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インド労働法解説その8 -非正規雇用(1)-

インドにも、日本と同じく、正規雇用(full-time labour)と非正規雇用の区別があります。

非正規雇用には、多くの種類がありますが、その主なものは以下のとおりです。

・試用期間(Trial Period)

・パートタイム雇用(Part-time labour)

・臨時労働雇用(Temporary labour / Casual labour)

・季節労働雇用(seasonal labour)

・契約労働雇用(Contract Labour)

なお、正規雇用か非正規雇用かは、労働者(workman)と非労働者(non-workman)との区別とは別次元の問題です。
そのため、非正規雇用であっても非労働者(non-workman)にあたるということはありえますし、反対に、正規雇用であっても労働者(workman)にあたるということもありえます。

ただ、一般的に言って、非正規雇用により雇用された労働者が、管理職的な役割を果たすことは少ないため、「多くの場合には非正規雇用=労働者(workman)にあたる」ということは言えるでしょう。

以下、各非正規雇用の形態について、個別に概要を解説します。

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1 試用期間(Trial Period)

雇用者は、被雇用者の雇用の際に、試用期間を設けることができます。
試用期間は、最大6ヶ月であり、この期間中は、適切な通知さえ行えば、理由なくして解雇することができます(正確には、解雇というよりも、「不採用決定」というべきでしょう)。

実務上、この試用期間はきわめて重要です

後に解説しますが、インドでは、いったん正規雇用した労働者(あるいは非労働者)を解雇することには大きな困難が伴うため、正規雇用にいたる前に、当該労働者について見極めを行い、正式採用か不採用かの決定ができる(しかも理由は不要)試用期間は、企業にとってきわめて有益な制度です。

インド労働法上の解雇の困難さ、労働紛争になった場合の時間とコストのかかり方等を考慮すると、インドで人を雇用する場合、必ずこの試用期間を設けるようにすべきといっても過言ではないくらい、日本企業にとっても重要な制度であるといえるでしょう。

なお、試用期間の繰り返しは認められておらず、たとえば6ヶ月の試用期間の後に、もう一度続けて6ヶ月の試用期間を置くことなどはできません。
これが認められてしまうと、試用期間を連続することにより、企業はいつでも被雇用者を解雇できることになってしまうため、当然といえば当然の規制でしょう。

2 パートタイム雇用(Part-time labour)

いわゆるアルバイト、パート雇用です。
パートタイム雇用とは、1日のうち、限られた時間のみ労働を行う者を雇用することをいいます。

下記3、4との相違は、3、4は一定期間は通常1日フルタイムで働くことが予定されているのに対し、パートタイム雇用は、1日のうち限られた時間のみ働くことが予定されている点です。

労働時間規制、最低賃金規制などは、正規雇用者と同様の規制が課されます。

3 臨時労働雇用(Temporary labour / Casual labour)

臨時労働雇用とは、特定の仕事の完成を目的として、一定期間のみ労働を行う者を雇用することをいいます。

パートタイム雇用が、一般に日常の業務を行うのに対し、臨時労働雇用は、ある特定の仕事の完成を目的として、その完成に必要な期間のみ雇用されるという点で特色があります。

パートタイム雇用と同じく、労働時間規制、最低賃金規制などは、正規雇用者と同様の規制が課されます。

4 季節労働雇用(seasonal labour)

季節労働雇用とは、主に農業において、種まきや収穫など一定の労働力が必要な季節に限って、その期間のも労働を行う者を雇用することをいいます。
いわば、農業版の臨時労働雇用です。

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契約労働雇用(Contract Labour)については、やや規制が複雑なため、次回詳細を解説します。

なお、Contract Labourといった場合、「請負労働」と訳すのが一般的ですが、インドにおけるContract Labourは、日本でいう派遣労働に近いため、誤解、混同を避けるべく、あえて「契約労働」と訳しています。

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