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2010年プレスノート1号の解説

2010年3月25日付けで、2010年プレスノート1号が発行されました。

http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn1_2010.pdf

この通達により、一定額以上の外国直接投資(FDI)を行う場合の内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)の事前承認が必要となる基準について、これまでは60億ルピー(約120億円)であったのが、倍額の120億ルピー(約240億円)にまで引き上げられました。

内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)の事前承認の要否については、こちらの記事で詳細を解説しています。
(ちなみに、Cabinet Committtee on Economic Affairsの日本語訳について、以前は「内閣経済問題委員会」と訳していましたが、その後の検討により、今後は「内閣経済対策委員会」と訳すことにしました)

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さて、2010年プレスノート1号の内容の解説です。

同プレスノートは、まず2.1で、2010年3月25日より前の外国投資の承認権限について、以下のように述べています。

Presently, the recommendations of the FIPB on these proposals with total investment up to Rs. 600 crore are considered by the Finance Minister and those exceeding this amount, by the Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA). Prior to 18.2.2003, proposals of more than Rs. 600 crore were to be approved by the Cabinet Committee on Foreign Investment (CCFI).

これにより、2010年3月25日までの規制内容が、以下のとおりであったことがわかります。

・60億ルピー(Rs. 600 crore。croreはインド独自の単位で、1000万を表します)までの外国投資については、インド外国投資促進委員会(FIPB)の推薦に基づいて、インド金融相(Finance Minister)により承認の可否が検討されること

・60億ルピーを超える外国投資については、インド外国投資促進委員会(FIPB)の推薦に基づいて、内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)(2003年2月18日以前は、内閣外国投資委員会(Cabinet Committee on Foreign Investment))により承認の可否が検討されること

いずれもFIPBの推薦に基づくということで、形式的な承認権限は、それぞれインド金融相、内閣経済対策委員会にあるものの、実質的な承認権限はFIPBにあるといえます。

同プレスノート3.1は、これらが2010年3月25日付けで以下のように変更されることを規定しています。

3.1 The Government of India has reviewed the extant policy and it has been decided, with immediate effect, that the following approval levels shall operate for proposals involving FDI under the Government route i.e. requiring prior Government approval:

(a) The Minister of Finance who is in-charge of FIPB would consider the recommendations of FIPB on proposals with total foreign equity inflow of and below
Rs.1200 crore.

(b) The recommendations of FIPB on proposals with total foreign equity inflow of
more than Rs. 1200 crore would be placed for consideration of CCEA. The FIPB
Secretariat in DEA will process the recommendations of FIPB to obtain the approval of
Minister of Finance and CCEA.

(c) The CCEA would also consider the proposals which may be referred to it by the
FIPB/ the Minister of Finance (in-charge ofFIPB).

すなわち、

(a) 120億ルピー以下の外国投資については、FIPBの監督権者であるインド金融相が、FIPBの推薦に基づいて承認の可否を検討すること

(b) 120億ルピーを超える外国投資については、FIPBの推薦が、内閣経済対策委員会の承認の検討にあたって考慮されること。また、当該FIPBの推薦は、インド金融省(Ministry of Finance)の経済対策局(Department of Economic Affairs)に所属するFIPBの事務局長(Secretariat)が、インド金融相または内閣経済対策委員会の承認を取得するために行うこと

(c) 内閣経済対策委員会は、直接FIPBまたはFIPBの監督権者であるインド金融相からの照会も受け付けること

が規定されています。 

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インド政府の内部的な手続の問題はともかくとして、とりあえず本通達において重要なのは、

・外国直接投資(FDI)を行う場合の内閣経済対策委員会の事前承認が必要となる基準について、これまでは60億ルピー(約120億円)であったのが、倍額の120億ルピー(約240億円)にまで引き上げられたこと

・120億ルピー以下のFDIについては金融相が、120億ルピー超のFDIについては内閣経済対策委員会が、それぞておFIPBの推薦に基づいて承認の可否を検討すること

の2点です。

プレスノート2010年1号は、2010年3月25日付けで即日発効しているため、同日以降、上記規定が適用されることになります。

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ちなみに、同通達は、2.2、3.2において、追加で外国投資を行う際、一定の場合には、インド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が不要となることも規定しています。

これは、「従前はFIPBの事前承認が必要とされていた外国投資について、その後の規制緩和等によりFIPBの事前承認が不要となったものにつき、追加的に投資を行う場合には、追加投資の段階であらためてFIPBの事前承認を得ることは不要」であることを定めたものです。

逆に言うと、2010年3月25日までは、「従前はFIPBの事前承認が必要とされていた外国投資について、その後の規制緩和等によりFIPBの事前承認が不要となったものであっても、追加的に投資を行う場合には、追加投資の段階であらためてFIPBの事前承認を得ることが必要」とされていたわけです。

つまり、当初投資の段階でFIPBの事前承認を取得していた場合、その後たとえ規制緩和がなされたとしても、追加投資の段階でFIPBの事前承認を取得しなければならなかった、ということです。

これは、どう考えても不合理なので(規制緩和後は、新規参入者であればFIPBの事前承認なくしてFDIができるのに、規制緩和前からFDIを行っていた者は引き続き追加投資ごとにFIPBの事前承認を取り続けなければならない)、このような規制の変更がなされたのは、ある意味当然といえるでしょう。

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2010年プレスノート1号の解説は以上です。

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