、または技術提携契約もしくは商標使用契約を締結しようとするときには、下記に述べる一定の例外に該当する場合を除き、インド政府の事前承認を得なければならない旨を規定しています。

また、プレスノート2005年3号は、プレスノート2005年1号の射程範囲の明確化のために発行されたものですが、これによれば、プレスノート2005年1号によるインド政府の事前承認が必要なのは、2005年1月12日の時点で既にインド非居住者がインド内国会社と合弁会社を設立していたり、技術提携契約や商標使用契約を締結している場合に限定されるとされます。
すなわち、インド非居住者がインド内国会社と合弁会社を設立したり、技術提携契約もしくは商標使用契約を締結したのが、2005年1月12日よりも後であれば、プレスノート2005年1号の規制は適用されません

この規制の趣旨は、既存のインド側合弁パートナーや提携先を保護する点にあります。

プレスノート2005年1号以前は、「同一事業分野」だけでなく「関連事業分野」についても事前承認が必要とされていたため、プレスノート2005年1号は、その規制を緩和したものであるといえます。
※ プレスノート2005年1号の前に同様の規制を定めていたのはプレスノート1998年18号でしたが、同プレスノートでは、「同一事業分野(same fields)」だけでなく「関連事業分野(allied fields)」の場合でも事前承認が必要とされ、かつプレスノート2005年1号には規定されている下記例外も認められていませんでした。
そのため、既存の合弁パートナーや技術提携先が存在する場合のインド非居住者による投資制限は、プレスノート2005年1号よりも広範であり、外国企業によるインド進出の大きな障害となっていました。

なお、「同一事業分野」かどうかの判断基準は、プレスノート1999年10号に規定されており、プレスノート2005年3号もこの基準を踏襲することが規定されています。

具体的には、National Industrial Classification (NIC) 1987 Codeによる産業分類の4桁の数字(class number)が同一である事業分野については、「同一」の事業分野とみなされます。
(National Industrial Classification (NIC) 1987 Codeの名称中に「1987」とあるのは、最初のコード分類が1987年に行われたからであり、このコード自体はその後数回にわたってアップデートされています)

National Industrial Classification (NIC) 1987 Codeの最新版(2008年版)は、以下のリンク先で参照可能です。
http://www.mospi.gov.in/nic_2008_17apr09.pdf

上記リンク先の26頁以降、産業コード番号が記載されており、既存の事業とこれから営もうとする事業の内容について、4桁の数字(最上段のセルで「class」とある部分)が一致すれば、「同一事業分野(same fields)」ということになります。

上記の規制の例外として、プレスノート2005年1号は、2005年1月12日の時点で合弁会社や技術提携契約等が存在している場合であっても、以下の各場合には、インド政府の事前承認は不要となると規定しています。

①インド非居住者がベンチャーキャピタルファンド(Venture Capital Funds (VCF))を通じて投資する場合(すなわち、当該インド非居住者が外国ベンチャー投資家(Foreign Venture Capital Investor(FVCI))に該当する場合)

②インド非居住者または既存の合弁相手のいずれかによる既存の合弁会社の持分保有割合が3%未満の場合

③既存の合弁会社または提携事業が休眠状態である場合のいずれかに該当する場合

ここで、プレスノート2005年1号による「インド政府による事前承認」とは、インド外国投資促進委員会(Foreign Investment Promotion Board (FIPB))の承認を意味します。

この承認は、あくまでプレスノート2005年1号の規制に対する承認であって、一般に外国直接投資(FDI)において自動承認の限度を超える場合の承認とは異なります。
そのため、外国投資家が新たに現地法人等を設立しようとする場合で、プレスノート2005年1号が定める状況に該当する場合、外国直接投資(FDI)が自動承認の限度を超えていなくとも、インド外国投資促進委員会(FIPB)による(プレスノート2005年1号の規制に関する)事前承認が必要となります。

なお、以上はあくまでもインド政府による規制の問題であって、プレスノート2005年1号上、合弁契約、技術提携もしくは商標使用契約の当事者間の契約レベルにおいて、別途の会社設立や技術提携等を禁止することは妨げられていません。
したがって、2005年1月12日の前後を問わず、インド非居住者とインドとの間の合弁契約や技術提携、商標使用契約において、契約条項としてインド非居住者側によるこれらの行為を禁止することは可能であり、インド非居住者がこれに違反した場合、契約違反の問題が生じることとなります。

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その2に続く

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