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インド居住者、非居住者間の株式譲渡価格規制の改正(4)

前回まで解説してきた新価格規制をまとめると、以下のとおりとなります。

1.インド居住者から非居住者への株式譲渡の場合

・インド国内で上場されている株式については、SEBIガイドラインに従って行われる株式の優先割当の割当価格を下回らない価格

・非上場株式については、SEBIの登録を受けているカテゴリー1のマーチャントバンカーまたは勅許会計士が、DCF評価法に基づいて決定する公正価格を下回らない価格

での譲渡の場合、当該株式譲渡につき、 インド準備銀行の事前承認は不要。

2.インド非居住者から居住者への株式譲渡の場合

・インド国内で上場されている株式については、SEBIガイドラインに従って行われる株式の優先割当の割当価格を上回らない価格

・非上場株式については、SEBIの登録を受けているカテゴリー1のマーチャントバンカーまたは勅許会計士が、DCF評価法に基づいて決定する公正価格を上回らない価格

での譲渡の場合、当該株式譲渡につき、 インド準備銀行の事前承認は不要。

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上記を比較して見れば明らかですが、新価格規制では、①インド居住者から非居住者への株式譲渡の場合と、②インド非居住者から居住者への株式譲渡の場合の価格規制とは、表裏一体となっています。

すなわち、同じ価格を基準として、①の場合には下回らない価格、②の場合には上回らない価格との制限がかかっているわけです。

そして、①、②どちらの場合も、インド居住者に有利な価格規制となっています
①の場合、インド非居住者は居住者から株式を安く買うことができず、②の場合、インド非居住者は居住者に株式を高く売ることができないというわけです。

今に始まったことではありませんが、わりと露骨な自国民優遇策ですね。

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なお、以上の規制は、あくまでインド居住者、非居住者間で、外国直接投資(FDI)に関して株式の譲渡が行われる(FDIとして投資する、FDIからイグジットする)場合にのみ適用されます。

したがって、居住者間同士での譲渡や、非居住者間同士での譲渡の場合には、この価格規制は適用されません。
(よって、日本企業同士がインド内国会社の株式を譲渡する場合、自由に価格設定ができます)

また、外国直接投資(FDI)ではなく、外国ポートフォリオ投資による株式取得(インド国内の証券取引所において株式投資目的で株式を取得する場合)についても、この価格規制は適用されません。

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インド居住者、非居住者間の株式譲渡価格規制についての解説は、以上です。

ちなみに、居住者であれ非居住者であれ、インド国内で上場されている株式を取得する場合、公開買付規制が問題となってきますが、現在インドではこの公開買付規制の抜本改正が審議されています。

現在の案のまま改正が行われた場合、公開買付けのトリガーは25%超の取得となり(現在のトリガーは15%)、かつ実際に公開買付けが行われる場合、買付者に常に全部買付義務が課されることになるなど、従前の規制に比べて大幅に規制が変更されることになります。

このあたり、もう少し改正案が煮詰まってきたところで、一度取り上げられればと思っています。

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