« インドの倒産法(Sick Industrial Companies Act)の解説 その2 | トップページ | 数学の才能の無きを悲しむ »

働くモチベーション

「仕事」には「私の仕事」と「あなたの仕事」のほかに「誰の仕事でもない仕事」というものがある。そして、「誰の仕事でもない仕事は私の仕事である」という考え方をする人のことを「働くモチベーションがある人」と呼ぶのである。

道ばたに空き缶が落ちている。

誰が捨てたかしらないけれど、これを拾って、自前のゴミ袋に入れて、「缶・びんのゴミの日」に出すのは「この空き缶を見つけた私の仕事である」というふうに自然に考えることのできる人間のことを「働くモチベーションのある人」と呼ぶ。

別に私は道徳訓話をしているのではない。

私が知る限り、「仕事のできる人」というのは、例外なく全員「そういう人」だからである。

ビジネスの現場において、「私の仕事」と「あなたの仕事」の隙間に「誰の仕事でもない仕事」が発生する。

これは「誰の仕事でもない」わけであるから、もちろん私がそれをニグレクトしても、誰からも責任を問われることはない。
しかし、現にそこに「誰かがやらないと片付かない仕事」が発生した。

誰もそれを片付けなければ、
それは片付かない。

そのまましだいに増殖し、周囲を浸食し、やがてシステム全体を脅かすような災厄の芽となる。
災厄は「芽のうちに摘んでおく」方が巨大化してから対処するよりずっと手間がかからない。

共同体における相互支援というのは要するに「おせっかい」ということである。

最初に「災厄の芽」をみつけてしまった人間がそれを片付ける。

誰もが「自分の仕事」だと思わない仕事は「自分の仕事」であるというのが「労働」の基本ルールである。

「『おせっかいな人』の孤独」 内田樹 より

--

仕事に埋もれた中で、ときどき読むと、元気が出ます。

|

« インドの倒産法(Sick Industrial Companies Act)の解説 その2 | トップページ | 数学の才能の無きを悲しむ »

新日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/448933/48925728

この記事へのトラックバック一覧です: 働くモチベーション:

« インドの倒産法(Sick Industrial Companies Act)の解説 その2 | トップページ | 数学の才能の無きを悲しむ »