インド外資規制解説

Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳

予定よりもかなり遅れてしまいましたが、Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳が完成しました。
(Consolidated FDI Policy(2010年10月1日版)については、こちらの記事を参照)

株式取得価格規制のところと、一部の分野別の規制の部分を除いては、大きな変更はありませんでした(ちなみに、大部分の誤字、脱字等もそのままでした)。

明後日11月11日(木)に、下記のセミナーで講師を務めるのですが、その際に参加者の方には配布させていただく予定です。
http://www.kinyu.co.jp/cgi-bin/seminar/222121gom.html

たぶん、現時点でConsolidated FDI Policy(2010年10月1日版)の和訳を作成しているのは、うちの事務所だけでしょうから、それなりに貴重かもしれません。

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新版もできたことですし、2010年4月1日版の和訳については、本ブログに掲載しようかとも思ったのですが、ここに掲載してしまうと、さまざまな方に商業利用されかねないということで、断念しました。

一般企業の方や個人の方に本ブログを参照していただくのは大歓迎なのですが(むしろそれが本ブログの存在意義ですし)、インド進出をアドバイスするコンサル会社などの方に、事実上無断で、掲載した情報を商業利用されてしまうというのは、さすがにまずいという判断です。

個人的には、全体としてそれが日本企業のためになるのであれば、別にいいんじゃないかという気もするのですが、まあそこは色々と大人の事情がありまして…

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昔ほど好き勝手にブログを書けなくなってきていると、さまざまな場面で感じるこのごろ。

ゴキブリとの闘いとか、インドへの罵詈雑言を、(節度は保ちつつも)好き勝手に書き散らかしていた頃が、本気で懐かしいです。

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Consolidated FDI Policyのアップデート(2010年10月1日)

こちらの記事で紹介した、Consolidated FDI Policyですが、予告されていたとおり、本日9月30日付けで、アップデート版が発表されました(施行は明日10月1日からです)。

リンク先はこちら↓
http://dipp.nic.in/FDI_Circular/FDI_Circular_02of2010.pdf

今年の4月1日施行バージョンと比較してみたところ、それなりに変更があるようです。

特に、第5章(section 5)は、文章形式から、(プレスノート時代と同様)表形式に戻ったため、大幅に変更されています。
ただし、ざっと見たところ、文章の内容自体はそれほど変更されていないようです。

コンペア版はこちらからダウンロードできます(重いのでデータを圧縮しています)。
「WSComparison_fdi_circular_1_2010-FDI_Circular_02of2010.zip」をダウンロード

この2010年10月1日バージョンの施行をもって、2010年4月1日バージョンは失効するため、明日からは、インド外国直接投資規制を概観するためには、この2010年10月1日版を見る必要があることになります。

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さて、和訳作るか…

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小規模企業産業(SSI)指定品目の減少

久々の解説記事です。

2010年7月30日付けで、小規模企業産業(Small Scale Industry)指定品目が1つ減り、21種から20種となりました。

具体的には、整理番号147番の「射出成形熱可塑性プラスチック製品」が削除されました。

「射出成形熱可塑性プラスチック製品」には、サブ分類として、「直径110㎜以下の導管を含む塩化ビニールパイプ」と「直径110㎜以下の導管を含む塩化ビニールパイプの取付器具」の2つがありましたが、これらがまとめて削除されています。

詳細は、こちらのウェブサイトをご覧ください。
http://www.dcmsme.gov.in/publications/reserveditems/resvex.htm

削除されたものはこちら
http://www.dcmsme.gov.in/publications/reserveditems/deserved2010.pdf

減った後のリストはこちら
http://www.dcmsme.gov.in/publications/reserveditems/reserved2010.pdf

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小規模企業産業(SSI)指定品目って何? という方のために、以下、簡単な説明です。

Consolidated FDI Policyの5.5項は、インド非居住者が、小規模企業用産業(Small Scale Industries (SSI))を営む小規模企業に24%超の投資を行う場合 、当該外国直接投資については、インド非居住者側において、インド外国投資促進委員会(FIPB)による事前承認を取得する必要がある旨、規定しています。

つまり、一定品目の生産事業については、小規模企業に優先的に留保しているわけです。

小規模企業用産業(SSI)とは、1951年産業開発および規制法(Industries (Development and Regulation) Act, 1951)に基づき、インド政府中小企業省(MSME)が小規模企業用産業(SSI)として指定する品目の生産事業をいいます。

インド政府中小企業省により小規模企業用産業(SSI)に指定された品目は、原則として零細企業(Micro Enterprises)および小企業(Small Enterprises)のみが生産することができ、その他の者が生産事業を行おうとする場合、産業ライセンスの取得が必要となります。
具体的には、SSIを、産業ライセンスの取得なくして営みうるのは、機械装置に対する設備投資が5000万ルピー未満の零細企業または小企業(以下、総称して「小規模企業」といいます)のみです。

従前は、多くの品目がSSIに指定されていました(2005年の時点ではSSI指定品目の数は500を超えていました)が、その後インド国内の規制緩和の流れに沿って、SSI指定品目は漸減していき、今回の2010年7月30日の改正前は、21品目まで減っていました。

ちなみに、2007年以降の減少ペースは、以下のような感じです。

・2007年末の時点で114品目

・2008年2月5日付けで35品目(79品目が削除)

・2008年10月10日付けで21品目(14品目が削除)

・2010年7月30日付けで20品目(1品目が削除)

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このSSI指定品目の規制については、遠からず完全撤廃されるとも言われていますが、現時点ではまだ20品目が生き残っていることに注意が必要です。

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インドにおける基本税務番号(PAN)取得について(その2)

前回、インドの合弁会社や現地法人等から源泉徴収税の対象となる支払い(ロイヤリティやサービス料等)を受ける外国企業については、事実上PANの取得が義務付けられることを解説しました。

今回は、具体的なPANの取得手続についての解説です。

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PANの取得申請は、Form49Aと呼ばれるフォームを、インド所得税局(Income Tax Department)が指定する登録代行業者に、添付書類とともに提出することにより行います。
登録代行業者は、National Securities Depositary Limited (NSDL)、およびUTI Technology Services Limited (UTITSL)の2社となり、いずれかの登録代行業者を選択することになります(やってくれることは、どちらの代行業者も同じです)。

Form49は、以下のインド所得税局のウェブサイトでダウンロード可能です。
http://www.incometaxindia.gov.in/pan/overview.asp
(直接リンクはこちら)
http://law.incometaxindia.gov.in/DITTaxmann/IncomeTaxRules/pdf/Form49aE.PDF

また、Form49Aは、インターネットを通じてオンラインで提出することもできます。

(ガイドラインはこちら)
http://www.incometaxindia.gov.in/archive/PAN%20-%20Online%20Application_06302010.pdf

オンラインでForm49Aを提出する場合、NSDL、またはUTITSLのいずれかの登録代行業者のサイトを通じて行います。

NSDLのオンライン提出のページはこちら↓
https://tin.tin.nsdl.com/pan/index.html

UTITSLのオンライン提出のページはこちら(こちらのサイトは、なぜかここ数日繋がりにくくなっているようです)↓
http://www.utitsl.co.in/utitsl/uti/newapp/newpanapplication.jsp

ただし、オンラインで提出できるのは、あくまでForm49A本体だけであり、添付書類については、Form49Aをオンラインで提出した後、すみやかにNSDLまたはUTITSLに郵送する必要があります。

Form49Aの記入方法については、下記のNSDLのサイトに、詳しく記載されています。
http://www.tin-nsdl.com/downloads/Form-49A_110708.pdf

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続いて添付書類です。

外国人または外国企業がPAN取得申請を行う場合に、Form49Aとともに提出すべき添付書類については、↓のNDSLの説明書の10頁目以降に詳細が記載されています。
http://www.taxguru.in/wp-content/uploads/2010/05/2010-339-Annexure-I.pdf

これによると、外国企業がPANを取得する場合、まず、ID証明として、以下のいずれかが必要となります。
(1) インド国内で外国会社としての登記を行っている場合(具体的には、インド国内に支店や駐在員事務所を持っている場合)には、その登記簿謄本の写し
(2) インド国内で外国会社としての登記を行っていない場合、本国における登記簿謄本であって、公証およびインド大使館による認証(日本企業の場合、外務省によるアポスティーユで代用可)を受けたもの

また、会計事務所や法律事務所を代理人として代理申請を行う場合、当該代理人に対する委任状(公証、認証が必要)の原本も、提出する必要があります。

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Form49Aの記載に不備が無く、また添付書類がそろっていれば、概ね申請から2週間前後でPANが交付されます。

PANは、インドにおける税務手続上のID番号ともいうべきものであり、今後インド国内で税務申告その他税務に関する手続を行う場合には、必ずPANを記載する必要があります(ちなみに、PANは10桁の番号です)。

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PAN取得に関する解説は以上です。

インド企業または自社の合弁会社、現地法人から、源泉徴収税の対象となる支払い(ロイヤリティやサービス料等)を受けている日本企業の方は、本解説その他の文献等を参考に、すみやかにPAN申請を進められた方が良いでしょう。

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Consolidated FDI Policyの目次の和訳

先週、先々週と、怒涛のセミナーラッシュが終わり、ようやく一段落ついたので、更新を再開します。

さて、こちらの記事を含め、何度かこのブログでも紹介してきたConsolidated FDI Policyの和訳ですが、きちんとした形で世に公表できるのがだいぶ先になりそうなので、とりあえず表紙と目次の和訳のみ公開したいと思います

表紙と目次だけで、中身の和訳までは公開しないのは、大人の事情というやつですが、第5章あたりは、目次の和訳があるだけで、かなり感覚がつかめるのではないかと思いますので、少しは役に立つのではないかと思われます。

なお、目次の原文では、Consolidated FDI Policyの中で最も重要な規定の1つである5.41項(ネガティブリストによる自動承認原則を定めた規定)が、なぜか抜けていたりするなど、やや問題がある部分もありますが、とりあえずは原文に忠実に訳しています。

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Consolidated FDI Policy(2010年4月版)の目次の和訳のダウンロードは、こちらから↓
「index_of_consolidated_fdi_policy_japanese_translation.pdf」をダウンロード

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え、中身の和訳が公表されるのはいつかって?
出版社が見つかったらです、たぶん…

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インドにおける基本税務番号(PAN)取得について(その1)

2009年の1961年インド所得税法(Income Tax Act, 1961)改正により、2010年4月1日以降、インド国内から源泉徴収税(Tax Deduction)の対象となる支払いを受けるインド非居住者は、インドにおいて基本税務番号(恒久税務番号。Permanent Account Number (PAN))を取得することが義務付けられました(インド所得税法206AA条)。

これにより、インド企業(自社の現地法人、合弁会社を含む)から、ライセンス使用料(ロイヤリティ)やサービス料等の源泉徴収税の対象となる支払いを受ける日本企業は、PANを取得しなければならず、かつ、これを取得しない場合、20%の源泉徴収税率が適用されることになりました

インド非居住者がPANを取得している場合の源泉徴収税の税率は、10%(サーチャージ、教育目的税を含めた実効税率は10.56%)であるため、倍の源泉徴収税率が適用されることになります。

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従来から、インド所得税法上、インドにおいて課税対象となる所得を得るインド非居住者は、たとえ当該課税対象所得が源泉徴収分に限られる場合であっても、インドの税務当局に対して税務申告書を提出しなければならないとされていました。
(この点、非居住者の日本における課税対象所得が源泉徴収分に限られる場合、日本において税務申告を行う必要はないとする日本の制度とは大きく異なります)。

そのため、たとえば、日本の親会社がインドの合弁会社からライセンス使用料を受領している場合、(それ以外にはインド企業からの支払いは一切受けていない場合であっても)法令上は、当該日本の親会社についても、インドの税務当局に対して税務申告書を提出する義務がありました。

もっとも、この場合、インド非居住者が申告を行うと言っても、支払税額=源泉徴収額となり、支払税額は全額源泉徴収控除済となることから、0となります。
要は、支払税額が0となる申告書を提出するということです
すなわち、この場合、実務上は、税務申告を行おうが行うまいが、インド非居住者には何らの影響もありません(支払税額が0なので、延滞税は生じない。また、インド内国法上の罰則規定を、外国の非居住者に執行することは事実上不可能)。

そのため、上記2009年改正までは、インドにおける課税対象所得が源泉徴収分に限られる非居住者が、税務申告を行っている例は少なく、したがって税務申告の前提となるPANを取得している例もほとんど見受けられませんでした。

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しかしながら、上記2009年改正により、2010年4月1日以降、インド非居住者がPANを取得していない場合、当該インド非居住者に対しては、20%の源泉徴収税が課せられることとなりました。

日本との関係で、これを法的に解説すると、

「インドが、国内法改正により、日印租税条約上の税率(またはより低いインド国内法上の税率)の適用要件として、『インド国内においてPANを取得していること』という要件を設定し、当該適用要件をみたさないインド非居住者に対しては、日印租税条約上の税率((またはより低いインド国内法上の税率)である10%を適用せず、インド国内法上の税率である20%を適用する」

ということが行われたことになります。

これにより、インド国内から源泉徴収税の対象となる支払いを受ける日本企業が、インドにおいてPANを取得しない場合、実質的なペナルティとして通常の倍の税率を課せられることになります。

他方で、PANの取得は、そのままインドの税務当局による課税対象の捕捉につながるため、日本企業がPANを取得した場合、従来からの義務であった、「インドにおいて課税対象となる所得を得るインド非居住者による税務申告書の提出」を、当該捕捉に基づいて、厳格に要求されることになると考えられます。

インドにおいて税務申告を行う場合、たとえそれが簡単なものであっても、それなりの時間とコストがかかるため、特にインドにおける課税対象所得が源泉徴収分に限られる日本企業については、毎年の税務申告の時間とコストにつき実質的な負担増にあるといえるでしょう。

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ちなみに、日本企業が、「PANを取るのにも、それなりの時間とコストがかかるし、それに加えて毎年の税務申告を要求されるくらいだったら、源泉徴収税が20%になってもいいから、PANなんて取らないよ」という対応をとった場合、どのようになるのでしょうか。

まず、明らかなデメリットとしては、PANを取った場合に比べて倍の源泉徴収税を取られてしまうということが挙げられます。

この場合、本来の税率に比して高い税率の源泉徴収が行われているため、延滞税の問題は生じませんが、PANを取得していない以上、インドの税務当局相手に源泉徴収還付の手続を取ることはできず、したがって、(本来税率が10%の取引について)結局20%の税率が課せられるということになります。

次に、インド所得税法上の罰則規定の適用が問題となりますが、これについては、非居住者である日本企業に対してインド内国法上の罰則規定を執行することは事実上不可能であるため、日本企業本体がダメージを受けることはありません。

もっとも、日本企業本体に罰則を適用できない腹いせとして、インドの税務当局が当該日本企業の現地法人や合弁会社に対して税務調査を厳しくする、という対応を取ってくることは十分に考えられます
これは法的な根拠に基づくものではありませんが、実務上は十分なデメリットになりえます。

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ということで、総合すると、やはり、インド国内から源泉徴収税の対象となる支払いを受ける日本企業(特にインド国内に何らかの事業拠点を有している日本企業)は、PANを取得せざるを得ないように思われます。

次回は、PANの取得手続の解説です。

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2010年プレスノート2号 -タバコ製造業への外国直接投資禁止-

2010年5月10日、インド商工省(MCI)の産業政策促進局(DIPP)により、プレスノート2010年2号が発行されました。

プレスノートは、以下の産業政策促進局のサイトで閲覧できます。
http://siadipp.nic.in/policy/searchmain1.htm

プレスノート2010年2号の内容は、タバコ製造業(「紙巻、葉巻などのタバコ、またはタバコ代替物の製造業」)への外国直接投資(FDI)を禁止する、というものです。

従前は、タバコ製造業については、外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認を必要とし、かつ産業ライセンスの取得が条件となってはいましたが、100%の外国直接投資(FDI)が認められていました。

しかしながら、今回の改正により、2010年5月10日以降は、タバコ製造業に対する外国直接投資(FDI)は一切禁止されることになりました。

既にタバコ製造業に投資済みの外国企業については、さすがに現状の保有分の処分までは求められていないものの、今後の追加投資が一切禁止されることになります。

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今回のプレスノート2010年2号は、(基本的な規制枠組みの変更ではなく)特定の分野における外国直接投資を禁止するというものであり、JTなど既にインドのタバコ製造業に投資している一部の企業を除き、日本企業に対する影響は、それほどないのではないかと思われます。

個別の影響よりも、むしろ興味深いのは、今回のプレスノートによる改正は、ここ数年のインドの外資規制において、おそらく初めて真正面から規制強化を打ち出したものである点です。

1991年以降、インドの外資規制は基本的に一貫して緩和されてきており、その流れは2000年代に入ってさらに加速してきているものの、ここ1、2年は、

・ダウンストリーム・インベストメントにおける規制の明確化
・外資規制分野における支配権移転の際に、政府事前承認を必要とするようになったこと
・卸売り業に対する25%ルール(グループ会社に総売り上げの25%超を販売することを禁止するルール)の適用

など、遠回しな形で規制が強化されている例が散見されます。
(なお、ここ1、2年でも、ロイヤリティ規制の撤廃など、外資規制が緩和されている部分も勿論あります)

とはいえ、あくまでそれらは間接的、搦め手的に規制が強化されているというニュアンスが強く、正面から外資規制が強化されたという印象を受けるものではありませんでした。

ところが、今回のプレスノート2010年2号は、はっきりと特定の分野について、「これまでは100%の外国直接投資(FDI)を認めていたが、今後は一切禁止する」と述べています。

今回の改正の趣旨は、タバコによる健康被害を防止するというインド政府の政策に基づくものであり(ちなみに、インドは2008年以降、公共の場での喫煙が禁止されています)、基本的には外資排除は目的ではないと思われますが(外資、内資を問わず、タバコ製造業については産業振興しない、ということかと思われます)、外資規制の強化がはっきりと示されたという点で、近時のインド政府の外資規制強化に向けた動きを象徴しているようにも思えます。

ここ最近の外資規制の強化の流れが、今後も続くのかどうかについて、少し注目してみたいと思います。

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Consolidated FDI Policyの和訳

以前、こちらの記事で紹介した、Consolidated FDI Policyの和訳が完成しました。

リンク先はこちら↓
http://siadipp.nic.in/policy/fdi_circular/fdi_circular_1_2010.pdf

原文が100頁を超えているだけあって、和訳も100頁を超えました。

おまけに、大量の誤字脱字、定義した用語と違う用語を突然使う、略語を何の説明もなく使う、などなど、とてもインド政府による公文書としての通達とは思えないようなクオリティのため、「訳注」として入れた脚注の数も、40近くになりました。

GWの後半は、この和訳の作成でほぼつぶれてしまいました。
ああ、恨めしい

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せっかく作った和訳なので、どこかの論文雑誌に発表しようと思っていたのですが、いかんせん分量が100頁を超えるということで、論文としての発表は断念。

現在、対訳形式の本として出版するか、希望者に配布する形にするかのいずれかを検討しています。

今後のインドへの直接投資規制は、このConsolidated FDI Policyを把握しないことには話にならない、というくらい重要な文書ではありますが、いかんせんあまりにもニッチな分野
出版しても、たぶん売れないだろうということで、希望者配布になる可能性が高そうです。

いつかどこかで見かけることがあれば、訳者の血と汗と休みを奪われた恨みを感じていただければ幸いです。

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2010年プレスノート1号の解説

2010年3月25日付けで、2010年プレスノート1号が発行されました。

http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn1_2010.pdf

この通達により、一定額以上の外国直接投資(FDI)を行う場合の内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)の事前承認が必要となる基準について、これまでは60億ルピー(約120億円)であったのが、倍額の120億ルピー(約240億円)にまで引き上げられました。

内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)の事前承認の要否については、こちらの記事で詳細を解説しています。
(ちなみに、Cabinet Committtee on Economic Affairsの日本語訳について、以前は「内閣経済問題委員会」と訳していましたが、その後の検討により、今後は「内閣経済対策委員会」と訳すことにしました)

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さて、2010年プレスノート1号の内容の解説です。

同プレスノートは、まず2.1で、2010年3月25日より前の外国投資の承認権限について、以下のように述べています。

Presently, the recommendations of the FIPB on these proposals with total investment up to Rs. 600 crore are considered by the Finance Minister and those exceeding this amount, by the Cabinet Committee on Economic Affairs (CCEA). Prior to 18.2.2003, proposals of more than Rs. 600 crore were to be approved by the Cabinet Committee on Foreign Investment (CCFI).

これにより、2010年3月25日までの規制内容が、以下のとおりであったことがわかります。

・60億ルピー(Rs. 600 crore。croreはインド独自の単位で、1000万を表します)までの外国投資については、インド外国投資促進委員会(FIPB)の推薦に基づいて、インド金融相(Finance Minister)により承認の可否が検討されること

・60億ルピーを超える外国投資については、インド外国投資促進委員会(FIPB)の推薦に基づいて、内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)(2003年2月18日以前は、内閣外国投資委員会(Cabinet Committee on Foreign Investment))により承認の可否が検討されること

いずれもFIPBの推薦に基づくということで、形式的な承認権限は、それぞれインド金融相、内閣経済対策委員会にあるものの、実質的な承認権限はFIPBにあるといえます。

同プレスノート3.1は、これらが2010年3月25日付けで以下のように変更されることを規定しています。

3.1 The Government of India has reviewed the extant policy and it has been decided, with immediate effect, that the following approval levels shall operate for proposals involving FDI under the Government route i.e. requiring prior Government approval:

(a) The Minister of Finance who is in-charge of FIPB would consider the recommendations of FIPB on proposals with total foreign equity inflow of and below
Rs.1200 crore.

(b) The recommendations of FIPB on proposals with total foreign equity inflow of
more than Rs. 1200 crore would be placed for consideration of CCEA. The FIPB
Secretariat in DEA will process the recommendations of FIPB to obtain the approval of
Minister of Finance and CCEA.

(c) The CCEA would also consider the proposals which may be referred to it by the
FIPB/ the Minister of Finance (in-charge ofFIPB).

すなわち、

(a) 120億ルピー以下の外国投資については、FIPBの監督権者であるインド金融相が、FIPBの推薦に基づいて承認の可否を検討すること

(b) 120億ルピーを超える外国投資については、FIPBの推薦が、内閣経済対策委員会の承認の検討にあたって考慮されること。また、当該FIPBの推薦は、インド金融省(Ministry of Finance)の経済対策局(Department of Economic Affairs)に所属するFIPBの事務局長(Secretariat)が、インド金融相または内閣経済対策委員会の承認を取得するために行うこと

(c) 内閣経済対策委員会は、直接FIPBまたはFIPBの監督権者であるインド金融相からの照会も受け付けること

が規定されています。 

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インド政府の内部的な手続の問題はともかくとして、とりあえず本通達において重要なのは、

・外国直接投資(FDI)を行う場合の内閣経済対策委員会の事前承認が必要となる基準について、これまでは60億ルピー(約120億円)であったのが、倍額の120億ルピー(約240億円)にまで引き上げられたこと

・120億ルピー以下のFDIについては金融相が、120億ルピー超のFDIについては内閣経済対策委員会が、それぞておFIPBの推薦に基づいて承認の可否を検討すること

の2点です。

プレスノート2010年1号は、2010年3月25日付けで即日発効しているため、同日以降、上記規定が適用されることになります。

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ちなみに、同通達は、2.2、3.2において、追加で外国投資を行う際、一定の場合には、インド外国投資促進委員会(FIPB)の事前承認が不要となることも規定しています。

これは、「従前はFIPBの事前承認が必要とされていた外国投資について、その後の規制緩和等によりFIPBの事前承認が不要となったものにつき、追加的に投資を行う場合には、追加投資の段階であらためてFIPBの事前承認を得ることは不要」であることを定めたものです。

逆に言うと、2010年3月25日までは、「従前はFIPBの事前承認が必要とされていた外国投資について、その後の規制緩和等によりFIPBの事前承認が不要となったものであっても、追加的に投資を行う場合には、追加投資の段階であらためてFIPBの事前承認を得ることが必要」とされていたわけです。

つまり、当初投資の段階でFIPBの事前承認を取得していた場合、その後たとえ規制緩和がなされたとしても、追加投資の段階でFIPBの事前承認を取得しなければならなかった、ということです。

これは、どう考えても不合理なので(規制緩和後は、新規参入者であればFIPBの事前承認なくしてFDIができるのに、規制緩和前からFDIを行っていた者は引き続き追加投資ごとにFIPBの事前承認を取り続けなければならない)、このような規制の変更がなされたのは、ある意味当然といえるでしょう。

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2010年プレスノート1号の解説は以上です。

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Consolidated FDI Policy

以前、こちらの記事で、2010年ドラフトプレスノートについて紹介しましたが、パブコメ期間を経て、本日2010年4月1日付けで、「Consolidated FDI Policy」として、正式な通達として施行されることとなりました。
(通達としての名称は、Press Noteではなく、Circularとなったようです)

http://siadipp.nic.in/policy/searchmain1.htm

http://siadipp.nic.in/policy/fdi_circular/fdi_circular_1_2010.pdf

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内容を見ると、ドラフト段階では66頁だったのが、施行段階では102頁と大幅に増えています。

もっとも、71頁以降は、別紙として書式等が添付されているだけですので(ちなみに、これらはインド準備銀行のMaster Circularに添付されているものと同じものです)、実質的な増量分は5頁程度といったところでしょうか。

ざっと中身を見ると、外国投資の規制業種に関する記載について、大幅に説明が加わっているところもあり、ドラフト段階からは相当程度変わったといえるでしょう。

以前紹介したとおり、「Consolidated FDI Policy」は、現時点でのインドにおける外資規制をまとめた通達であり、今後も年に2回(毎年4月1日と10月1日)にアップデートが予定されていることから、インドにおける外資規制を概観する際には不可欠となる資料です。

そのため、今後、インドの外資規制について何かを調べる場合、必ず目を通さなければならない資料であるといえるでしょう。

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ということで、現在、鋭意和訳作成中です。

これまでの2006年4号や2008年7号といった重要なプレスノートの和訳は、本ブログで無償で配布していたのですが、今回は(頁数の多さもあって)和訳にかかる手間が半端ではなく、私の所属事務所の協力も大幅に仰がなければならないため、ちょっと本ブログでの掲載は難しいかもしれません。
(このレベルになると、もはや一大著作物になってしまい、私の一存でどうこうできる範囲を超えてしまうためです…)

どこかの論文雑誌に発表はすると思いますので、和訳を参照されたい方は、そちらをご覧いただければと思います。
(なお、事務所主催のセミナー等に来ていただければ、その場で配布されるということはあるかもしれません)

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さて、Consolidated FDI Policyとは別個に、2010年3月25日付けで、2010年プレスノート1号が発行されています。

http://siadipp.nic.in/policy/changes/pn1_2010.pdf

この通達は、こちらの記事で紹介した、一定額以上のFDIを行う場合の内閣経済対策委員会(Cabinet Committtee on Economic Affairs)の事前承認が必要となる基準について、これまでは60億ルピー(約120億円)であったのを、倍額の120億ルピー(約240億円)にまで引き上げたものです。

これについては、次の記事で詳細を解説したいと思います。

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より以前の記事一覧