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駐在員事務所および支店の設立、運営、閉鎖等に関する事項の変更(その6)

通達(2)の解説の続きです。
今回は、第5項(ii)以降の解説です。

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第5項(ii)

第5項(ii)は、駐在員事務所の認可期間の延長について規定しています。
通達(1)では、主として手続的なことが規定されていた(解説その4参照)のに対し、本項目では、延長が認められるための実体要件が規定されています。

2010年2月1日以降、指定された承認取引者カテゴリーⅠ銀行(AD Category-I bank)は、インド準備銀行(RBI)により認められたオリジナルの認可期間の満了の日から、3年間の認可期間延長を行うことができるとされています。
ただし、認可期間延長のためには、指定された手続に従うことのほか、以下の要件をみたしている必要があるとされています。

・当該駐在員事務所が、認可期間中、年次活動報告書(Annual Activity Certificate)を提出していること(なお、承認取引者カテゴリーⅠ銀行に延長権限を認める本制度の施行初年度だけは、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、インド準備銀行の地方局に対して、当該駐在員事務所がインド準備銀行の地方局に期限までに年次活動報告書を提出していたかどうかを問い合わせることができ、その確認結果をもとに本要件がみたされているかどうかを判断するとされています)

・当該駐在員事務所が承認取引者カテゴリーⅠ銀行に開設している口座が、インド準備銀行の認可に規定された条件に従って利用されていること

認可期間延長は、延長申請の受理から可能な限り早く審査され、概ね1ヶ月以内に与えられます。
承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、駐在員事務所から認可期間の延長申請を受けた場合、これをインド準備銀行に通知する必要があり、その際、必要な場合にはオリジナルの駐在員事務所設立認可書のレファレンスナンバーと、当該駐在員事務所の固有特定番号(Unique Identification Number (UIN))とを通知します。

なお、銀行や保険会社、またはノンバンク金融会社(NBFC)やインフラ開発を除く建設開発事業を営む会社の駐在員事務所については、上記と異なる延長手続に服しますが、これについてはその4の3で解説したとおりです。

第5項(iii)

支店と駐在員事務所の閉鎖について規定されています。

2010年2月1日以降、支店および駐在員事務所の閉鎖手続は、(これまで同手続を行ってきた)インド準備銀行ではなく、承認取引者カテゴリーⅠ銀行により行われます。
閉鎖手続は、2000年5月3日発行のインド準備銀行通達であるNotification No. FEMA 13/2000-RBに従って行われます。

閉鎖申請の際の必要書類については、その4の4で解説したとおりです。
さらに、場合によっては、上記書類に加えて、インド準備銀行が指定する書面の提出が必要とされることもあります。

承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、閉鎖しようとする支店または駐在員事務所が、それぞれ年次活動報告書を適式に提出していることを確認しなければなりません。制度開始初年度など、必要な場合には、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、年次報告書の提出状況をインド準備銀行の中央局または地方局に問い合わせることができます。

必要書類が全て提出された後、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、書類審査の結果問題がない場合には、支店または駐在員事務所の閉鎖を認め、承認取引者カテゴリーⅠ銀行に開設された当該支店または駐在員事務所の口座を閉鎖するとともに、外国の事業体に口座に入っていた残金の送金を行うことができます。

支店または駐在員事務所の閉鎖を認めた場合、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、当該閉鎖の事実をインド準備銀行(駐在員事務所の場合、地方局。支店の場合、中央局)に通知する必要があります。
当該通知に際しては、全ての書類が提出され、かつ審査に問題がなかったことを宣言する書面を添付しなければなりません。

もし書類が整っていない場合、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、当該閉鎖申請をインド準備銀行に、自らの意見ととももに送付し、インド準備銀行により指示を仰ぐ必要があります。

第6項

支店または駐在員事務所に関する全ての書類は、承認取引者カテゴリーⅠ銀行において保管される必要がある旨規定しています。
当該書類は、承認取引者カテゴリーⅠ銀行の内部監査役またはインド準備銀行の検査の対象となります。

第7項

今回承認取引者カテゴリーⅠ銀行への権限委譲がなされなかった事項については、引き続きインド準備銀行が権限を有し、承認取引者カテゴリーⅠ銀行は、当該事項につきインド準備銀行に問い合わせる必要がある旨規定しています。

第8項から第10項

事務連絡的な規定であるため、解説は省略します。

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以上で通達(2)の解説は終了です。

今回の解説シリーズを通じて、現在のインドにおける駐在員事務所または支店の設立手続がどのようなものか、概ねおわかりいただけたのではないかと思います。

ポイントをまとめると、

1 設立申請、認可期間延長申請、年次報告書の提出、閉鎖申請等の、支店または駐在員事務所の運営に係るほとんど全ての手続は、(インド準備銀行ではなく)承認取引者カテゴリーI銀行(Authorised Dealer Category – I banks)に対して行う

2 承認取引者カテゴリーⅠ銀行とは、インド準備銀行から全ての当座勘定取引および資本勘定取引を扱うことを認められている銀行(平たく言えば、外為取引を扱える銀行)をいう。
中大手の銀行は、ほぼ全てこの指定を受けている。

3 支店または駐在員事務所は、担当となった承認取引者カテゴリーⅠ銀行において、支店または駐在員事務所運営のための銀行口座を開設する必要がある

といったあたりでしょうか(3については、通達には明示的には書かれていませんが、閉鎖手続についての解説を読む限り、これが前提とされていると考えられます)。

ということで、今後、インドで支店または駐在員事務所の開設を考えている日本企業の方は、まずは担当となってくれる承認取引者カテゴリーⅠ銀行を探すところから始める必要があります

おそらく、外国会社の支店または駐在員事務所の担当になりたがる承認取引者カテゴリーⅠ銀行は多数あり(手数料収入が増えるため)、その中にはどこかのコンサルと提携している銀行もあるであろうことから、担当となる承認取引者カテゴリーⅠ銀行を探すこと自体はそれほど難しくないと思います。

後は、担当手数料の問題で、「こちらの銀行は安いがこちらの銀行は高い」ということはあるかもしれません。もちろん、安いにこしたことはありませんので、複数の銀行から見積もりをとって比較するということくらいはやってもいいかもしれませんね。

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以上で本解説シリーズは終了です。

次回からは、中断していたインド労働法解説を再開したいと思います。

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