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2010年11月

デジタル署名認証(DSC)取得マニュアル その2

前回解説したとおり、電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))の取得申請は、DSCの作成と認証登録を代行する専門の登録委託業者に、申請フォームを提出することにより行います。

申請フォームには、必要事項を記載した上で、パスポートサイズの写真を貼り付け、申請者が、写真とフォームの双方にクロスするように署名(英語でOK)を行う必要があります。
この写真とフォームへのクロス署名は、Self Attestation (自己認証)と呼ばれる手続であり、写真が間違いなく本人のものであることを、自ら証明するものです。

また、どの登録委託業者に依頼するであっても、申請フォームには、以下の各書類を添付する必要があります。

①個人証明(通常はパスポートのコピー)

②(①の個人証明で、パスポートのコピーを選んだ場合)パスポートの記載内容が正しいことを宣誓する英文の宣誓書(Declaration)

③住所証明(運転免許証/電話料金請求書/電気料金請求書/銀行口座明細等のコピー)

④③の英訳

⑤①および③が原本の正確なコピーであること、および④が正しい英訳であることを宣誓する宣誓書(Declaration)

これらの書類は、全て公証人による公証(notarization)、およびインド大使館による認証(attestation)(日本の場合、アポスティーユで代用可能)が行われている必要があります。

なお、実はこれらの書類は、取締役識別番号(DIN)を取得する際の添付書類とほぼ同一であるため、実務上、インドに会社を設立する場合には、取締役となる予定の者について、上記書類を2部ずつ準備し、1部をDSC取得のために、もう1部をDIN取得のために使用することが便宜です

以下、日本に居住している日本人がDSCを取得するケースについて、添付書類の内容と公証手続を個別に見ていきます。

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1.個人証明(①および②)

個人証明のための書類としては、パスポートのコピー、運転免許証のコピー、住民カードのコピーのいずれかが要求されてます。

もっとも、このうち運転免許証については英訳を作成しなければならないこと、また住民カードについては日本にはこれに該当する制度がないことから、最も簡単に準備できる書類として、パスポートのコピーを提出することが通常です
なお、パスポートは、それ自体英語が併記されているため、英訳の必要はありません

パスポートのコピーを取る際は、顔写真のページおよびインド入国ビザのページの双方をコピーします。
コピーは必ずしもカラーコピーである必要はありませんが、写真が不鮮明であったり、途中でページが切れていたりすると、適切な添付書類として受領してもらえません。そのため、クリアなコピーをとる必要があります。

パスポートのコピーの公証手続について、日本の公証役場はパスポートのコピー自体の公証を行っていないため、パスポートの記載内容が正しいことを宣誓する英文の宣誓書(Declaration)を作成し、これを公証してもらうことになります

このとき、公証されるのは、あくまで当該宣誓書だけであり、パスポートのコピー自体は公証対象になっていませんが、実務上は、公証を受けた宣誓書とパスポートのコピーをセットにして、DSCの登録委託業者に提出することにより、受理してもらうことができます。

パスポートの記載内容が正しいことを宣誓する英文の宣誓書では、氏名、生年月日、性別、パスポート番号等のパスポートの記載事項を記載し、また「パスポートに記載されている署名」の欄には、パスポート保有者本人がパスポートの署名欄どおりの署名(日本人の場合、漢字であることも多いです)を記載する必要があります。

その上で、パスポート保有者本人が、宣誓書の一番下の署名欄に署名します(この一番下の署名は、英語でかまいません)。

また、公証後は、原則としてインド大使館で認証を受ける必要があります。もっとも、日本およびインドは、「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」の加盟国であるため、アポスティーユ(Apostille)という形式での証明を付与してもらうことで、インド大使館での認証に代えることができます。

日本の場合、東京の公証役場であれば、公証とアポスティーユ付与を同時に行うことが可能であるため、通常は認証のためにインド大使館まで赴く必要はなく、公証役場で公証とアポスティーユ付与を同時に依頼すれば足りることになります。

なお、公証役場での公証およびアポスティーユ取得手続を代理人(コンサルタント、弁護士等)に依頼する場合、代理人から、本人の登録印(実印)が押印された委任状、および印鑑証明書の原本を、公証役場に提出する必要があります。

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次回は、③~⑤の住所証明について解説していきます。

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デジタル署名認証(DSC)取得マニュアル その1

インドに事業拠点を設立する場合、それが支店/駐在員事務所/プロジェクトオフィスであれ、会社(100%子会社または合弁会社)であれ、必ず現地の代表者(または取締役)はデジタル署名認証(Digital Signature Certificate)を取得する必要があります。

駐在員事務所、支店、プロジェクトオフィスは設立後に、会社(現地法人、合弁会社)は設立時に、会社登記局(Registrar of Companies)に登記する必要がありますが、現在、インドでは、これらの登記申請手続は全てインド企業省(Ministry of Corporate Affairs)のウェブサイトである「MCA21」を通じたオンライン申請により行うこととされています。

インド企業省の「MCA21」のウェブサイトはこちら↓
http://www.mca.gov.in/MCA21/index.html

オンラインで登記申請を行う際に必要となるのが、申請者の電子署名認証(Digital Signature Certificate (DSC))です。

DSCとは、署名を電子的に登録したものであり、日本でたとえて言えば、印鑑登録が電子化されたものと考えるとわかりやすいかと思います。

インドでは、書類を公的または私的機関に提出する場合、名義人本人により書類が作成されたことを証明するため、名義人による当該書類への署名が求められることが通常ですが、オンラインで書類を提出する場合、手書きで署名することは不可能です。そこで、手書きの署名に変わるものとして、DSCを取得し、オンラインで提出する書類に貼付することになります。

インドでは、政府当局その他により多くの書類のオンライン提出が認められて(あるいは強制されて)いますが、通常、書類をオンラインで提出する場合、必ず当該書類の名義人のDSCを貼付する必要があります

DSCは、DSCが記録されているUSBトークン(フラッシュメモリー)をコンピュータに挿入し、オンライン申請の画面上の署名欄をクリックして、署名の選択画面から自己のDSCを選択することにより、貼付することができます。

DSCには、そのセキュリティのレベルに応じて、Class1からClass3までありますが、事業拠点の登記に必要なDSCは、Class2のDSCです。そのため、支店/駐在員事務所/プロジェクトオフィス/会社を設立、登記するにあたっては、事業拠点の代表者(または取締役)となる予定の者が、Class2のDSCを取得する必要があります。
(ただし、会社の場合、全取締役がDSCを取得することまでは不要であり、誰か1人が取得すれば、とりあえずの用は足ります。もっとも、全取締役が取得しておいた方が、なにかと便利ではあります)

DSCには有効期間があり、Class2のDSCの場合、有効期間は2年間ですが、登録委託業者によっては有効期間が1年のDSCを作成することもできます(ただし、有効期間が長い方が更新の手間が省けるため、通常はあえて有効期間が1年間のDSCを作成する理由はありません)。

DSCを取得するためには、DSCの作成と認証登録を代行する専門の登録委託業者に依頼する必要があります。登録委託業者は、インド企業省のウェブサイト に列挙されており、201011月現在、8社が登録を受けています。
8社のいずれを選んでも、作成されるDSCの内容は同一であるため、手数料や地理的便宜等を考慮して、あるいは適当に、登録委託業者を選ぶことになります。

8社の内訳は、以下のインド企業省のウェブサイトで確認できます。
http://www.mca.gov.in/MCA21/dca/dsc/certifying-new.html

日本企業に比較的よく利用されているのは、TATAグループのTATA Consultancy Services(リンク先の表の2)や、SatyamグループのSafescrypt(Sify)(リンク先の表の4)などです。
ちなみに、私自身はSifyの方をよく利用しています。

登録委託業者が決まったら、当該登録業者の個人(individual)用のClass2DSC申請フォームに、必要事項を記載します。必要記載事項は、登録委託業者によってやや異なりますが、概ね以下のとおりです。
・氏名
・性別
・生年月日
・住所(日本人の場合、日本の現住所)
・電話番号
・メールアドレス

TATA Consultancy ServicesのClass2DSC申請フォームはこちら↓
http://tcsdigitalsignature.com/form/TCSClass2IndividualDSCForm.pdf

SifyのClass2DSC申請フォームはこちら
http://www.digitalsignatureindia.com/form/SIFY-Class2-Individual.pdf

DSCフォームは、署名の真正等につき、銀行その他の第三者に認証してもらう必要があり、たとえば、TATA Consultancy Servicesの場合、申請者が口座を有する銀行から、Letter of Authority(承認レター)を発行してもらう必要があります(書式は申請フォームに添付されています)。

もっとも、日本の銀行は、このような英文による認証の依頼に対応していないこともあるため(実は、ここのハードルは結構高いです)、認証を依頼する場合、海外業務を広く行っている銀行や外資系銀行などに、事情を説明して依頼することが一般的です。

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次回は添付書類の説明です。

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Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳

予定よりもかなり遅れてしまいましたが、Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳が完成しました。
(Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)については、こちらの記事を参照)

株式取得価格規制のところと、一部の分野別の規制の部分を除いては、大きな変更はありませんでした(ちなみに、大部分の誤字、脱字等もそのままでした)。

明後日11月11日(木)に、下記のセミナーで講師を務めるのですが、その際に参加者の方には配布させていただく予定です。
http://www.kinyu.co.jp/cgi-bin/seminar/222121gom.html

たぶん、現時点でConsolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳を作成しているのは、うちの事務所だけでしょうから、それなりに貴重かもしれません。

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新版もできたことですし、2010年4月1日版の和訳については、本ブログに掲載しようかとも思ったのですが、ここに掲載してしまうと、さまざまな方に商業利用されかねないということで、断念しました。

一般企業の方や個人の方に本ブログを参照していただくのは大歓迎なのですが(むしろそれが本ブログの存在意義ですし)、インド進出をアドバイスするコンサル会社などの方に、事実上無断で、掲載した情報を商業利用されてしまうというのは、さすがにまずいという判断です。

個人的には、全体としてそれが日本企業のためになるのであれば、別にいいんじゃないかという気もするのですが、まあそこは色々と大人の事情がありまして…

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昔ほど好き勝手にブログを書けなくなってきていると、さまざまな場面で感じるこのごろ。

ゴキブリとの闘いとか、インドへの罵詈雑言を、(節度は保ちつつも)好き勝手に書き散らかしていた頃が、本気で懐かしいです。

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